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ぷるーと
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新訳の読みやすさだからこそ、前には気付かなかったもろもろが見えてきた。
『闇の奥』は、岩波文庫で既読である。

V・S・ナイポールの『暗い河』を読もうと図書館で借りたのだが、その舞台である河がコンラッドの『闇の奥』の舞台と同じコンゴ河であること、ナイポールが最初はコンラッドを嫌っていたものの最終的には「自分の前には必ずコンラッドがいる」とコンラッドを認めていたという。
なので、『暗い河』を読む前に『闇の奥』をもう一度読んでみようと思った。そして、読むなら、同じ訳ではなく、新訳で読んでみようと思った。

古典新訳文庫の『闇の奥』(黒原敏行訳)は、とても読みやすい。最初岩波文庫で読んだときは、とにかく重苦しい印象しか受けなかった。アフリカの暑さ、暗さ、冥さに圧倒されたのだったが。

アフリカの奥地の話なのに、冒頭の舞台はテムズ川だ。そして、語り手のマーロウは、「ローマ時代、文明の地ローマから来たローマ人にとってここは闇の奥だった」と語る。これは、作者からの強烈なメッセージだったのだ。

他にも、アフリカ奥地の静けさ、不気味さ、冥さが繰り返し象徴的に描かれる。ああ、初読のときは、これを「ずしんとくる重さ」だと感じたのだ。
今回の訳は、読みやすかったのだが、さらりと乾いた印象を受けた。
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ぷるーと
ぷるーと さん本が好き!1級(書評数:2924 件)

 ホラー以外は、何でも読みます。みなさんの書評を読むのも楽しみです。
 よろしくお願いします。
 

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