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かもめ通信
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元々、冒険ものでありミステリでもあり、恋愛要素もあり、戦争ものでも歴史ものでもあるというなかなか欲張った構成なのだが、今回はさらに人種差別問題や死刑制度の是非まで加わりますますハードな仕上がりに?!
アメリカ育ちの英国人女性マーガレット・ホープ(=マギー)が
チャーチル英首相の元でスパイとして活躍するシリーズ。

1作目では戦時下のロンドンを丁寧に織り交ぜながら、
チャーチル首相の秘書になったマギーが母国である英国への愛国心に燃え、
より重要な任務に就くべく活躍する姿が描かれ(『チャーチル閣下の秘書』

2作目ではマギーが、王位継承権第1位のエリザベス王女を
ナチスの手から守るべく奮闘する様子が
スリルとスピード感溢れる冒険譚として語られ(『エリザベス王女の家庭教師』

3作目ではマギーがなんとナチスドイツのど真ん中、
ベルリンに潜入して、身も心もボロボロになりながら
命からがら任務を果たした(『国王陛下の新人スパイ』)。

シリーズ第4作では、あらゆるよりどころも失ってしまったマギーが
PTSDに悩まされつつ、新人教育に携わる鬼教官となるも
再び表舞台に出ていくことになった(『スパイ学校の新任教官』)。

5作目の本作は、日本軍による真珠湾攻撃から約半月後、
いよいよアメリカが本格的に参戦するかという時期に
マギーは表向きは首相付きのタイピストとしてチャーチル一行に加わって
4年ぶりに“故郷”アメリカに帰国することに。

歴史の表舞台では
チャーチルとルーズヴェルトの会談を巡る駆け引き。
水面下では
大統領夫人の秘書が変死事件と仕掛けられたスキャンダルの罠。
アメリカ社会に根強く深刻な人種差別問題と死刑制度をめぐるあれこれ
大英帝国の植民地主義をめぐる意見の対立等々に加え
グレムリン伝説やウォルト・ディズニーまで登場して
史実とフィクションが絶妙に混ざり合って進行する物語は今回も読ませる。

簡単には整理が付かない重いテーマも多く
あれやこれやと考えさせられも。

著者や出版社の意図はわからないが、
タイトルや表紙から連想されるようなコージーでは全くない。
ところどころに、息抜き用の笑いポイントが配置されているが、
骨太系の本格小説だと思って腰を据えて読まれることをお薦めする。

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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2236 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

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