はるほんさん
レビュアー:
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ドリフでなくとも「歯ァ磨いたか?」と聞きたくなる。
おしなべて歯の変態の話である。
ヒトの口膣には8本の歯列が上下左右にある。
例えばこの32本それぞれに、名を付けて愛おしむ人がいるだろうか。
いや名前ではないが、主人公は歯に独自の番号を付け、
それらの受けた治療と苦悩、歯石と軌跡をとうとうと語るのである。
何とも立派な変態である。
初めて歯が抜けたとか、歯医者の治療が散々たるモノだったとか、
治療中に居眠りして医者の指を噛んだとか(それは自分である)
その程度の思い出なら、まあなくはない。
しかし主人公は各国を暗躍し、歴史の裏を見つめる男である。
そんな世界情勢が彼の歯に刻まれているとは──
ホントに立派な変態である。
本書は作者の知人がしたためたらしい。
作者は多分、徹夜で会議かなんかしてて疲れてたんだろう。
その出版権を買い取り、イキオイで1000部を発行したという。
歯という斬新な題材の小説は恐るべくヒットを生み──
──出すハズもなく、800部が返本されたという。
さもあらん、と思う。
オッサンの口腔事情なんぞ、誰得というハナシである。
壮大なんだか矮小なんだか分からないストーリーより
事あるごとに歯のトラブルに見舞われ、
各国の歯医者にお世話になっている主人公が気になって仕方ない。
ドリフでなくとも「歯ァ磨いたか?」と聞きたくなる。
時系列に並べて分かりやすくしたとあるが、
ストーリーはほとんど頭に入らない。
人類の大概の弱点であろう「歯の痛み」が常に話中にあり、
尻を落ち着けて読めないのである。
とにかく主人公の歯の痛みが治まったら安堵し、
その外にあることは割とどーでもよくなるのである。
有事のたびに歯や歯茎の激痛に襲われ、
歯医者に行っては治療の苦痛に七転八倒する。
時にそれを女たちとの愛の遍歴の痛みにも重ねているが
女よりさっさと良い歯医者を捜すべきである。
いやコレはひょっとして裏世界の黙示録的なモノで、
暗号が読めないようにという作戦なんだろうか。
だとしたらスゴいぞ。
とにかくあらすじを説明しようにも、歯しか残らない。
世界で大変なことが起こってるのは分かるのだが、
歯痛の前に人は無力なのだという事実だけが突きつけられる。
主人公の歯は、すべて抜け落ちる。
32本しかないのに、もう80本くらい抜けたような倦怠感。
スパイが何を暗示したのかは、分からない。
イヤもう、あらすじもよく分からない。
オッサンのくっさい口の詳細なんぞ、読む意味があるのか?
──いや、意味はある。
読むと歯磨きがめっちゃ丁寧になる。
多分コイツ、歯科医師会とか歯磨協会とか歯ブラシ商工会とか
そういうとこのスパイやと思う。
そうじゃなきゃただの変態さんだと思う。
ヒトの口膣には8本の歯列が上下左右にある。
例えばこの32本それぞれに、名を付けて愛おしむ人がいるだろうか。
いや名前ではないが、主人公は歯に独自の番号を付け、
それらの受けた治療と苦悩、歯石と軌跡をとうとうと語るのである。
何とも立派な変態である。
初めて歯が抜けたとか、歯医者の治療が散々たるモノだったとか、
治療中に居眠りして医者の指を噛んだとか(それは自分である)
その程度の思い出なら、まあなくはない。
しかし主人公は各国を暗躍し、歴史の裏を見つめる男である。
そんな世界情勢が彼の歯に刻まれているとは──
ホントに立派な変態である。
本書は作者の知人がしたためたらしい。
作者は多分、徹夜で会議かなんかしてて疲れてたんだろう。
その出版権を買い取り、イキオイで1000部を発行したという。
歯という斬新な題材の小説は恐るべくヒットを生み──
──出すハズもなく、800部が返本されたという。
さもあらん、と思う。
オッサンの口腔事情なんぞ、誰得というハナシである。
壮大なんだか矮小なんだか分からないストーリーより
事あるごとに歯のトラブルに見舞われ、
各国の歯医者にお世話になっている主人公が気になって仕方ない。
ドリフでなくとも「歯ァ磨いたか?」と聞きたくなる。
時系列に並べて分かりやすくしたとあるが、
ストーリーはほとんど頭に入らない。
人類の大概の弱点であろう「歯の痛み」が常に話中にあり、
尻を落ち着けて読めないのである。
とにかく主人公の歯の痛みが治まったら安堵し、
その外にあることは割とどーでもよくなるのである。
有事のたびに歯や歯茎の激痛に襲われ、
歯医者に行っては治療の苦痛に七転八倒する。
時にそれを女たちとの愛の遍歴の痛みにも重ねているが
女よりさっさと良い歯医者を捜すべきである。
いやコレはひょっとして裏世界の黙示録的なモノで、
暗号が読めないようにという作戦なんだろうか。
だとしたらスゴいぞ。
とにかくあらすじを説明しようにも、歯しか残らない。
世界で大変なことが起こってるのは分かるのだが、
歯痛の前に人は無力なのだという事実だけが突きつけられる。
主人公の歯は、すべて抜け落ちる。
32本しかないのに、もう80本くらい抜けたような倦怠感。
スパイが何を暗示したのかは、分からない。
イヤもう、あらすじもよく分からない。
オッサンのくっさい口の詳細なんぞ、読む意味があるのか?
──いや、意味はある。
読むと歯磨きがめっちゃ丁寧になる。
多分コイツ、歯科医師会とか歯磨協会とか歯ブラシ商工会とか
そういうとこのスパイやと思う。
そうじゃなきゃただの変態さんだと思う。
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歴史・時代物・文学に傾きがちな読書層。
読んだ本を掘り下げている内に妙な場所に着地する評が多いですが
おおむね本人は真面目に書いてマス。
年中歴史・文豪・宗教ブーム。滋賀偏愛。
現在クマー、谷崎、怨霊、老人もブーム中
徳川家茂・平安時代・暗号・辞書編纂物語・電車旅行記等の本も探し中。
秋口に無職になる予定で、就活中。
なかなかこちらに来る時間が取れないっす…。
2018.8.21
この書評へのコメント
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- 出版社:河出書房新社
- ページ数:277
- ISBN:9784309202853
- 発売日:1997年05月01日
- 価格:2376円
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