書評でつながる読書コミュニティ
  1. ページ目
詳細検索
タイトル
著者
出版社
ISBN
  • ログイン
無料会員登録

Wings to fly
レビュアー:
伸びやかで鮮やかなエッセイに、私の胸はキュンキュンだ。
小泉今日子さんの文章を雑誌や新聞で目にするたびに、なんてピュアでキュートなんだろうと思っていた。このたび半世紀の人生を綴った本を出されたのをきっかけに著作を手に取ってみたら、感動した。彼女のエッセイはその笑顔と同じくらい魅力的だ。

“キョンキョン”こと小泉今日子さん、80年代を代表する大人気アイドルはいまや押しも押されもしない名女優である。容姿端麗で歌にも演技にも才能があるというだけでは、浮き沈みの激しい芸能界で30年以上も活躍することはできなかっただろう。やっぱり「人間力」なのだ。人間力は、日々の暮らしの中で感じたことをおろそかにしない、その積み重ねで作られてゆくんだ。そんな風に、この本を読んで感じた。

「お前ん家、倒産したんだってなあ」とからかわれ「そうだよ。それがあんたにどう関係あんの!」って、きっぱり言い返せる中学生。学校は好きだけど勉強は嫌い。授業を抜け出しふらっとどこかへ行っちゃうような娘に、ご両親はとてもおおらかだった。芸能活動を始めてから高校を中退している。この子にこれ以上学校は必要ないのではと、事務所も反対しなかった。

「学校へ行かないことがコンプレックスになったら嫌だなぁ。」学習ドリルをたくさん買い込んで勉強し、バッグの中には辞書、空き時間に読書をした。読んでは考えるって、自己研鑽なんだね。尊敬できる人に出会い誰かに恋をすることも。そうやって彼女の中にあった、自分を飾らず人に媚びない強さの芽が育っていったのだろう。

若いアイドルの周囲には海千山千の大人ばかりで、ファンからは大きな愛情と凄まじい悪意を同時に受ける。でも今日子さんが第二の故郷と思う原宿には、彼女のプライベートを優しく見守る人もいた。
「お買いもの?ひとりで歩いて大丈夫なの?」
「あなたにこんな時間があることを知って安心しました。」
彼女の思い出が私の中にフラッシュバックして、微笑みと涙を連れてきた。

素直でさっぱりしていて、冷静に自分を見つめる賢い人だ。50歳になってもあんなに奇麗だし。小泉今日子さんにはちょっとだけ、魔女の血が混じっていると思う。

お気に入り度:本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント
掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
Wings to fly
Wings to fly さん本が好き!免許皆伝(書評数:862 件)

「本が好き!」に参加してから、色々な本を紹介していただき読書の幅が広がりました。

読んで楽しい:17票
参考になる:15票
共感した:4票
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。

この書評へのコメント

  1. No Image

    コメントするには、ログインしてください。

書評一覧を取得中。。。
  • あなた
  • この書籍の平均
  • この書評

※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。

『黄色いマンション 黒い猫 (Switch library)』のカテゴリ

フォローする

話題の書評
最新の献本
ページトップへ