書評でつながる読書コミュニティ
  1. ページ目
詳細検索
タイトル
著者
出版社
ISBN
  • ログイン
無料会員登録

ぱせりさん
ぱせり
レビュアー:
ヴィーチャは四年生になりました
★岩波少年文庫100冊マラソン4冊め


九月、学校が始まり、ヴィーチャは四年生になりました。この日、ヴィーチャのクラスに転校生がやってきます。ヴィーチャと大の仲良しになるコースチャ・シーシキンが。


ソ連時代の子どもたちの暮しがいろいろ知れておもしろい。
男女別学で、ヴィーチャの学校には男の子しかいないこと。一つ下の妹リーカは別の学校に通っている。
学校は四学期制(九月からクリスマスまでに二学期ある)
学校のほかに、子どもたちはピオネールという縦割りの少年団に入っていて、奉仕活動などに勤しむ。


好きな遊びやスポーツには、時間を忘れて夢中になるくせに、苦手な勉強は後回し。さまざまなインチキを駆使して、先生の目をごまかそうとする子どもたち。
ピオネールの仲間と一緒に電車に乗って、初めてのサーカスを観に行き、夢中になる。
飼い犬(もとは宿無し犬)に芸を仕込み、クラスじゅうの喝采を浴びる。
みんなで本を持ち寄って学級文庫を作る。
まだまだたくさん。四年生の日々は盛りだくさんの出来事とともに忙しく過ぎていく。


実はヴィーチャは、(国語は得意だが)算数が大の苦手で成績は落第点の「2」をつけられている。コースチャは逆で国語の書き取りが「2」。そして、クラスで落第点をつけられているのはこの二人だけで、その連帯責任で、他のメンバーみんな肩身がせまいのだ。
友人たちの協力のもと、二人の落第坊主が、なんとか恥ずかしくない成績をとれるようになるまでが、物語の大きな柱なのだ。


正直、物語には教訓ぽいところがあると思うし、そもそも個人の成績の悪さのせいで、グループ全体が肩身の狭い思いをさせられるということは、いまの私たちの価値観とはちょっと違う。
だけど、ヴィーチャたちにとって、みんなの平均点を底上げすることは、まるでサッカー競技などのチームワーク的なノリなのだ。小さな成功の積み重ねには、読んでいるわたしも「ナイスシュート!」と手を叩きたくなってしまう。


国が違う、時代がちがう。そうして、何がよくて何が悪いかも微妙にちがうが、変わらないものはいっぱいある。変わらないものについて丁寧に描かれていてるから、共感する。応援する。
自分が学校に通っていた時のことを思い出す。テストも通知表の評価も嫌だったねえ。


掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
ぱせり
ぱせり さん本が好き!免許皆伝(書評数:1742 件)

いつまでも読み切れない沢山の本が手の届くところにありますように。
ただたのしみのために本を読める日々でありますように。

読んで楽しい:4票
参考になる:24票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. Roko2025-02-05 14:25

    ぱせりさん、教えてください。

    「岩波少年文庫100冊マラソン」はどなたかが主催されているイベントなのでしょうか?

  2. ぱせり2025-02-05 15:46

    Rokoさん、
    「X」で、三本川(岩波文庫を読む人)さんという方が始めたのです。
     https://x.com/3bongawa_books/status/1873914925443416483 ←ここです。
    私は、ぷるーとさんのレビューをきっかけに知りまして、さっそく便乗させていただいています。

    100冊、先は長いのですが、のんびりと読んでいきたいな―と思っています。
    Rokoさんもご一緒にいかがですか。道連れは多い方が楽しいですし(^o^)

  3. Roko2025-02-05 18:16

    ぱせりさん、回答ありがとうございます。
    わたしも参加してみようと思います。m(__)m

  4. ぱせり2025-02-05 18:41

    \(^-^)/

  5. No Image

    コメントするには、ログインしてください。

書評一覧を取得中。。。
  • あなた
  • この書籍の平均
  • この書評

※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。

『ヴィーチャと学校友だち』のカテゴリ

フォローする

話題の書評
最新の献本
ページトップへ