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たけぞう
レビュアー:
バーネットの名作。小公女を書いた人です。
梨木香歩さんの著作「物語のものがたり」を読んで、
秘密の花園を未読だったことを後悔しました。
順番が前後しましたが仕方ないです。新訳のこの本を選びました。
表紙の酒井駒子さんの絵が魅力的です。内容をとてもよく伝えています。

読了後、非常に満足しました。
小公女は聞いたことがあったのですが、秘密の花園は作品名を知りませんでした。
さすが名作でした。
赤毛のアンを読んだ時のような高揚感があり、幸せな気持ちになりました。

主人公はメアリ・レノックス。
いつも不機嫌で、やせっぽちで病気がちの少女です。
インド生まれのイギリス人で、インド政庁で働く父はいつも忙しく、
パーティ好きの美人の母はいつも誰かと会っていました。
だからメアリは、世話焼きの乳母に預けっぱなしで、
母の目に触れられないように育てられます。

インド人の召使いがたくさんいる大金持ちです。
わがままで傍若無人であることすら分からないメアリ。
ある日、大事件が起こります。コレラです。
乳母も召使も父も母も、ばたばたと死んでいきました。
命あるものは逃げ、子供部屋で一人寝ていたメアリは、
誰からも忘れ去られました。

メアリは一人でいるところを発見され、
イギリスに住む叔父のクレイヴン家に引き取られることになります。
イギリスでも偏屈者のメアリは嫌われます。
しかし、インド人の召使いとは違い、イギリスの召使いのマーサは
メアリに人間的なふるまいをします。
常識を知らなかったメアリは、マーサとの触れあいで
少しずつ人間性を備えるようになっていきます。

メアリは庭に出ることを覚え、弱かった体がだんだんとしっかりしてきます。
そしてある時、秘密の花園を発見したのです。
この家の最大の謎です。

もう一つの謎。
ある時、メアリは誰かの泣き声を聞きます。
マーサに誰なのと聞くとごまかされます。
果たして誰なのか、間違いなく聞こえたとメアリは気にし続けます。

太陽と風が、文章のあいだからたくさん流れてきました。
穏やかな一日をメアリと一緒に庭で過ごすのは、
読み手にとってとてもくつろぎを覚える時間です。
この世に生きるすべてのものが仲間だと気づかせてくれます。

すがすがしい気持ちになれる一冊でした。
もし未読の人がいましたら、名作はやはり評判の通りだよとお伝えしたいです。
児童文学に分類されますが、普通の小説と遜色はありません。
分かりやすく魅力がダイレクトに伝わってくるのも、
この作品のいいところですよ。
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たけぞう
たけぞう さん本が好き!免許皆伝(書評数:1467 件)

ふとしたことで始めた書評書き。読んだ感覚が違うことを知るのは、とても大事だと思うようになりました。本が好き! の場と、参加している皆さんのおかげです。
星の数は自分のお気に入り度で、趣味や主観に基づいています。たとえ自分の趣味に合わなくても、作品の特徴を書評で分かるようにしようと務めています。星が低くても作品がつまらないという意味ではありません。

自己紹介ページの二番目のアドレスは「飲んでみた」の書評です。
三番目のアドレスは「お絵描き書評の部屋」で、皆さんの「描いてみた」が読めます。
四番目のアドレスは「作ってみた」の書評です。
よかったらのぞいてみて下さい。

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この書評へのコメント

  1. かもめ通信2021-10-17 11:15

    『秘密の花園』がお気に召したのなら、
    鳥好きのたけぞうさんにはぜひ、花園の裏話ともいえる
    「わたしのコマドリ」をお薦めしたいところ。
    私のイチオシは『ほんやく日和 vol.2』に収録された小谷祐子さんの訳なのですが、
    図書館ならみすず書房の大人の本棚『白い人びと』に中村妙子さんの訳で収録されています。
    機会がありましたらぜひ。
    https://twitter.com/kamometuusin/status/1412377469382926343

  2. たけぞう2021-10-17 11:38

    >かもめ通信さん
    いつも思うのですが、とてつもなく翻訳本の知識をお持ちですね。ほんやく日和、検索では同人誌的な情報がヒットしたのですが、さすがにそこまでは,,,みすず書房さんの版をリストに入れておきます。書誌情報で興味がわきましたよ。

  3. No Image

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