yukoさん
レビュアー:
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息子を轢き逃げで失った刑事フィン。故郷を捨てたフィンは、生まれ育った島で起きた同級生の殺人事件によばれます・・・ 少年時代の苦い思い出と殺人事件が交錯する、ミステリーでありながらほろ苦い青春物語。
一人息子を轢き逃げ事件で亡くした刑事フィンは休職中。
妻とは息子を亡くして以来ぎくしゃく。もはや離婚寸前といった状態。
そんなフィンが職場に呼び出され、無理矢理復職を命じられます。
それは息子が亡くなる前フィンが担当した殺人事件に手口が似ているという殺人事件。
そしてその被害者はフィンの知っている人物。
ずっと避けてきた故郷ルイス島で起きた殺人事件の捜査に向かわされるのです。
八歳で両親を交通事故で亡くし、叔母に育てられたフィン。
兄弟同然の幼なじみ、アーシュター。
初恋の人で、今は何とアーシュターの妻となったマーシャリー。
今回の事件の被害者、乱暴者のアンガス。
その弟、マードゥ。
アンガスとマードゥに執拗にいじめられていたカルム。
スコットランドの北部の小さな島で起きた殺人事件の捜査のために、幼なじみや同級生たちに証言をとることになったフィン。
そしてルイス島伝統のグーガ狩りの思い出。
甘酸っぱく切ない初恋の思い出や、
両親を亡くして辛かった子供時代の思い出がよみがえり・・・
物語はフィンの幼少から青年時代と、
現代の事件の謎解き、二つが同時に進行していきます。
ミステリではあるのだけれど、フィンの幼少時代からの思い出話も同時に進行し、
少年時代の物語はまるでスタンド・バイ・ミーのようだと思いながら読み進めていくと、
どうやら何かが起きてフィンはルイス島を出ていってしまったようで、
なぜ彼が島の幼なじみたちを避けて生きてきたのか、
島では何が起きたのか、何がフィンを変えてしまったのか、
謎だらけになってきて・・・
さらに同級生の乱暴者のアンガスの殺人事件の謎もなかなか解けない。
フィンは八歳で両親を交通事故で亡くし、変わり者の叔母に育てられ、父性愛に飢えていました。
そんな彼に勉強を教え、我が子と同じように優しく接してくれて、大学へ行けるように導いてくれたのは、幼なじみのアーシュターの父親でした。
母と娘の関係性も難しいものですが、
父と息子の関係性もまた、難しいものなんでしょうね。
息子は一番身近な同性である父親を尊敬し、憧れ、
しかし、父親を乗り越えなければ、大人にはなれないのものなのではないでしょうか。
その過程がうまくいけばいいけれど、父親から愛情という名でごまかされた抑圧を受け続けると、息子は父親を恐れ、憎むようになってしまう。
フィンには父親がいなかった。
しかし、フィンを息子のように思う島の男たちがいた。
なのになぜ、なぜフィンは島を捨ててしまったのか。
同級生が殺された事件が、自分が担当した別の事件と手口が酷似していたために島に行かざるをえなくなってしまったフィン。
捜査のため、同級生たちに事情を聞くうちに、
フィンは今回の事件だけでなく、過去とも対峙することになっていきます。
雨ばかりで強風が一年中吹き荒れる、どんよりしたわびしい島であろうルイス島なのに、
島の描写がとても素晴らしく、荒れた天気もとても美しく感じられ、
この小さな島で少年たちがいじめや、学校のことや、家族関係や、異性関係のことなど、悩みながら成長していく様が胸に迫り、
とても長い物語なのにぐいぐい引き込まれてあっという間に読むことができました。
物語の真相はとても辛いものでしたが、最後の一ページで救われます。
辛く悲しい思い出も父子の関係性によるものだったけれど、
反対に、これからの希望もまた、父と子の関係にかかっている、
そんな風に思えた結末でした。
妻とは息子を亡くして以来ぎくしゃく。もはや離婚寸前といった状態。
そんなフィンが職場に呼び出され、無理矢理復職を命じられます。
それは息子が亡くなる前フィンが担当した殺人事件に手口が似ているという殺人事件。
そしてその被害者はフィンの知っている人物。
ずっと避けてきた故郷ルイス島で起きた殺人事件の捜査に向かわされるのです。
八歳で両親を交通事故で亡くし、叔母に育てられたフィン。
兄弟同然の幼なじみ、アーシュター。
初恋の人で、今は何とアーシュターの妻となったマーシャリー。
今回の事件の被害者、乱暴者のアンガス。
その弟、マードゥ。
アンガスとマードゥに執拗にいじめられていたカルム。
スコットランドの北部の小さな島で起きた殺人事件の捜査のために、幼なじみや同級生たちに証言をとることになったフィン。
そしてルイス島伝統のグーガ狩りの思い出。
甘酸っぱく切ない初恋の思い出や、
両親を亡くして辛かった子供時代の思い出がよみがえり・・・
物語はフィンの幼少から青年時代と、
現代の事件の謎解き、二つが同時に進行していきます。
ミステリではあるのだけれど、フィンの幼少時代からの思い出話も同時に進行し、
少年時代の物語はまるでスタンド・バイ・ミーのようだと思いながら読み進めていくと、
どうやら何かが起きてフィンはルイス島を出ていってしまったようで、
なぜ彼が島の幼なじみたちを避けて生きてきたのか、
島では何が起きたのか、何がフィンを変えてしまったのか、
謎だらけになってきて・・・
さらに同級生の乱暴者のアンガスの殺人事件の謎もなかなか解けない。
フィンは八歳で両親を交通事故で亡くし、変わり者の叔母に育てられ、父性愛に飢えていました。
そんな彼に勉強を教え、我が子と同じように優しく接してくれて、大学へ行けるように導いてくれたのは、幼なじみのアーシュターの父親でした。
母と娘の関係性も難しいものですが、
父と息子の関係性もまた、難しいものなんでしょうね。
息子は一番身近な同性である父親を尊敬し、憧れ、
しかし、父親を乗り越えなければ、大人にはなれないのものなのではないでしょうか。
その過程がうまくいけばいいけれど、父親から愛情という名でごまかされた抑圧を受け続けると、息子は父親を恐れ、憎むようになってしまう。
フィンには父親がいなかった。
しかし、フィンを息子のように思う島の男たちがいた。
なのになぜ、なぜフィンは島を捨ててしまったのか。
同級生が殺された事件が、自分が担当した別の事件と手口が酷似していたために島に行かざるをえなくなってしまったフィン。
捜査のため、同級生たちに事情を聞くうちに、
フィンは今回の事件だけでなく、過去とも対峙することになっていきます。
雨ばかりで強風が一年中吹き荒れる、どんよりしたわびしい島であろうルイス島なのに、
島の描写がとても素晴らしく、荒れた天気もとても美しく感じられ、
この小さな島で少年たちがいじめや、学校のことや、家族関係や、異性関係のことなど、悩みながら成長していく様が胸に迫り、
とても長い物語なのにぐいぐい引き込まれてあっという間に読むことができました。
物語の真相はとても辛いものでしたが、最後の一ページで救われます。
辛く悲しい思い出も父子の関係性によるものだったけれど、
反対に、これからの希望もまた、父と子の関係にかかっている、
そんな風に思えた結末でした。
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仕事のことで鬱状態が続いており全く本が読めなかったのですが、ぼちぼち読めるようになってきました!
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- 出版社:早川書房
- ページ数:314
- ISBN:B00P0QOUO6
- 発売日:2014年09月10日
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