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ソネアキラ
レビュアー:
日本初のシングル女性専用アパート―73年の歴史
『大塚女子アパートメント物語 オールドミスの館にようこそ』川口明子著を読む。

「大塚女子アパートメントハウスは、関東大震災後の義捐金により設立された同潤会」が設計した
日本初のシングル女性専用アパート。「1930年(昭和5年)竣工」。その完成から取り壊されるまでの73年間を記している。なんか会社や人間の寿命にも似ている。

同潤会アパートらしいモダンな外観、鉄筋コンクリート造。エレベーターや水洗トイレ完備、地下には食堂と共同浴場、「屋上にはサンルームと音楽室」があり、部屋には備え付け家具など至れり尽くせり。コンシェルジュもいたとか。気分は、パリジェンヌ?

独身女性のためにプライバシーやセキュリティにも万全の配慮を講じた先進性の高い建物だった。

住人のメインはタイピストなど職業婦人のモガから谷崎潤一郎元夫人古川丁未子、バイオリストの小野アンナ(巖本真理や前橋汀子などの先生)。戦後はミステリー作家戸川昌子、フェミニスト駒尺喜美など錚々たる著名人が住んでいた。そのエピソードがドラマのようで。

ま、確かに戸川がこのアパートを舞台にデビュー作『大いなる幻影』(「江戸川乱歩賞」受賞作品)を書いたというのもさもありなんって感じ。

生きにくいのは、かつては、いまでもか、独り者だったが、ここは理想的な居住空間だった気がする。

大塚女子アパートメントは、「2003年に解体」されたそうだ。実際に見ただろうか。見てないなあ。
ただし副題の「オールドミスの館にようこそ」ってのは、好きくないなあ。昨今の風潮を鑑みると、NGだよな。

『消えゆく同潤会アパート 同潤会が描いた都市の住まい・江戸川アパートメント』内田青蔵、橋本文隆、大月敏雄、兼平雄樹著

    • 大塚女子アパートメントハウス
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ソネアキラ
ソネアキラ さん本が好き!1級(書評数:2196 件)

女子柔道選手ではありません。開店休業状態のフリーランスコピーライター。暴飲、暴食、暴読の非暴力主義者。東京ヤクルトスワローズファン。こちらでもささやかに囁いています。

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