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マックさん
マック
レビュアー:
大切なことは言葉で伝え合わないとダメだな。でも、難しいことなんだよな。



時代は大正。
関東大震災後で時代の変化が著しく、それに伴って人も変わっていこうという流れが確実にある。
そんな日本が舞台となっている本作。



お互いに一切干渉しないという条件のもとで婚約した没落(間近)華族の十和子と不動産会社社長の桐谷。
お金が欲しい十和子の兄と、箔をつけたい桐谷の利害が一致した格好での政略結婚だ。

なぜ十和子が桐谷に対して干渉して欲しくないかというと、十和子は下町で洋食店を切り盛りしながら、関東大震災で行方不明となってしまった大切な人を探しているのだ。
その大切な人と言うのが母違いの兄である一哉なのだが、一哉はその事実を知らない。

逆に桐谷の方も十和子の申し出はありがたかった。
桐谷は必死で働き会社をどんどん大きくしていった過程で、全く家庭を顧みなかった。
そのことを責めることなく震災で命を落とした妻に対しての負い目があり、仕事優先でいいというのは渡りに船だったのだ。


そんな二人が結納の準備を進めながら、様々な個人的問題を乗り越えていく姿が描かれていくのだが、お互いに干渉しないと思えば思うほど気になっていく十和子と桐谷の距離感が絶妙で、だからこそラストは切ない。
十和子が秘密をもっと早くに打ち明けていたら、色々な人の運命が変わっていたかもしれないのに。
桐谷と先妻がもっと素直に自分の気持ちを伝え合えていたら、もっと二人は幸せな想い出を作ることができていたであろうに。
そんな思いばかりが浮かんで、どうしても暗い読後感になってしまう。


けれど、桐谷と出逢えた今の運命が十和子の幸せな未来へ続いていくと信じられるから、胸にふんわりと優しい感情が湧いてくるのだ。

じっくりと続編を待ちたい。





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マック
マック さん本が好き!1級(書評数:240 件)

なかなか時間が取れませんが、本を読むのは好きです。

どんどん読書時間を取って、読んでいきたいと思っています。


色々なジャンルの本を読んでいきたいと思っているので、
皆様の感想を参考にさせて頂こうと思います。

読んで楽しい:2票
参考になる:31票
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