はるほんさん
レビュアー:
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ゆとりなの?福祉大国のゆとりなの?
普段翻訳モノをほとんど読まないのだが
ロウジンスキーとしては見過ごせないタイトルで購入。
原題は「Kaffe med rån」、
スウェーデン語で直訳すれば「強盗とコーヒー」。
すげーな。コーヒーはどうやってロウジンノタシナミに変身したんだろう。
舞台はさる老人ホーム。
5人の老若、いや老老男女たちは重大な問題について合議していた。
オーナーが変わってからというもの、酷い待遇になった。
コーヒーは自販機、食事は冷凍モノ、他にもあれこれ規制され、
有意義であるべき老後がちっとも楽しくない。
世界でも有数の福祉先進国をうたわれる北欧が舞台だと思うと
なんだか別の衝撃が身体を突き抜ける。
老人小説は読みたいけど、君たちの国だけはやっちゃいけないんじゃ…?
しかしこの事が後に、別の衝撃をも生むことになる。
自分達の「老後」を充実させるために色々オイタを、
否、工夫を凝らしてオーナーと闘いを繰り広げる彼らだったが
ステキでナイスなアイディアを思いつく。
こんな暮らしをするくらいなら、刑務所の方がよほどマシだ。
数年で出てこれるような「犯罪」を犯して刑務所で暮らし、
その後はその「戦利品」で楽しく暮らせばいい──
いやもうなにいってんのこのヒトたち。
ゆとりなの?福祉大国のゆとりなの?
通常の老人小説と違うトコで心がザワつくわ。
しかも彼らは人を不幸にするような犯罪を好まない。
誰も傷つかない、損をしない、罪のない犯罪を目指そうと誓うのだ。
いやもうな(略
思いついたのは国立美術館の名画。
これを誘拐し、身代金をいただくのだ。
さあ老人だらけの窃盗団、歩行器に乗っていざゆかん──
(略
ほぼ老人の座談会だけで計画は決められ、
セキュリティやその他諸々は目視だけで確認するというアナログさ。
同じ老人小説のもう過去はいらないや旅のお供に殺人をのようなドキバクとはまた違う。
なんかこのジーサンバーサンを正坐させて並べたくなる衝動に襲われる。
そんなもん上手くいくワケないやろ!!
ええか人生っちゅうのはキビシイねん!ンな簡単に…
成功してまうんかーーーーーい!┌(`Д´)ノ)゚∀゚)スパーン
いや、ストーリーが雑な訳ではないのだ。
次から次へと彼らを襲う困難は細かに描写されているし
それを切り抜ける手腕もキッチリ書かれている。
だがその度にシャンパンを開けて乾杯している姿に
思わずカクテルグラスを掲げて「なんでやねーーん!」と言いたくなる。
多分だが、細かに書かれている事でのテンポの悪さもある。
ストーリーとしては映画「人生に乾杯」的な老人犯罪なのだが
時代が変わり、アナログさがウリ(?)の老人と
テクノロジー社会に微妙な段差ができており
そこにスロープを敷いたような「甘さ」も若干なくはない。
が、そんな「お嬢さんお坊ちゃん」的なジジババであるのも
スウェーデンという福祉大国ならではのキャラかもしれない。
国ごとに老人小説を分析したら、案外面白いのかも。
そんな訳で、老人小説は翻訳モノも積極的に読みたく思った次第である。
老人小説は中年のたしなみ。
ロウジンスキーとしては見過ごせないタイトルで購入。
原題は「Kaffe med rån」、
スウェーデン語で直訳すれば「強盗とコーヒー」。
すげーな。コーヒーはどうやってロウジンノタシナミに変身したんだろう。
舞台はさる老人ホーム。
5人の老若、いや老老男女たちは重大な問題について合議していた。
オーナーが変わってからというもの、酷い待遇になった。
コーヒーは自販機、食事は冷凍モノ、他にもあれこれ規制され、
有意義であるべき老後がちっとも楽しくない。
世界でも有数の福祉先進国をうたわれる北欧が舞台だと思うと
なんだか別の衝撃が身体を突き抜ける。
老人小説は読みたいけど、君たちの国だけはやっちゃいけないんじゃ…?
しかしこの事が後に、別の衝撃をも生むことになる。
自分達の「老後」を充実させるために色々オイタを、
否、工夫を凝らしてオーナーと闘いを繰り広げる彼らだったが
ステキでナイスなアイディアを思いつく。
こんな暮らしをするくらいなら、刑務所の方がよほどマシだ。
数年で出てこれるような「犯罪」を犯して刑務所で暮らし、
その後はその「戦利品」で楽しく暮らせばいい──
いやもうなにいってんのこのヒトたち。
ゆとりなの?福祉大国のゆとりなの?
通常の老人小説と違うトコで心がザワつくわ。
しかも彼らは人を不幸にするような犯罪を好まない。
誰も傷つかない、損をしない、罪のない犯罪を目指そうと誓うのだ。
いやもうな(略
思いついたのは国立美術館の名画。
これを誘拐し、身代金をいただくのだ。
さあ老人だらけの窃盗団、歩行器に乗っていざゆかん──
(略
ほぼ老人の座談会だけで計画は決められ、
セキュリティやその他諸々は目視だけで確認するというアナログさ。
同じ老人小説のもう過去はいらないや旅のお供に殺人をのようなドキバクとはまた違う。
なんかこのジーサンバーサンを正坐させて並べたくなる衝動に襲われる。
そんなもん上手くいくワケないやろ!!
ええか人生っちゅうのはキビシイねん!ンな簡単に…
成功してまうんかーーーーーい!┌(`Д´)ノ)゚∀゚)スパーン
いや、ストーリーが雑な訳ではないのだ。
次から次へと彼らを襲う困難は細かに描写されているし
それを切り抜ける手腕もキッチリ書かれている。
だがその度にシャンパンを開けて乾杯している姿に
思わずカクテルグラスを掲げて「なんでやねーーん!」と言いたくなる。
多分だが、細かに書かれている事でのテンポの悪さもある。
ストーリーとしては映画「人生に乾杯」的な老人犯罪なのだが
時代が変わり、アナログさがウリ(?)の老人と
テクノロジー社会に微妙な段差ができており
そこにスロープを敷いたような「甘さ」も若干なくはない。
が、そんな「お嬢さんお坊ちゃん」的なジジババであるのも
スウェーデンという福祉大国ならではのキャラかもしれない。
国ごとに老人小説を分析したら、案外面白いのかも。
そんな訳で、老人小説は翻訳モノも積極的に読みたく思った次第である。
老人小説は中年のたしなみ。
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歴史・時代物・文学に傾きがちな読書層。
読んだ本を掘り下げている内に妙な場所に着地する評が多いですが
おおむね本人は真面目に書いてマス。
年中歴史・文豪・宗教ブーム。滋賀偏愛。
現在クマー、谷崎、怨霊、老人もブーム中
徳川家茂・平安時代・暗号・辞書編纂物語・電車旅行記等の本も探し中。
秋口に無職になる予定で、就活中。
なかなかこちらに来る時間が取れないっす…。
2018.8.21
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- 出版社:東京創元社
- ページ数:446
- ISBN:9784488151058
- 発売日:2016年09月10日
- 価格:1404円
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