有坂汀さん
レビュアー:
▼
古今東西の主な哲学書を紹介するウェブサイト「Philosophy Guides」を開設・運用する気鋭の哲学者が書いた入門書。プラトンからデリダまで、マストといえる哲学書の名著50冊を取り上げたものです。
哲学者・竹田青嗣教授に師事し、卒業後も薫陶を受けつづけている気鋭の哲学者、平原卓氏が自身のウェブサイトである古今東西の主な哲学書を紹介する「Philosophy Guides」を開設・運営していく中でたまっていったレジュメに大幅な加筆修正を加えて上梓したものが本書です。
僕が哲学書を読みふけり始めたのは第1期が大学時代であり、上京して馬車馬のように働いていたり、自分のやりたいことをしていた時は(漫画を除けば)読書なるものは一切しておらず、3年で3冊程度という体たらくでした。
それが戻り第2期と呼べるのは2009年以降のころでありまして、最初は『論語』や『孟子』などの東洋哲学の世界に耽溺し、中島義道先生や國分功一郎先生の著作を読んだことをきっかけに西洋哲学の世界が開けてきたのでした。
本書の著者である平原卓氏の経歴を紹介いたしますと、
「1986年北海道生まれ。早稲田大学文学研究科修士課程修了(人文科学専攻)。」
とあるので、僕のような「裏道」あるいは「獣道」は歩いていないでしょうが…。
それにしても、西洋哲学書を少しばかりでもかじっていて思うのが21世紀を迎えて以降がまさに「危機の時代」であることであり、本書の前に読んだ大竹弘二+國分功一郎『統治新論──民主主義のマネジメント』(太田出版)の國分功一郎先生の「あとがき」から引用しますと
『(中略)ところが時代は変わってしまった。哲学は実際に役立つものになった。思えば、時代が哲学を必要とし、哲学が実際に役立つようになるのは、少しもいいことではない。なぜならそれは、哲学がなければとても太刀打ちできない難題に時代が直面していることを意味しているからである。本書において大竹さんと私は何度も17世紀に遡って議論したけれども、17世紀こそは近代哲学が創始された世紀であったと同時に、ヨーロッパ政治社会の危機の世紀であった。我々を取り巻く状況が、あの時代の混乱に相当するものかどうかは分からない。けれども、あの混乱の時代に必要とされた哲学が、いままさに必要とされていることは確かであると思われる。』
この問題が国際情勢から個人の生き方に至るまで大なり小なりに感じない日はありません。しかし、本書を読んで少しでも先人の叡智に触れることはプラスであってもマイナスであることはございません。『ソクラテスの弁明』『君主論』『人間不平等起源論』『死に至る病』『悲劇の誕生』『エロティシズム』『人間の条件』『悲しき熱帯』…etcに書かれていることが「必要」だということは「時代の転換期」であるとして、そこを「生き延びる」ために、その手引きとして、本書は上梓され、日の目を浴びたのでしょう。
僕が哲学書を読みふけり始めたのは第1期が大学時代であり、上京して馬車馬のように働いていたり、自分のやりたいことをしていた時は(漫画を除けば)読書なるものは一切しておらず、3年で3冊程度という体たらくでした。
それが戻り第2期と呼べるのは2009年以降のころでありまして、最初は『論語』や『孟子』などの東洋哲学の世界に耽溺し、中島義道先生や國分功一郎先生の著作を読んだことをきっかけに西洋哲学の世界が開けてきたのでした。
本書の著者である平原卓氏の経歴を紹介いたしますと、
「1986年北海道生まれ。早稲田大学文学研究科修士課程修了(人文科学専攻)。」
とあるので、僕のような「裏道」あるいは「獣道」は歩いていないでしょうが…。
それにしても、西洋哲学書を少しばかりでもかじっていて思うのが21世紀を迎えて以降がまさに「危機の時代」であることであり、本書の前に読んだ大竹弘二+國分功一郎『統治新論──民主主義のマネジメント』(太田出版)の國分功一郎先生の「あとがき」から引用しますと
『(中略)ところが時代は変わってしまった。哲学は実際に役立つものになった。思えば、時代が哲学を必要とし、哲学が実際に役立つようになるのは、少しもいいことではない。なぜならそれは、哲学がなければとても太刀打ちできない難題に時代が直面していることを意味しているからである。本書において大竹さんと私は何度も17世紀に遡って議論したけれども、17世紀こそは近代哲学が創始された世紀であったと同時に、ヨーロッパ政治社会の危機の世紀であった。我々を取り巻く状況が、あの時代の混乱に相当するものかどうかは分からない。けれども、あの混乱の時代に必要とされた哲学が、いままさに必要とされていることは確かであると思われる。』
この問題が国際情勢から個人の生き方に至るまで大なり小なりに感じない日はありません。しかし、本書を読んで少しでも先人の叡智に触れることはプラスであってもマイナスであることはございません。『ソクラテスの弁明』『君主論』『人間不平等起源論』『死に至る病』『悲劇の誕生』『エロティシズム』『人間の条件』『悲しき熱帯』…etcに書かれていることが「必要」だということは「時代の転換期」であるとして、そこを「生き延びる」ために、その手引きとして、本書は上梓され、日の目を浴びたのでしょう。
投票する
投票するには、ログインしてください。
有坂汀です。偶然立ち寄ったので始めてみることにしました。ここでは私が現在メインで運営しているブログ『誇りを失った豚は、喰われるしかない。』であげた書評をさらにアレンジしてアップしております。
- この書評の得票合計:
- 37票
| 参考になる: | 35票 | |
|---|---|---|
| 共感した: | 2票 |
あなたの感想は?
投票するには、ログインしてください。
この書評へのコメント

コメントするには、ログインしてください。
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:フォレスト出版
- ページ数:472
- ISBN:9784894519640
- 発売日:2016年03月06日
- 価格:1296円
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。





















