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たけぞう
レビュアー:
だーかーら、ホラーは苦手なんだってば!
運命のいたずらでこの本を読むことになりました。神様のバカ。
図書館待ちをしていた本が運悪く二冊手元に来てしまい、この本の読み順が
後回しになりました。

ホラーが苦手なら、後回しでよかったじゃんと思っていませんか?
ノンノンノン。
一日一日と過ぎるにつれ、ほら次はホラーだよ、ちょっと表紙を見てみないか、
大丈夫怖くなんかないからと、頭の中で無限妄想ループが始まるのです。

この本は、本が好き! ホラー書評マスターのらぐさんが選んでくれたものです。
ガチ恐怖系にするか迷って軽めにしてくれたとのことですが、わたしの
チキンハートはそんならぐさんの言葉にすがるしかなったのです。
ホラーだぜうひひ V.S. だってらぐさんが大丈夫って言ったもん!
これが延々と一週間続きました。

普段は会社の昼休みしか本を読まないのですが、図書館本をさっさと返却する
ために帰宅後の夜を使い、土曜・日曜を使ってとにかく読み切りました。
手元に来てから一週間後、ついにこの本を手に取ることになったのです。
実はもう、心が折れる寸前だったのです。しかも読む前に。

いまわたしは、平穏な心で書評を書いています。
さすがマスター。さすが神。
運命の神様にはいじわるされましたが、本読みの神様には助けられました。
これは面白かったです。ホラーが苦手という人に超おすすめです。
大丈夫、騙して犠牲者を増やそうなんて考えていませんよ♪

この作品をジャンル分けするならばノスタルジック・ホラーになると思います。
そうです、わたしが読める数少ないホラー作家の恒川光太郎さんと
同じカテゴリーです。
ホラー好きな人にすれば、ホラーとはちょっと違うじゃないのと言われそうですが、
苦手な人にとってはとても貴重なジャンルなのです。

ところで、先ほどからあえてホラーが‘苦手’と書いています。
‘嫌い’なのはスプラッタ系の悪趣味なものです。
苦手という意味は、刺激が強すぎて耐えられないということなのですね。
分かりやすく言うと、夜、眠れなくなるということなのですね。
さらに、せっかく目を閉じても悪夢を引き連れてきて(やめんか

苦手でも、大丈夫な条件があります。
残酷なシーンが少しあっても、物語の核で心が通じていれば救われるのです。
ノスタルジック・ホラーは、あやかしの時代に対する敬意や、怪異に対する
自然体の立ち位置が感じられるので読めるのです。
つまり、無意味に怖がらせようとしないで、超常現象を淡々と描き、その中で
人間模様を描いてあれば乗り越えることができるのです。

それにしてもわたし、今日はとても饒舌ですね。見苦しくてすみません。
頭の中に浮かんだ考えを全部さらして、怖さから逃れようとしているようです。
いやもう、それに間違いないです。

最後に、物語を少し紹介しておきますね。
九篇の連作短篇集です。
一篇が三十ページ前後なので、恐怖におびえる時間が少ないので素敵です。

江戸時代らしき舞台で、蠟庵先生と輪と耳彦の三人道中、その行く先々で
出会う怪異をまとめたものです。
三人の役割は、旅本の作者、書物問屋の娘、荷物持ちです。
ふらふらとさまよい歩く先生を、しっかり者の娘が助けるのですが、
まぬけな耳彦がいつも何かをやらかすという展開です。

表題作の「わたしのサイクロプス」は、せつなくて印象深いです。
「四角い頭蓋骨と子どもたち」の悲哀も心を打ちますし、「星と熊の悲劇」は
王道の作品です。
うちの娘もホラーを読みかけては、抜けられなくなって後悔しながら読む
タイプなので、この本を薦めておきました。

わたしはきっと、ホラーを強く意識しすぎているのでしょうね。
永遠の修行不足に恥じ入るばかりです。
何はともあれ、らぐさん本当にありがとうございました。
そしてここまでお読みいただいた皆様も感謝です。
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たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1462 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。

自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
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よかったらのぞいてみて下さい。

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この書評へのコメント

  1. そのじつ2016-11-01 00:22

    期待してまちがいなかった、たけぞうさんのホラー書評。美味しゅうございました( ´ ▽ ` )

  2. たけぞう2016-11-01 00:31

    >そのじつさん
    脳内全ダダ漏れの巻でございます。失礼をば。

  3. ぱせり2016-11-01 05:15

    クスクス笑いながら読ませていただきました。私もほらー苦手!なのですが、この本読んでみたくなりました。メモしますー。

  4. はにぃ2016-11-01 05:17

    待ってました!
    これを機にホラーのとりこになったりして(・∀・)ニヤニヤ

  5. はるほん2016-11-01 06:57

    素敵な本に出会えてよかったですねえ!(←どの口が)

    いや「ホラーダメ」のリアルさに、書評以上に引き込まれました。
    さすがのホラーマスターのオススメ本、
    この評のリアルと並べて読みたくなりましたw

  6. かもめ通信2016-11-01 07:37

    たけぞうさんが第一段階をクリアした。
    それでは次はもう少しハードなものを…
    そしてまたその次はますます……と、
    ホラーマスターの教育プログラムが待ち構えているような気がする……。
    ワクワク♪ゾクゾク♪

  7. 薄荷2016-11-01 07:45

    >恐怖におびえる時間が少ないので素敵・・・なんと饒舌なホラー苦手感(笑)
    >だってらぐさんが大丈夫って言ったもん!・・・本を差し出すホラー・マスターの優しい笑顔と、それを受け取るたけぞうさんのひきつった笑顔が目に浮かぶ・・・。

    ホラーなのに、物凄く楽しいレビューでした!(≧∇≦)

  8. たけぞう2016-11-01 20:51

    >ぱせりさん
    あっ、そうですねー、ぱせりさんもホラー書評のイメージがないですね。
    それでは、チキンズ仲間ってことで♪(迷惑

    >Honey王女
    じいの目はしょぼしょぼですゆえ、ほらぁはもう読めませぬ フガフガ

    >はるほんさん
    ホラー・マスターらぐさんの目利きは確かです。ええ、本当に助かりました。

    >かもめ通信さん
    たけぞうは第一段階ですべてのHPとマジックポイントを使い切った。ちゃらららららん。

    >薄荷さん
    むむっ どこかで見られていたかのようなコメント、恐れ入ります。
    次は恐怖のケーキとかの、食べ物系ホラーでも(あるのでしょうか

  9. タカラ~ム2016-11-03 05:53

    少しずつホラーへの耐性を身に着け、いずれは立派なホラーマスターになる。たけぞうさんの目標が定まりましたね(いや、たぶん違うww)

    いきなり熱湯風呂は熱くて入れないけど、ぬるま湯から少しずつ熱くしていけば耐えられるといいますから、たけぞうさんのホラー修行もそのペースでがんばってください!

  10. たけぞう2016-11-03 15:30

    >タカラ~ムさん
    いやね、人間、できることとできないことがあることを実感しています。
    頑張れば、落第はまぬがれることができるという、ただそれだけでございます。

  11. No Image

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