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献本書評
はるほん
レビュアー:
「死ぬまでに絶対見たい」というアオリ文句がハンセンスでイカス。(笑)
タイトル通り、世界の様々な墓の写真。
帯に書かれた「死ぬまでに絶対見たい」というアオリ文句が
なかなかにハンセンスでイカス。(笑)
美しいものから「お墓!?」と思うようなモノまで
52点の様々な墓が掲載されている。

ピラミッドや古墳のような歴史的に有名なものはないので、
庶民レベルの墓が対象なのだろう。
墓と宗教は分けて考えにくいが、仮に宗教というモノがなくても、
恐らく私達は亡くなった人間を弔い、悼む。
墓とはその民族の死への想いなのだ。

それだけに本書は歴史とは違う「伝統」が感じられて、興味深い。

ヨーロッパ・中東アフリカ・アジアオセアニア、そして
南北アメリカの4章で構成されている。
それぞれ良いなと思ったモノをあげておこう。
まずヨーロッパでは、ルーマニアの小さな村。
青地の木の墓には赤・黄の華やかな色合いで
故人がどんな人生を送ったかがユーモラスなイラストで描かれている。

アフリカはガーナ。
飛行機やライオン、ビールやエビといった前衛的な棺が
これまた艶やかな装飾で作られている。
棺を運ぶ葬儀の様子はまるで神輿を担ぐ祭のようで
何だか微笑ましい気がしてしまう。

アジアはチベットの鳥葬台。
美しいとかいうのではないが、死者の魂は天に昇るが故に
鳥という媒体を使う素直さが、いい。
また草木の無い地域では火葬も容易でなく、
鳥葬が風土に適した弔いなのだという説明にも、ほほうと思った。

最後は地球の最果て、南極。
南極基地で埋葬された者たちの墓だが
その周りには何の屈託もなく、オットセイがくつろいでいる。
死を悼む人間と、死を日常と受け容れる野生動物の対比のようで
ふと心を奪われる構図だった。

宇宙葬や海中葬なんて近年のものもあるが
世界でも昔から「家の形」をした墓が割とあることに、驚いた。
それがまた黒白一辺の日本と違って、とてもカラフルだ。
「墓参り」は故人の家に遊びに行く感覚なのだろうか。
どちらがいいというのではなく、その違いが面白い。

中には観光として入れる墓地もあるようだ。
「死ぬまでに絶対見たい」は伊達じゃなかった。
うん、機会があったら見てみたいゾ。

日本はもうすぐお盆。
形式的になりがちな法事だが、ちょっと新鮮な思いで
「日本の伝統」をも考えてみたくなる。
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はるほん
はるほん さん本が好き!1級(書評数:684 件)

歴史・時代物・文学に傾きがちな読書層。
読んだ本を掘り下げている内に妙な場所に着地する評が多いですが
おおむね本人は真面目に書いてマス。

年中歴史・文豪・宗教ブーム。滋賀偏愛。
現在クマー、谷崎、怨霊、老人もブーム中
徳川家茂・平安時代・暗号・辞書編纂物語・電車旅行記等の本も探し中。

秋口に無職になる予定で、就活中。
なかなかこちらに来る時間が取れないっす…。

2018.8.21

読んで楽しい:19票
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