
そっくりなのも当たり前で、当時まだバイク後進国だった日本は、大型バイクのノウハウが全く無く、当時主流だったハーレーを輸入していた三共(現第一三共)により国内生産されたのが『陸王』でした。
その風格はまさに陸の王者に相応しく堂々としたもので、戦時中は軍のサイドカーとして、戦後は一時白バイとして使われたものです。
というわけで、最初にこのタイトルを見た時、昔のバイク乗りだった僕は、てっきりオートバイの話だと思ったんです。
ところが、あらすじを読むと 『老舗の足袋屋が新規事業としてランニングシューズに挑戦する!』と言うお話じゃないですか!
まぁ良く考えれば、なんで池井戸潤氏がオートバイ(しかも戦後倒産しちゃった)の話を書く訳がないんですけど、何故かかなりガックリして暫く放って置いたんです。
なにしろ、僕自身は若い時から短距離はまだしも、長距離走は大嫌い…今のマラソンブームも斜に見ながら過ごしてきたんですから…
でもまぁ、池井戸潤と言えば本を出せば即ドラマ化という人気作家ですし、これもTBSでしっかりドラマ化してるし、最近ちょっとお疲れ気味なのでちょっと「ファイトォ イッパァーツ」しておくか、てな意味で読んでみました。
前置きが長くてすみません。 結論から言わせてもらうと
『陸王』面白かったです。
上に書いた通り、ストーリーは大体知っていましたし、「下町ロケット」も読んでいたので、「ロケット」の「マラソン版」だろうなとは思ったんですが、その通りでした。
他の方も書いているし、テレビでも役所広司が頑張ってますから今更あらすじは書きませんが、どなたかが書いている様にこれは現代の「水戸黄門」ですね。
正義の挑戦に、様々な困難がふりかかる。 悪の組織(この場合は大手シューズメーカーと銀行)の妨害や災害に負けず、正義はやがて勝つ!
目先の利益を追いかけるのでは無く、人と人との繋がり大切にし、信義を通せば必ず成功する!
良く言えば読んで楽しい小説。悪く言えばマンネリなんですけれど…
「安心して読める、面白い小説」と言う点では池井戸作品は第一級ですね。
一時、山本一力氏の小説に嵌って、かなり読んでいたんですが、同工異曲のストーリー展開に飽きてしまった事を思い出します。山本氏は江戸時代 池井戸氏は現代…サラリーマン諸氏にとっては池井戸氏の方が、社会のカラクリもチラッと見えて池井戸氏の方が読んでいて楽しいのでしょうね。
今回も所々にデウス・エクス・マキナ的な展開(シルクレイとの出会い・シューフィッター村野の存在・タチバナラッセル)等々が有りますが(極めつけはフェ…)、
まぁこれを全て御都合主義と否定しちゃうと、この手の小説は全て否定する(と言うか、小説というもの自体が殆ど成り立たなく懼れが有ります)事になり兼ねないので、眼を瞑っときます、実際に勤め先の倒産という経験が有ると、「世の中そんなに「天佑神助」が有る訳じゃないんだよ」と言いたくなります。
さて、本書のランニングシューズ自体のテーマ 「ミッドフット走法」についてちょっと書きます。
最初に書いたようにランニング(特に長距離走)は大嫌いで、齢を重ねてくると歩くのもメンドクサくなり、出来れば外出は『輿』か『椅子駕籠』にでも乘りたい僕ですが、何故かしら理論だけは大好物でその手の本を読んだりドキュメンタリーを見るのですが、本書でも冒頭の方に「タラウマラ族」なる人々の話が出てきます。
メキシコ北西部の2千メートル級の高地に住む彼らは「ララムリ」と呼ばれ、近年その長距離走の能力が注目されています。
彼らは普段はスニーカーを履いたりしていますが、長距離を走る時は「ワラーチ」と呼ぶ廃タイヤを流用したサンダルを履き、飛ぶように走ります。(これ単なる比喩では無く、動画を見るとマジに凄いです)
彼らの走法が「ミッドフット走法」で、従来の足を踵から降ろす「ヒール・コンタクト走法」と比べ脚にかかる負担が少なく、故障しにくいという事だそうです。
本書にも有りますが、人類は木から降りて以来「走る」ことを覚えましたが、その走り方は基本「ミッドフット走法」で有り、近年になってスポーツシューズなるものが出来るまで、マラトンの戦いのフィディピディスも インカ道を走った使者も 日本の飛脚もみんなミッドフット走法で走っている筈です。
ここ数年この走法が見直されてきていますが、果たしてこれが今後の主流になるのか?
そんなことも注目していくのも面白いかも知れませんね。




最近歳のせいか読書スピードが落ちているにもかかわらず、本好きが昂じて積読本が溜まっております。
そして、歩けるうちにとアチコチヘ顔を出すようになりました。
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いささかひねくれた年寄りですがよろしくお願いいたします。
2016年12月 読書メーターのプロフィル画像とハンドルネームをちょっと変えてみました(*^^*)
読メハンドルネーム oldman獺祭魚翁
この書評へのコメント
- oldman2017-12-01 13:36
請け負いは公認ではなく通常貸しコースを利用して運転技術を教えます。
割と早めに進む場合が多いのが特徴ですが、実地試験は鮫洲や府中で受験する事になるので、結構厳しいです。
まぁその代わり強気な運転技術が身に付きますね。
ちなみに筆記試験については、教習本を渡されて独習する事になります。
座学などの拘束がない分、時間的な自由が効きやすいのです。(僕の行った事務所では、しばらく後から、当時デヴュ―したばかりの俳優「永島敏行」が来ていた様です。)
各段階が一発で進めば公認より安上がりですが、試験場で受験するので結果高くつく場合が多いですね。
経験者としてはお薦めできない方法ですよ(;´Д`A ``
公認は通常の「自動車学校」の多くがそうなのですが、実地試験はその学校のコースで行いますし、試験官も学校の教師なので割と楽に受かります。
その代わり、座学で法規を勉強しなくてはなりませんから、結構拘束されるのが厳しいです。クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - 祐太郎2020-08-19 06:58
おはようございます。
ぜひ、ナツイチへのご協力お願いします。
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- 出版社:集英社
- ページ数:592
- ISBN:9784087716191
- 発売日:2016年07月08日
- 価格:1836円
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