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エベレスト登頂を果たした著者がシェルパの視線で描く、ある挑戦の物語。
このお話の主人公は、エベレスト山頂アタックをサポートするシェルパの少年である。シェルパはテントや食料など何十キロもの物資を背負い、登山家とチームを組んでエベレストを登る。エベレスト制覇は、身体能力と登山技術に優れたシェルパがいてこそ可能なのだ。
作者は1996年に北壁ルートからのエベレスト登頂に成功しているそうだが、本書はその時の「勇気ある仲間」、3人のシェルパに捧げられている。常に死と隣り合わせの登攀の様子がリアルに描かれた冒険小説、そしてまた、ネパールの美しい自然に育まれた愛の物語である。
医療品運搬のボランティアとしてネパールへやってきたイギリス人青年ライアンは、僻地の村で肺炎に罹り倒れてしまう。シュリーヤという少女の親身の看護で命を救われたライアンは、お返しに何かできることはないかと尋ねた。シュリーヤは、行方のわからないカミを探してほしい、何があったかのか調べて欲しいと言った。ライアンはわずかな手がかりからカミの居場所を突き止め、カミは語り始める。シュリーヤとの恋と、人生を変えてしまったエベレストの悲劇を。
読者はシェルパのカミに起きた取り返しのつかない出来事を最初に知らされる。いつ、なぜ、どうしてそんな事件が起こったのか、ドキドキしながらページをめくるスリリングな読書になること請け合いである。
カミは体格も頭脳も優れた少年で、幼馴染のシュリーヤと結婚するためにシェルパになった。親の決めた婚約を破棄するのに払う大金を稼ぎたかったし、エベレスト挑戦チームに誘われたことが誇らしかった。一方、アメリカ人登山家には政治的野心があり、売名のためにエベレストに挑もうとしていた。
登場人物たちはみな、厳しい大自然の前に自らの本性を明らかにしてしまう。登るにも諦めるにも必要な勇気、相互の尊敬があってこそ生まれてくる絆など、本当の名誉とか人間の弱さについて考えさせられる。
「人生を変えてしまう山なのだ。しかも、いいほうに変わるとは限らない。」
作者はカミをここまで酷い目にあわせなくてもよかったのに。でも、最後に恋人たちの行く手に一条の光が射す。愛にまっしぐらなその選択も真の幸せにつながるとは思えなかったのだが、この本は若い世代向きに書かれているので、汚れちまった大人が文句を言うのは止めておこう。
作者は1996年に北壁ルートからのエベレスト登頂に成功しているそうだが、本書はその時の「勇気ある仲間」、3人のシェルパに捧げられている。常に死と隣り合わせの登攀の様子がリアルに描かれた冒険小説、そしてまた、ネパールの美しい自然に育まれた愛の物語である。
医療品運搬のボランティアとしてネパールへやってきたイギリス人青年ライアンは、僻地の村で肺炎に罹り倒れてしまう。シュリーヤという少女の親身の看護で命を救われたライアンは、お返しに何かできることはないかと尋ねた。シュリーヤは、行方のわからないカミを探してほしい、何があったかのか調べて欲しいと言った。ライアンはわずかな手がかりからカミの居場所を突き止め、カミは語り始める。シュリーヤとの恋と、人生を変えてしまったエベレストの悲劇を。
読者はシェルパのカミに起きた取り返しのつかない出来事を最初に知らされる。いつ、なぜ、どうしてそんな事件が起こったのか、ドキドキしながらページをめくるスリリングな読書になること請け合いである。
カミは体格も頭脳も優れた少年で、幼馴染のシュリーヤと結婚するためにシェルパになった。親の決めた婚約を破棄するのに払う大金を稼ぎたかったし、エベレスト挑戦チームに誘われたことが誇らしかった。一方、アメリカ人登山家には政治的野心があり、売名のためにエベレストに挑もうとしていた。
登場人物たちはみな、厳しい大自然の前に自らの本性を明らかにしてしまう。登るにも諦めるにも必要な勇気、相互の尊敬があってこそ生まれてくる絆など、本当の名誉とか人間の弱さについて考えさせられる。
「人生を変えてしまう山なのだ。しかも、いいほうに変わるとは限らない。」
作者はカミをここまで酷い目にあわせなくてもよかったのに。でも、最後に恋人たちの行く手に一条の光が射す。愛にまっしぐらなその選択も真の幸せにつながるとは思えなかったのだが、この本は若い世代向きに書かれているので、汚れちまった大人が文句を言うのは止めておこう。
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この書評へのコメント
- Wings to fly2016-11-29 18:17
かもめ通信さん主催の掲示板企画「本が好き! #はじめての海外文学 vol.2フェア応援読書会」への参加書評です。
http://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no258/index.html
「ビギナー編」にも「ちょっと背伸び篇」にも、面白そうな作品が並んでいます。まだ未投稿の作品も色々あるようですので、皆さんも覗きにいらしてくださいね(^^)クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - かもめ通信2016-11-29 19:40
おー!Wings to flyさん!ありがとう!これまだ誰も投稿していなかったものねえ。
私も気になってはいたのだけれど、手が回りそうにないなあ~と思っていたのよ。
皆様、只今「本が好き! #はじめての海外文学 vol.2フェア応援読書会」では52冊の対象本のうち38冊のレビューをお持ちより戴いています。
既にご紹介戴いている作品のレビューも大歓迎!
お持ちより戴いたレビューはTwitterにて、フェア主催者をはじめ多くの皆さんにも紹介させて戴いています。
ぜひぜひ遊びに来てください。
http://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no258/index.html?latest=20
この選書、翻訳家の皆様方のお薦めだけあって、本当に良い作品がズラリと並んでいます!クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
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