efさん
レビュアー:
▼
庭にロボットがいるんだけど……
という妻の一言から始まる本作は、ユーモアたっぷりで、また、ほっこりさせる物語です。
ある朝、主人公のベンとその妻のエイミーの家の庭にロボットが突然現れました。
ロボットは庭に座って、家の向こうの草原にいる馬をじっと見つめている様子です。
そのロボットは、子供くらいの背丈で、四角い身体に四角い頭を載せた、まるで子供が絵に描いたようなレトロな格好をしていました。
ベンが話しかけてみてもうまく言葉をしゃべれないようで、かろうじて自分の名前はアクリッド・タングだと言っているらしいことが理解できただけでした。
ロボットはどこにも行かず、ただ庭にいるだけなのですが、エイミーはベンに対して何とかしてくれと言うばかり。
ゴミに出してしまっても良いじゃないかとも。
ベンは何となくタングに愛着を覚え、それはあまりにも酷いと言い張り、タングの世話を始めます。
物語の設定では、既に家事アンドロイドが普及しているということになっており、エイミーはタングのような出来損ないのロボットなんかじゃなくて、ちゃんとした家事アンドロイドが欲しいと思っていました。
というのは、エイミーは優秀な弁護士としてバリバリ仕事をしているのに、ベンは親の遺産があるからと言って働こうともせず、かと言って家事をやってくれるわけでもないのですから、家事アンドロイド位買っても良いじゃないかと思っているわけですね。
でも、ベンはそんなエイミーの気持ちを忖度することができず、アンドロイドなど不要だと言い続けてきたのです。
ベンは、かつては獣医を目指していたのにその勉強も途中放棄したまま、何をするわけでもなくグータラ過ごしている駄目中年夫であり、エイミーはいい加減愛想を尽かしかけていたのでした。
そこへ現れたタングをちゃんと始末するわけでもなく、むしろタングに夢中になってしまうベンにあきれてしまいます。
ベンは、すっかり汚れていたタングのボディを掃除してやるのですが、その際、タングのボディに文字が消えかけたプレートが貼られていることに気付きます。
どうやらタングを製造した会社名の一部と、所有者はBであることが書かれているように見えます。
それらしい会社名を調べたところ、カリフォルニアにある大手アンドロイド会社ではないかと思われるのでした。
また、タングの胸にはフラップがつけられているのですが、これがきちんと閉まらないことからガムテープで留めたのですが、そのフラップの中を覗いてみると何やらわけの分からない機械が詰まっており、その中のシリンダーらしきものがひび割れていて中に入っている何かの液体が漏れていることにも気付きました。
ベンは、カリフォルニアの会社にタングを持っていって修理してやろう、持ち主が分かれば返してやった方が良いのではないかなどと思いつき、エイミーにそれとなくそんな話をしたところ……エイミーは完全にキレてしまいます。
ちゃんとした家事アンドロイドも買おうとせず、家でグータラしているクセに今度は出来損ないロボットに夢中になってカリフォルニアくんだりまで連れて行くですって?!
遂にエミリーは離婚を申し出て家を飛び出してしまいました。
ベンは、そんなエミリーを強く引き留めることもせず、計画どおりタングをカリフォルニアに連れて行くことにしてしまうのです。
その後、ベンはどんどんタングに惹かれていき、タングを修理するために世界中を飛び回ることになります(日本にもやってくるのですよ)。
本作は、そんなベンとタングの珍道中が描かれて行くことになります。
タングは知能を持っているようで、最初こそ十分に話すこともできませんでしたが、徐々に言葉などを学習していき、その内まるで子供のようなわがままな振る舞いをするようにもなります。
いじけて胸に貼られたガムテープをいじる仕草なんてね、もう。
そんなタングが可愛くて、またおかしくて、本作の大きな魅力の一つになっています。
また、タングと関わっていくうちに、ベン自身も成長していくのですね。
これは、親は子を育て、子に育てられるということをまさに描いています。
そんなベンの成長も物語の読みどころの一つです。
ユーモラスに繰り広げられるストーリーは大変読みやすく、また面白いので、どんどんページをめくってしまうことでしょう。
ある意味ではシンプルなストーリーではあるのですけれど、大変良い作品だと感じました。
読了時間メーター
□□□ 普通(1~2日あれば読める)
2 ロボット・イン・ザ・ハウス
3 ロボット・イン・ザ・スクール
ある朝、主人公のベンとその妻のエイミーの家の庭にロボットが突然現れました。
ロボットは庭に座って、家の向こうの草原にいる馬をじっと見つめている様子です。
そのロボットは、子供くらいの背丈で、四角い身体に四角い頭を載せた、まるで子供が絵に描いたようなレトロな格好をしていました。
ベンが話しかけてみてもうまく言葉をしゃべれないようで、かろうじて自分の名前はアクリッド・タングだと言っているらしいことが理解できただけでした。
ロボットはどこにも行かず、ただ庭にいるだけなのですが、エイミーはベンに対して何とかしてくれと言うばかり。
ゴミに出してしまっても良いじゃないかとも。
ベンは何となくタングに愛着を覚え、それはあまりにも酷いと言い張り、タングの世話を始めます。
物語の設定では、既に家事アンドロイドが普及しているということになっており、エイミーはタングのような出来損ないのロボットなんかじゃなくて、ちゃんとした家事アンドロイドが欲しいと思っていました。
というのは、エイミーは優秀な弁護士としてバリバリ仕事をしているのに、ベンは親の遺産があるからと言って働こうともせず、かと言って家事をやってくれるわけでもないのですから、家事アンドロイド位買っても良いじゃないかと思っているわけですね。
でも、ベンはそんなエイミーの気持ちを忖度することができず、アンドロイドなど不要だと言い続けてきたのです。
ベンは、かつては獣医を目指していたのにその勉強も途中放棄したまま、何をするわけでもなくグータラ過ごしている駄目中年夫であり、エイミーはいい加減愛想を尽かしかけていたのでした。
そこへ現れたタングをちゃんと始末するわけでもなく、むしろタングに夢中になってしまうベンにあきれてしまいます。
ベンは、すっかり汚れていたタングのボディを掃除してやるのですが、その際、タングのボディに文字が消えかけたプレートが貼られていることに気付きます。
どうやらタングを製造した会社名の一部と、所有者はBであることが書かれているように見えます。
それらしい会社名を調べたところ、カリフォルニアにある大手アンドロイド会社ではないかと思われるのでした。
また、タングの胸にはフラップがつけられているのですが、これがきちんと閉まらないことからガムテープで留めたのですが、そのフラップの中を覗いてみると何やらわけの分からない機械が詰まっており、その中のシリンダーらしきものがひび割れていて中に入っている何かの液体が漏れていることにも気付きました。
ベンは、カリフォルニアの会社にタングを持っていって修理してやろう、持ち主が分かれば返してやった方が良いのではないかなどと思いつき、エイミーにそれとなくそんな話をしたところ……エイミーは完全にキレてしまいます。
ちゃんとした家事アンドロイドも買おうとせず、家でグータラしているクセに今度は出来損ないロボットに夢中になってカリフォルニアくんだりまで連れて行くですって?!
遂にエミリーは離婚を申し出て家を飛び出してしまいました。
ベンは、そんなエミリーを強く引き留めることもせず、計画どおりタングをカリフォルニアに連れて行くことにしてしまうのです。
その後、ベンはどんどんタングに惹かれていき、タングを修理するために世界中を飛び回ることになります(日本にもやってくるのですよ)。
本作は、そんなベンとタングの珍道中が描かれて行くことになります。
タングは知能を持っているようで、最初こそ十分に話すこともできませんでしたが、徐々に言葉などを学習していき、その内まるで子供のようなわがままな振る舞いをするようにもなります。
いじけて胸に貼られたガムテープをいじる仕草なんてね、もう。
そんなタングが可愛くて、またおかしくて、本作の大きな魅力の一つになっています。
また、タングと関わっていくうちに、ベン自身も成長していくのですね。
これは、親は子を育て、子に育てられるということをまさに描いています。
そんなベンの成長も物語の読みどころの一つです。
ユーモラスに繰り広げられるストーリーは大変読みやすく、また面白いので、どんどんページをめくってしまうことでしょう。
ある意味ではシンプルなストーリーではあるのですけれど、大変良い作品だと感じました。
読了時間メーター
□□□ 普通(1~2日あれば読める)
2 ロボット・イン・ザ・ハウス
3 ロボット・イン・ザ・スクール
お気に入り度:









掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
幻想文学、SF、ミステリ、アート系などの怪しいモノ大好きです。ご紹介レビューが基本ですが、私のレビューで読んでみようかなと思って頂けたらうれしいです。世界中にはまだ読んでいない沢山の良い本がある!
この書評へのコメント
コメントするには、ログインしてください。
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:小学館
- ページ数:453
- ISBN:9784094062373
- 発売日:2016年06月07日
- 価格:918円
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。