ぽんきちさん
レビュアー:
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Too bad to be true...(--;)
新潮文庫のサブレーベル、新潮文庫nexの1冊。
深夜の高校の教室で1人の男が殺された。被害者・羽田の表の顔は人気教師、その実、クラス内のカースト上位に媚を売るイヤな奴だった。
第一発見者はクラス委員のことり。
夜中に羽田を呼び出して殺害したのは、果たして誰か。
クラスに君臨する女王とその取り巻き。底辺の女子2人組。勉強はできるし裕福だがいじられキャラの男子。いじめが原因で不登校になった女子。羽田の婚約者の同僚女性教師。その女性教師に横恋慕していたらしき同僚男性教師。そして、校内でさまざまな人の秘密の手紙のやり取りをしていた養護教員。実は嫌われ者だった羽田に殺意を抱く者は、1人ではなさそうだった。
捜査に当たるのは、かつて高校時代にいじめから不登校を経験したことがあり、「弱者の側に立ちたい」と正義感に燃える若き女性捜査官、永沢。状況から、高校生たちもまた容疑者からは外せなかった。だが、大っぴらに捜査を受けて彼らが心の傷を受けることを恐れた永沢は、ことりの協力を得て、密かにクラスの内情を探ることにする。
そうして浮かび上がる事実とは。事件の真の犯人とは。謎の存在、「神」とは誰を指すのか。
・・・出版社の紹介文には「衝撃的結末の学園バトルロワイヤル!」とあり、まぁそれで想像される範囲内のお話だろうか。
リーダビリティはそれなりに高く、黒幕はこれか、あれか、と思わせておいての最後のどんでん返しはまずまずの鮮やかさだろう(いや、予想はつくんだけど)。
しかし、爽快感があるかというとそれは別である。
イヤミスと言ったらいいのか、とにかく読後感が悪い。いじめシーン(というか、もう暴行という名の犯罪である)もえげつないし、こんな先生いないやろ!?と思うくらい教師がひどすぎる。
数年前に有名女優の高校生の娘に関するスキャンダルがあったが、その辺も下敷きにはなっているのだろう。高校のクラスにある程度の「ヒエラルキー」的なものがあることもあるだろう。けれど、こんな犯罪を野放しにしておくような学校があるはずがないし、いじめを受けた側だって黙っている理由がない。
保健室でやりとりされる手紙が1つのキーなのだが、これもトリックとしてはお粗末すぎて、まずありえない。LINEやらメールやらもあるこのご時世、誰かが見るかもしれない手紙で、こんな深刻な話をやりとりしないでしょう!?
「神」の正義感も歪みすぎていて引く。
本当であるにはひどすぎる。リアリティがすべてとは思わないが、これはない。
nexというレーベルは、ライトノベルや漫画の読者が「その次に手に取る小説」という意味が込められているとのこと。なるほど、と思う部分もあるが、いや、次に手に取るのがこれでいいのか!?と思わないでもない。
読みやすくて、かつ読み応えのある、どぎつさでない何かを心に残す作品は、少し探せばあるように思うのだが。
深夜の高校の教室で1人の男が殺された。被害者・羽田の表の顔は人気教師、その実、クラス内のカースト上位に媚を売るイヤな奴だった。
第一発見者はクラス委員のことり。
夜中に羽田を呼び出して殺害したのは、果たして誰か。
クラスに君臨する女王とその取り巻き。底辺の女子2人組。勉強はできるし裕福だがいじられキャラの男子。いじめが原因で不登校になった女子。羽田の婚約者の同僚女性教師。その女性教師に横恋慕していたらしき同僚男性教師。そして、校内でさまざまな人の秘密の手紙のやり取りをしていた養護教員。実は嫌われ者だった羽田に殺意を抱く者は、1人ではなさそうだった。
捜査に当たるのは、かつて高校時代にいじめから不登校を経験したことがあり、「弱者の側に立ちたい」と正義感に燃える若き女性捜査官、永沢。状況から、高校生たちもまた容疑者からは外せなかった。だが、大っぴらに捜査を受けて彼らが心の傷を受けることを恐れた永沢は、ことりの協力を得て、密かにクラスの内情を探ることにする。
そうして浮かび上がる事実とは。事件の真の犯人とは。謎の存在、「神」とは誰を指すのか。
・・・出版社の紹介文には「衝撃的結末の学園バトルロワイヤル!」とあり、まぁそれで想像される範囲内のお話だろうか。
リーダビリティはそれなりに高く、黒幕はこれか、あれか、と思わせておいての最後のどんでん返しはまずまずの鮮やかさだろう(いや、予想はつくんだけど)。
しかし、爽快感があるかというとそれは別である。
イヤミスと言ったらいいのか、とにかく読後感が悪い。いじめシーン(というか、もう暴行という名の犯罪である)もえげつないし、こんな先生いないやろ!?と思うくらい教師がひどすぎる。
数年前に有名女優の高校生の娘に関するスキャンダルがあったが、その辺も下敷きにはなっているのだろう。高校のクラスにある程度の「ヒエラルキー」的なものがあることもあるだろう。けれど、こんな犯罪を野放しにしておくような学校があるはずがないし、いじめを受けた側だって黙っている理由がない。
保健室でやりとりされる手紙が1つのキーなのだが、これもトリックとしてはお粗末すぎて、まずありえない。LINEやらメールやらもあるこのご時世、誰かが見るかもしれない手紙で、こんな深刻な話をやりとりしないでしょう!?
「神」の正義感も歪みすぎていて引く。
本当であるにはひどすぎる。リアリティがすべてとは思わないが、これはない。
nexというレーベルは、ライトノベルや漫画の読者が「その次に手に取る小説」という意味が込められているとのこと。なるほど、と思う部分もあるが、いや、次に手に取るのがこれでいいのか!?と思わないでもない。
読みやすくて、かつ読み応えのある、どぎつさでない何かを心に残す作品は、少し探せばあるように思うのだが。
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分子生物学・生化学周辺の実務翻訳をしています。
本の大海を漂流中。
日々是好日。どんな本との出会いも素敵だ。
あちらこちらとつまみ食いの読書ですが、点が線に、線が面になっていくといいなと思っています。
「実感」を求めて読書しているように思います。
赤柴♀(もも)は3代目。
この夏、有精卵からヒヨコ4羽を孵化させました。そろそろ大雛かな。♂x2、♀x2。ニワトリは割と人に懐くものらしいですが、今のところ、懐く気配はありませんw
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この書評へのコメント
- ぽんきち2019-09-13 09:41「夏だ! 「新潮文庫の100冊2019」にチャレンジ!」 https://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no363/index.html?latest=20 参加書評です。 
 ・・・主催者なのに辛口ですみませんです(^^;)。
 
 こちらの読書会は9月末までやっています。
 コンプリートまであとわずか。ここまで来たら達成を目指したいところです。
 宣言ありが3作品、未コメントが1作品となりました。
 まだ手が上がっていないのは、なんと、あの有名作、吉本ばなな「キッチン」です。我こそは!という方、ご参加お待ちしてます。
 
 その他、既出の作品での参入も大歓迎です~♪クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。
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書評一覧を取得中。。。
- 出版社:新潮社
- ページ数:331
- ISBN:9784101800646
- 発売日:2016年04月28日
- 価格:637円
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