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rodolfo1さん
rodolfo1
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派遣切りに会い、彼氏にもふられた久美子は農業での自立を目指す。しかし農業を巡る環境ははなはだ貧弱で、関係者はことごとく結婚を勧める。しかし奮闘する久美子は次第に状況を打破していく。。。
垣谷美雨作「農ガール、農ライフ」を読みました。

久美子は派遣切りに会いました。しかも同棲していた修に振られました。しかし元々プロポースしていた修の申し出を断ったのは久美子でした。久美子の貯金は100万円しかありませんでした。さしあたり住む場所に困りました。今のマンションに1人で住むのは金銭的に無理でした。テレビで紹介されていた農業女子を知り、政府が新規就農者には補助金を出している事もわかり、俄然やる気になりました。

大学時代の先輩の親がアパートを経営していた事を思い出して彼女にメールしました。就農の事を打ち明けると、彼女の同期の瑞希も農業をやっていて、大草原の瑞希ハウスという彼女のブログは大した人気だと教えてくれました。先輩の親、アヤノから連絡があり、アパートを貸す前に面接すると言いました。アヤノは就農を褒め、部屋を貸してくれました。

久美子は県立農業大学に入学し、農業を学びました。卒業した久美子は認定就農者となり、市役所の就農説明会に参加しました。しかし説明会で、女性は農家に嫁ぐしか農業をする道は無いと言われ、男性でも独身にはきつい仕事だと言われました。新規就農者の支援制度はほとんど夫婦での就農を義務づけているとも言いました。また有機農業は都会人の趣味だから必要ないとも言われました。説明会の後の相談会にも参加しましたが、門前払いを食らいました。

久美子はあちこち当たりましたが、農地を貸してくれる人は誰もいませんでした。苦悩する久美子は思わず瑞希の家を訪問しましたが、実は今はプロのブロガーとしてブログのアフィリエイトで食べていると打ち明けられました。農業など今は全くやっていませんでした。何をやっても就農できなかった久美子にアヤノが声をかけ、自分は定年まで仕事をし、家事もすべてこなしていたが、娘にはいつもイライラしている嫌な母親だったと言われ、がっかりしたと打ち明けました

久美子は懸命に伝手をたどり、ついに農地を貸しても良いという人を見つけました。現地を見に行くと、知らない老婆が現れて、あんな土地は全く使い物にならないと断言しました。何故かと久美子が尋ねると、どこの馬の骨かわからない人に農地を貸す人は誰もいないと言いました。思わず激昂した久美子でしたが、その婆さんは、自分も50年農業をしてきたが、大根を収穫したのはただの50回だけだ、1回しか経験の無い久美子には何もわからないと言われ、思わず沈黙した久美子でした。

婆さんは富士江と言いました。富士江は貸し元の地主に説教し、もっと良い土地を借りれる事になりました。富士江の指導を受けて、ついに久美子は農業を開始しました。通常の販路では野菜を売れないと思った久美子はホームページを開設し、知り合いに電話して野菜を売り込みましたが、はかばかしい売れ行きはありませんでした。しかし出来た野菜は上々の出来で、その旨さに久美子は感激しました。努力の結果、野菜は次第に売れはじめましたが、利益のあまりの少なさに久美子はがっくりしました。

富士江は野菜を褒めてくれましたが、同時に婚活を勧められました。とうてい一人ではやっていけないと言いました。久美子が婚活パーティーに参加すると、やはり女一人で農業をしていたヒトミと知り合いました。

さばさばとした姉御肌のヒトミを久美子は気に入りましたが、婚活パーティーの主催者は、婚活する女性は女性らしくしなければ男性に受け入れてもらえないと言い、ヒトミは舌打ちして会場を去りました。2組のカップルが成立してパーティーは終了し、同じく参加していて静代に誘われて久美子がカフェに行くと、そこにあのヒトミが居ました。

3人は婚活パーティーをくさし、盛り上がりました。3人は自分の身の上を話し、子持ちの静代は自分は婚活の崖っぷちだと言いました。しかし婚活主催者から電話が入り、久美子を指名した男性がいるから話だけでも聞いてみてはどうかと言って来ました。久美子は静代と一緒に後日その男性を訪問する事に。。。久美子と静代が男性宅を訪問すると、そこには絶叫する認知症老人が同居していました。騒然とする中、何故か静代だけは。。。

折柄アヤノが、アパートの買い手が現れたから、アパートを売ると言い出しました。ホームレスを覚悟した久美子でしたが、富士江に相談すると、アヤノに久美子の実情を説明してくれ、アヤノは久美子に意外な提案を。。。

ヒトミから産直販売会への参加の誘いがあり、久美子も参加し、結構な売り上げになりました。するとヒトミは蜂蜜を売っている青年に目を止め、からかいに行きました。いかにもコミュ障のような青年の蜂蜜は全く売れていなかったのでした。ヒトミと久美子は青年の販売を手伝い、蜂蜜の質が良かった事もあって、完売しました。喜んだ青年星川は2人を自宅に招き、蜜蜂の重要さを説明しました。。。

久美子が久しぶりに瑞希のホームページを見てみると、様相がすっかり変わり、うわべを飾る事をやめ、うまくいかない実人生を吐露し、更なる閲覧者の人気を得ていました。思わず瑞希に連絡して自分の実情を説明すると、瑞希は意外な事を言い出し。。。

久美子の宅配に星川の蜂蜜を加えようと電話すると、電話口に居たのは。。。次第に久美子の仕事は。。。

やはり垣谷先生の小説はこうでないといけませんね。まずピンチに陥る主人公が現れ、それを打開しようとさまざまに画策しますが、なかなか事態は進展しません。しかし意外な脇役が現れて良い仕事をし、さまざまに事態は変遷しながら最後はハッピーエンドに至ります。娯楽小説というものはかくあるべきという小説であったと思いました。
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rodolfo1
rodolfo1 さん本が好き!1級(書評数:868 件)

こんにちは。ブクレコ難民です。今後はこちらでよろしくお願いいたします。

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