かもめ通信さん
レビュアー:
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シリーズ番外編?!次世代の話で、舞台用に書き下ろされた戯曲だというし、後日決定版が出るとも聞いたので、正直、読まなくても良いかな……と思っていたのだけれど読み始めたら一気読み!但しだがしかし…つき?!
シリーズ最終巻『ハリー・ポッターと死の秘宝』のラスト、本編から19年後のキングズ・クロス駅のシーンを覚えているファンは多いだろう。
9と3/4番線にハリーとジニーがホグワーツ特急に乗り込む子どもたちを見送りに行くあのシーンだ。
この物語も、あのときと同じシーンからはじまる。
「もしもスリザリンに入れられたら…」と、心配する次男坊のアルバスに、ハリーは言う。
「アルバス・セブルス」という名は、2人のホグワーツの校長からもらった名前で、1人はスリザリンの出身だったが、自分が知る中でもっとも勇敢な魔法使いだったと。
そんなことは百も承知の息子は、そう言われてもあいかわらず心配そうな顔をしている。
そんな息子にハリーはさらに言葉を重ねるのだ。
「心配することはない。組み分け帽子はきっとお前の気持ちを汲んでくれるよ」と。
けれども、組み分け帽子はあっさりとアルバスをスリザリンに入寮させたのだった。
「有名人の子」が味わうしんどさを一身に担っているかのようなアルバスの学校生活は、気の毒なほど悲惨なのだが、そのしんどさを父親であるハリーは理解してやることが出来ない。
アルバスの唯一の味方である親友スコーピウスは、なんとあのマルフォイのひとり息子。
しかもこのスコーピウス、本作で一番か?!というぐらい良い奴なのだ。
父親への反発心から、アルバスがスコーピウスを巻き込んで「ハリーのせいで亡くなったセドリック」を助けだすために、不法に手に入れた逆転時計で過去に向かうことで、「現代」がどんどん変わってしまう様子はまさに、ハリポタ版「バック・トゥ・ザ・フューチャー」といったところ。
過去を遡ることで、懐かしのあのシーンこのシーンが次々と再現されファンを喜ばせはするが、その反面、この1作だけを読んだ読者はピンとこないだろうし、本編を読みはしたけれどそれほどのめり込みはせず、今となっては内容もあまり……という読者には、あえてお薦めするまでもないかもしれない。
とはいえ、アルバスとスコーピウスを軸に展開する物語は、冒険譚であると同時に親と子の「和解」の物語でもあるという点で、本編とは違った味わいもあるにはある。
もっともハリーは気づいていないようだが、容姿以外は全く似ていないと言われているこの父子、自分だけが不幸のどん底だと落ち込んで、周囲の、とりわけ親友の抱える苦悩がまるで見えていないという点において、そっくりすぎるほどそっくりだと思うのだけれど……ね。
それはさておき、ここからはちょっと愚痴モード。
何を隠そう私は、かなりのハリポタファンで、本編はすべてハードカバーで購入したし、最終巻にいたっては、翻訳を待ちきれずにこれまたハードカバーの英語版まで購入してしまったという過去を持っているのだが、このシリーズにおける唯一(?)の不満は、とにかくひどい「日本語」だった。
物語自体はスピード感もあり、面白く読めているのだから、雰囲気を伝える訳者のセンスは悪くないのだろうとは思うのだが、とにかく全編を通して日本語の乱れが酷い。
(原書と読み比べた人達に言わせると誤訳も多いらしいが、この点については当方の語学力不足のため裏は取れていない。)
本書でも相変わらず謎の日本語が?!
ここまでくるともう、これも魔法の範疇なのかって気がして……こないか…。
これまでも今回もたっぷり楽しんだのだから、最初からもっと優れた訳で読みたかったという意見は贅沢なのかもしれないが。
ちなみに今回、もっとも印象にのこった迷訳は…こちら ↓
(以下、ネタバレを気にする方はパスして下さい)
アルバスがとある方法で、過去からハリーにメッセージを送ってくるシーン。
アルバスは 「父さん。たすけて。ゴドリックの谷」と書いたのだが
文字がかすんでハリー達には「父さん、ハロー、グッド ハロー」と読めてしまったというもの。
なんでそうなるの??って思うでしょ??
気になって調べてみたら原書では「Dad. Help. Godric's Hollow.」が
「Dad Hello Good Hello」に見えたという話で……。
この訳、もうちょっとどうにかならなかったんですかね?本当に……。
いやいや、話自体はなかなか面白かったんですよ。
思わず一気読みしてしまったしね。
9と3/4番線にハリーとジニーがホグワーツ特急に乗り込む子どもたちを見送りに行くあのシーンだ。
この物語も、あのときと同じシーンからはじまる。
「もしもスリザリンに入れられたら…」と、心配する次男坊のアルバスに、ハリーは言う。
「アルバス・セブルス」という名は、2人のホグワーツの校長からもらった名前で、1人はスリザリンの出身だったが、自分が知る中でもっとも勇敢な魔法使いだったと。
そんなことは百も承知の息子は、そう言われてもあいかわらず心配そうな顔をしている。
そんな息子にハリーはさらに言葉を重ねるのだ。
「心配することはない。組み分け帽子はきっとお前の気持ちを汲んでくれるよ」と。
けれども、組み分け帽子はあっさりとアルバスをスリザリンに入寮させたのだった。
「有名人の子」が味わうしんどさを一身に担っているかのようなアルバスの学校生活は、気の毒なほど悲惨なのだが、そのしんどさを父親であるハリーは理解してやることが出来ない。
アルバスの唯一の味方である親友スコーピウスは、なんとあのマルフォイのひとり息子。
しかもこのスコーピウス、本作で一番か?!というぐらい良い奴なのだ。
父親への反発心から、アルバスがスコーピウスを巻き込んで「ハリーのせいで亡くなったセドリック」を助けだすために、不法に手に入れた逆転時計で過去に向かうことで、「現代」がどんどん変わってしまう様子はまさに、ハリポタ版「バック・トゥ・ザ・フューチャー」といったところ。
過去を遡ることで、懐かしのあのシーンこのシーンが次々と再現されファンを喜ばせはするが、その反面、この1作だけを読んだ読者はピンとこないだろうし、本編を読みはしたけれどそれほどのめり込みはせず、今となっては内容もあまり……という読者には、あえてお薦めするまでもないかもしれない。
とはいえ、アルバスとスコーピウスを軸に展開する物語は、冒険譚であると同時に親と子の「和解」の物語でもあるという点で、本編とは違った味わいもあるにはある。
もっともハリーは気づいていないようだが、容姿以外は全く似ていないと言われているこの父子、自分だけが不幸のどん底だと落ち込んで、周囲の、とりわけ親友の抱える苦悩がまるで見えていないという点において、そっくりすぎるほどそっくりだと思うのだけれど……ね。
それはさておき、ここからはちょっと愚痴モード。
何を隠そう私は、かなりのハリポタファンで、本編はすべてハードカバーで購入したし、最終巻にいたっては、翻訳を待ちきれずにこれまたハードカバーの英語版まで購入してしまったという過去を持っているのだが、このシリーズにおける唯一(?)の不満は、とにかくひどい「日本語」だった。
物語自体はスピード感もあり、面白く読めているのだから、雰囲気を伝える訳者のセンスは悪くないのだろうとは思うのだが、とにかく全編を通して日本語の乱れが酷い。
(原書と読み比べた人達に言わせると誤訳も多いらしいが、この点については当方の語学力不足のため裏は取れていない。)
本書でも相変わらず謎の日本語が?!
ここまでくるともう、これも魔法の範疇なのかって気がして……こないか…。
これまでも今回もたっぷり楽しんだのだから、最初からもっと優れた訳で読みたかったという意見は贅沢なのかもしれないが。
ちなみに今回、もっとも印象にのこった迷訳は…こちら ↓
(以下、ネタバレを気にする方はパスして下さい)
アルバスがとある方法で、過去からハリーにメッセージを送ってくるシーン。
アルバスは 「父さん。たすけて。ゴドリックの谷」と書いたのだが
文字がかすんでハリー達には「父さん、ハロー、グッド ハロー」と読めてしまったというもの。
なんでそうなるの??って思うでしょ??
気になって調べてみたら原書では「Dad. Help. Godric's Hollow.」が
「Dad Hello Good Hello」に見えたという話で……。
この訳、もうちょっとどうにかならなかったんですかね?本当に……。
いやいや、話自体はなかなか面白かったんですよ。
思わず一気読みしてしまったしね。
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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- 出版社:Pottermore from J.K. Rowling
- ページ数:0
- ISBN:B01HF5X4YG
- 発売日:2016年11月11日
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