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かなえさん
かなえ
レビュアー:
言わずと知れたクリスティの名作。でもラストはやっぱりポワロらしくないなぁ。スーシェのドラマでちょっとスッキリしたけど。
アガサ・クリスティと言えば?と問えば、この作品は間違いなく多くの人が挙げるでしょうね。超有名ミステリです。
もしかするとクリスティ作品の中でも、一番多く映像化されているのではないでしょうか。

トルコのイスタンブール発、フランス・カレー行きのオリエント急行。
ポワロが乗りこんだその車両には、実に様々な人たちが集まっていました。
国籍も年齢も職業も階級もバラバラ。
人間観察にいそしむポワロでしたが、旅の途中で列車が大雪で立ち往生してしまいます。
そしてその夜、男性が刺殺されました。
全身を12カ所も刺されたその男性は、かつて幼い女の子を誘拐し殺害した挙げ句、無罪となった男だったのです。
ポワロたちの捜査によれば、犯人はその車両に乗り込んだ乗客の中にいるはずでした。
でも、全員に確固たるアリバイが。
果たして彼を刺し殺したのは誰なのでしょう?

初めてこのミステリを読んだのは高校生の頃。
今からもう30年も前のことです。
クリスティを読み始めてから数冊目だったので、そのときには感じなかったのですが、その後、ポワロシリーズを読みすすめるにつれ、このミステリの結末に違和感を抱き始めました。
ポワロらしくない結末に思えて仕方なかったのです。

本作の最後、ポワロはいつもの謎解きで、珍しく2つの解答を示します。
どちらが正しいと思うか、その判断は他者にゆだねるのです。
1つは言うまでもなく『真相』なのでしょう。
もう1つは、犯人をかばうための解答。

エルキュール・ポワロという人間は、殺人を憎んでいたはずなんです。
どんな理由があっても、人を殺すという行為は認めなかった。
けれど、この作品では犯人をかばおうとしています。
それが腑に落ちなかったんですよね。

今から5年ほど前、この作品がデヴィッド・スーシェの「名探偵ポワロ」シリーズで映像化されました。
これを観たとき、私の違和感が消えました。
なるほど、それなら納得できる…と。
ポワロの苦悩が、とてもよく伝わってきた作品になっていました。

数多くあるクリスティ作品の中でも、トリックと人間ドラマが秀逸なミステリです。
未読の方は是非一度お手に取ってみてください。

さて次は、ポワロが最大の危機に見舞われたミステリに進みます。

刊行年:1934年
MURDER ON THE ORIENT EXPRESS
お気に入り度:本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント
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かなえ
かなえ さん本が好き!1級(書評数:154 件)

南国沖縄在住です。
小説(特にミステリ)が好きですが、少しでも興味を持ったジャンルにはどんどん手を出してしまうタイプです。
最近はアウトプットをサボっていますが、徐々に頑張ります!

読んで楽しい:12票
参考になる:9票
共感した:5票
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この書評へのコメント

  1. ef2016-08-23 07:44

    この作品、読みたくて読みたくて、小学生の頃頑張って文庫を読んだ思い出があります。
    いやぁ、初読の時の衝撃ったらすごかった!

  2. かなえ2016-08-23 08:43

    ですよね!コレとアクロイドと誰もいなくなったは、衝撃でした!

  3. No Image

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