かもめ通信さん
レビュアー:
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今回もまた……だめだった……。
Wings to flyさん主催のネット読書会 100年目に読む漱石に参加すべく、
毎月1作を目標にこれまで敬遠し続けてきた漱石作品を読む試み。
3月目の今月は漱石が職業作家として執筆した第一作“虞美人草”を読んでみた。
読んではみたが……もうねえこれは、苦行以外のなにものでもない?!というぐらい
途中まで辛くて辛くてなかなか先に進めなかった。
何が辛いといってこのいわゆる漢文調の美文(?)というヤツ。
といった調子でつらつらと何行も書きつられねられるわけだけど、
だから結局どんな女なんだっ!
でもまあ、これはいわゆるナレーションだから、
ざざっと目を通して
紫の着物を着こなす艶やかな女を連想しておけばいいことにしよう
そうしようと自分で自分を納得させる。
筋に直接関係ない背景描写の部分でも
ときたもんだ。
連れ立って京都旅行をしている若い男二人に話を持っていくにあたって、
なんとも持って回った言い回し!
いやね。全文この調子でいくのならそれはそれでいいと思うよ。
けれども「格調高い」一方で
登場人物たちはの会話は「ハハハ」「アハハ」と芸がない。
そうかと思うと突然、作者自身が顔を出し
うーん。一貫性もなければ、こなれた構成とも思えない。
そうしたあれこれについてはまず目をつぶって
とにかくストーリーを追ってみると、
美しく学もある女性・藤尾、その義兄で哲学者の甲野、
甲野の友人で外交官試験に挑戦中の浪人の宗近とその妹糸子、
将来を嘱望される文学士の小野、
小野の恩師の娘小夜子の6人を中心としたいわゆる恋バナだ。
藤尾に想いを寄せるのは宗近と小野、
甲野に想いを寄せる糸子、小野に想いを寄せる小夜子ときて、
まあ数の上では割り切れるので、そうそうもめることもなさそうだが、
これがなんともまあ後味の悪いことったらありはしない。
しかも描かれた情報だけではなんでそうなるのか
そういう選択をする人とは思えずに
全くもって納得できない。
そもそもこの登場人物たちときたら
悪役はどこまでも悪役で、
純粋無垢な汚れのない人物はこれ、どこまでもピュアなのだ。
これが誰かひとりの視点で描かれているのなら話はわかるが、
ナレーションをたて筋道を追って語られる形式であるだけに、
人物描写の底が浅いようにおもえてならない。
というか、私
どうしてここまで漱石作品と相性が悪いんだろう?
遺作となった『明暗』は面白く読んだはずなのに……。
その謎を解きたくて、
私の無茶修行(?)はまだまだ続くのだった……。
毎月1作を目標にこれまで敬遠し続けてきた漱石作品を読む試み。
3月目の今月は漱石が職業作家として執筆した第一作“虞美人草”を読んでみた。
読んではみたが……もうねえこれは、苦行以外のなにものでもない?!というぐらい
途中まで辛くて辛くてなかなか先に進めなかった。
何が辛いといってこのいわゆる漢文調の美文(?)というヤツ。
紅を弥生に包む昼酣なるに、春を抽んずる紫の濃き一点を、天地の眠れるなかに、鮮やかに滴らしたるがごとき女である。
といった調子でつらつらと何行も書きつられねられるわけだけど、
だから結局どんな女なんだっ!
でもまあ、これはいわゆるナレーションだから、
ざざっと目を通して
紫の着物を着こなす艶やかな女を連想しておけばいいことにしよう
そうしようと自分で自分を納得させる。
筋に直接関係ない背景描写の部分でも
「松虫」も「鈴虫」も幾代の春を苔蒸して、鶯の鳴くべき藪に、墓ばかりは残っている。鬼の出る羅生門に、鬼が来ずなってから、門もいつの代にか取り毀たれた。綱もぎとった腕の行末は誰にも分からぬ。ただ昔しながらの春雨が降る。寺町では寺に降り、三条では橋に降り、祇園では桜に降り、金閣寺では松に降る。
ときたもんだ。
連れ立って京都旅行をしている若い男二人に話を持っていくにあたって、
なんとも持って回った言い回し!
いやね。全文この調子でいくのならそれはそれでいいと思うよ。
けれども「格調高い」一方で
登場人物たちはの会話は「ハハハ」「アハハ」と芸がない。
そうかと思うと突然、作者自身が顔を出し
この作者は趨きなき会話を嫌う。等と言い出す始末。
うーん。一貫性もなければ、こなれた構成とも思えない。
そうしたあれこれについてはまず目をつぶって
とにかくストーリーを追ってみると、
美しく学もある女性・藤尾、その義兄で哲学者の甲野、
甲野の友人で外交官試験に挑戦中の浪人の宗近とその妹糸子、
将来を嘱望される文学士の小野、
小野の恩師の娘小夜子の6人を中心としたいわゆる恋バナだ。
藤尾に想いを寄せるのは宗近と小野、
甲野に想いを寄せる糸子、小野に想いを寄せる小夜子ときて、
まあ数の上では割り切れるので、そうそうもめることもなさそうだが、
これがなんともまあ後味の悪いことったらありはしない。
しかも描かれた情報だけではなんでそうなるのか
そういう選択をする人とは思えずに
全くもって納得できない。
そもそもこの登場人物たちときたら
悪役はどこまでも悪役で、
純粋無垢な汚れのない人物はこれ、どこまでもピュアなのだ。
これが誰かひとりの視点で描かれているのなら話はわかるが、
ナレーションをたて筋道を追って語られる形式であるだけに、
人物描写の底が浅いようにおもえてならない。
というか、私
どうしてここまで漱石作品と相性が悪いんだろう?
遺作となった『明暗』は面白く読んだはずなのに……。
その謎を解きたくて、
私の無茶修行(?)はまだまだ続くのだった……。
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
この書評へのコメント
- しろくま2016-08-23 07:21
虞美人草ダメでしたか...。
漱石は意図的にご都合主義的にしていて作者が登場するのもメタフィクションを指向しているように読んでとても感心した記憶があります。
http://www.honzuki.jp/book/23303/review/128211/
正宗白鳥は本作「勧善懲悪の馬琴時代に逆行」と酷評していたようなので、まぁ合う合わない相性ありますよね、、、。クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
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- 出版社:
- ページ数:262
- ISBN:B009IXK5DM
- 発売日:2012年09月27日
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