レビュアー:
▼
ケータイもなければインターネットもない1980年代。大学のミステリ研の七人が角島と呼ばれる孤島を訪れ、島の奇妙な建物「十角館」で次々と惨殺される。綾辻行人氏のデビュー作。
S半島J崎沖に孤島・角島(つのじま)がある。半年前、そこにある建築家・中村青司邸、通称「青屋敷」が炎上、そして全焼した。焼け跡から中村青司と妻の和枝、住み込みの使用人夫婦の計四人が死体で発見された。また、当日島を訪れていた庭師が行方不明となっている。
青屋敷の別館となる奇妙な造りの「十角館」に大分県O市にあるK**大学のミステリ研のメンバー、男女七人が訪れた。お互いを「エラリイ」「アガサ」「カー」など有名推理作家の名前で呼び合うのは、彼らが仲間うちで用いる一種のニックネームなのである。この島の十角館で、一週間を過ごすことになる。その島で、学生たちを襲う連続殺人……。
孤島から出られなくなった学生たちが一人ずつ殺されていくというクローズド・サークルの設定である。本編の構想をたてるにあたって、綾辻氏が意識してアガサ・クリスティの「誰もいなくなった」に挑戦を試みたことは明白である。調べてみると、「誰もいなくなった」に影響された作品としては、「獄門島」「悪魔の手毬唄」横溝正史、「ダブル・ダブル」エラリイ・クイーン、「殺しの双曲線」西村京太郎、「そして誰かいなくなった」夏樹静子……などがあるということだ。
「十角館の殺人」は綾辻行人氏のデビュー作であり、「館」シリーズの第一作となる。日本のミステリ界に多大な影響を与え、新本格ブームを巻き起こしたと云われている。1987年9月の作品だが、今でも新鮮で色褪せない。
第一章冒頭で、登場人物のエラリイの言葉を借りて、新本格の到来を告げていると解釈した。綾辻氏は、ミステリの知的ゲームとしての側面には大いに魅力を感じているらしい。作者が蓄えた深い学問や知識を述べた記述もなく、さらっとしたタッチで読みやすいが、文章はあくまでも知的である。
全面改訂に伴って文字が大きくなり、きれいで読みやすくなった。本文についても全編にわたって、細やかに手直しをしたらしい。こういった改訂版が出版されるのは、新刊が出るのとは違う意味で嬉しいことである。
〝あの〟一行の記述の衝撃が強い。作者にしてやられた!!このトリックは素晴らしく、見破れなかった。映画やドラマなどの映像化が絶対不可能な作品である。推理小説の流れを変えた名作に巡り会って良かった。
青屋敷の別館となる奇妙な造りの「十角館」に大分県O市にあるK**大学のミステリ研のメンバー、男女七人が訪れた。お互いを「エラリイ」「アガサ」「カー」など有名推理作家の名前で呼び合うのは、彼らが仲間うちで用いる一種のニックネームなのである。この島の十角館で、一週間を過ごすことになる。その島で、学生たちを襲う連続殺人……。
孤島から出られなくなった学生たちが一人ずつ殺されていくというクローズド・サークルの設定である。本編の構想をたてるにあたって、綾辻氏が意識してアガサ・クリスティの「誰もいなくなった」に挑戦を試みたことは明白である。調べてみると、「誰もいなくなった」に影響された作品としては、「獄門島」「悪魔の手毬唄」横溝正史、「ダブル・ダブル」エラリイ・クイーン、「殺しの双曲線」西村京太郎、「そして誰かいなくなった」夏樹静子……などがあるということだ。
「十角館の殺人」は綾辻行人氏のデビュー作であり、「館」シリーズの第一作となる。日本のミステリ界に多大な影響を与え、新本格ブームを巻き起こしたと云われている。1987年9月の作品だが、今でも新鮮で色褪せない。
第一章冒頭で、登場人物のエラリイの言葉を借りて、新本格の到来を告げていると解釈した。綾辻氏は、ミステリの知的ゲームとしての側面には大いに魅力を感じているらしい。作者が蓄えた深い学問や知識を述べた記述もなく、さらっとしたタッチで読みやすいが、文章はあくまでも知的である。
全面改訂に伴って文字が大きくなり、きれいで読みやすくなった。本文についても全編にわたって、細やかに手直しをしたらしい。こういった改訂版が出版されるのは、新刊が出るのとは違う意味で嬉しいことである。
〝あの〟一行の記述の衝撃が強い。作者にしてやられた!!このトリックは素晴らしく、見破れなかった。映画やドラマなどの映像化が絶対不可能な作品である。推理小説の流れを変えた名作に巡り会って良かった。
お気に入り度:









掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
推理小説が大好きです。エレキギターとドラムを演奏します。
この書評へのコメント

コメントするには、ログインしてください。
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:講談社
- ページ数:512
- ISBN:9784062758574
- 発売日:2007年10月16日
- 価格:730円
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。






















