yukoさん
レビュアー:
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京都で生まれ育った作者が描く、綿矢版『細雪』 学生時代、OL時代とずっと京都に通っていた私にとっては思い出深い場所がたくさん出てきて懐かしい気持ちになりました。
図書館司書をしている、結婚を焦る奥手な長女、綾香。
小さいころからモテ人生を突っ走ってきた次女、羽依。
モテモテだが女には嫌われる。
そして大学院で研究に没頭し、恋の経験もない三女、凛。
京都で生まれ、京都から出たことがない両親とともに三姉妹は暮らしています。
父の定年と同時に、母は、主婦を定年退職いたします、と食事を作ってくれなくなり、
三姉妹は交代で晩御飯を作る日々。
長女の綾香は、結婚を焦っているけれど、前の恋で傷ついた経験から、出会いを自分で見つける気にもなれないまま。
次女羽依は小さい頃からモテモテ。
就職先ですぐに人気者の上司と恋仲に陥るも、その態度振る舞いのせいで女子社員たちからいじめられています。
大学院で研究に没頭する三女の凛は、
京都が大好きだけれど、好きだからこそ、一度ぐらいはこの京都という土地から出ていかないと、一生この京都という土地に飲み込まれて、出ていけないのでは、と、就職して東京へ出ていこうと思っているのです・・・
物語は新緑の季節の鴨川から始まります。
それも北の方。
有名なカップルが等間隔で座っているあの光景の場所ではなくて、もっと北の方、北大路大橋から物語は始まり・・・
私が通っていた大学は北区にあって、この北大路大橋から北へ、北山大橋、御薗橋と、毎日見ていた光景なのできゅんとしながら読み始めました。
知り合いの方が先にこの本を読んでらして、
面白かったですか、と尋ねたら、
こんなに京都の人、意地悪ちゃうよねぇ、とおっしゃってたので、そんなにもいけずな話なのかと読み始めたのですが、このぐらいのこと、京都でなくたってどこだってあることだなぁって。
女子社員のいざこざにしたって、
会社でなくてもどこでも、どの年齢でもあるんですって、女が何人か集まると。
そして、恋仲になった男、別れた男とのいざこざだって、どの土地でも、何歳でもきっとあることで、でもなんだか物語の舞台が京都だから、ことさらにいけずやなぁって思わせてるかもしれないけれど、
確かに、京都だから際立っているところはあるけれど、
京都が日本の中で、あまりにも変わらずにきた土地だから、なんだかものすごく特殊な土地に思えて、ことさらに「いけず」が目立つのかもしれませんね。
グループで女同士つるむのが苦手な私は、
羽依のようにモテなかったけれど、羽依のような目には遭ったことがあるので、
あぁそれも京都でのことだったな、とにんまりしましたけどね(笑)
次女の羽依がとてもエキセントリックな質なので、そればかり際立つように思えますが、
おっとりしているけれど芯のしっかりした頑固者の綾香も、京都を愛しているが故に京都から出なくてはと葛藤する凛も、三姉妹それぞれが成長していく、いい物語だったと思います。
特に同時に読んだ同じ綿矢さんの『ウォーク・イン・クローゼット』が散々な感じで、
書評を書くのも億劫なぐらいイマイチ私には合わなかっただけに、今作の出来はとても素晴らしいものでした。
ラストはなんだかいろんなことが曖昧な終わり方で。
続きがあるといいなぁ・・・
小さいころからモテ人生を突っ走ってきた次女、羽依。
モテモテだが女には嫌われる。
そして大学院で研究に没頭し、恋の経験もない三女、凛。
京都で生まれ、京都から出たことがない両親とともに三姉妹は暮らしています。
父の定年と同時に、母は、主婦を定年退職いたします、と食事を作ってくれなくなり、
三姉妹は交代で晩御飯を作る日々。
長女の綾香は、結婚を焦っているけれど、前の恋で傷ついた経験から、出会いを自分で見つける気にもなれないまま。
次女羽依は小さい頃からモテモテ。
就職先ですぐに人気者の上司と恋仲に陥るも、その態度振る舞いのせいで女子社員たちからいじめられています。
大学院で研究に没頭する三女の凛は、
京都が大好きだけれど、好きだからこそ、一度ぐらいはこの京都という土地から出ていかないと、一生この京都という土地に飲み込まれて、出ていけないのでは、と、就職して東京へ出ていこうと思っているのです・・・
物語は新緑の季節の鴨川から始まります。
それも北の方。
有名なカップルが等間隔で座っているあの光景の場所ではなくて、もっと北の方、北大路大橋から物語は始まり・・・
私が通っていた大学は北区にあって、この北大路大橋から北へ、北山大橋、御薗橋と、毎日見ていた光景なのできゅんとしながら読み始めました。
知り合いの方が先にこの本を読んでらして、
面白かったですか、と尋ねたら、
こんなに京都の人、意地悪ちゃうよねぇ、とおっしゃってたので、そんなにもいけずな話なのかと読み始めたのですが、このぐらいのこと、京都でなくたってどこだってあることだなぁって。
女子社員のいざこざにしたって、
会社でなくてもどこでも、どの年齢でもあるんですって、女が何人か集まると。
そして、恋仲になった男、別れた男とのいざこざだって、どの土地でも、何歳でもきっとあることで、でもなんだか物語の舞台が京都だから、ことさらにいけずやなぁって思わせてるかもしれないけれど、
確かに、京都だから際立っているところはあるけれど、
京都が日本の中で、あまりにも変わらずにきた土地だから、なんだかものすごく特殊な土地に思えて、ことさらに「いけず」が目立つのかもしれませんね。
グループで女同士つるむのが苦手な私は、
羽依のようにモテなかったけれど、羽依のような目には遭ったことがあるので、
あぁそれも京都でのことだったな、とにんまりしましたけどね(笑)
次女の羽依がとてもエキセントリックな質なので、そればかり際立つように思えますが、
おっとりしているけれど芯のしっかりした頑固者の綾香も、京都を愛しているが故に京都から出なくてはと葛藤する凛も、三姉妹それぞれが成長していく、いい物語だったと思います。
特に同時に読んだ同じ綿矢さんの『ウォーク・イン・クローゼット』が散々な感じで、
書評を書くのも億劫なぐらいイマイチ私には合わなかっただけに、今作の出来はとても素晴らしいものでした。
ラストはなんだかいろんなことが曖昧な終わり方で。
続きがあるといいなぁ・・・
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仕事のことで鬱状態が続いており全く本が読めなかったのですが、ぼちぼち読めるようになってきました!
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この書評へのコメント
- noel2021-06-14 15:47
京都がお好きでしたら、京を舞台にした時代小説はいかがですか。元禄時代の呉服問屋の主人が竹馬の友だった友人の医師の死を怪しみ、敢えて楽隠居してその真相を暴いていく話です。https://www.honzuki.jp/book/293950/review/254516/
いまひとつは現代劇で、四条大宮の宝くじ売り場で買った宝くじをめぐって繰り広げられる、ちょっと悲しいミステリーです。京都の地名や地理に詳しい方、思い入れのある方にはいずれもお薦めです。https://www.honzuki.jp/book/294058/review/254738/クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - noel2021-06-15 07:12
『丁寧なほど、おそろしい 「京ことば」の人間関係学』という、読んで楽しく、思わず微笑んでしまうものもありますよ。
https://www.honzuki.jp/book/129314/review/187095/クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
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