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かもめ通信
レビュアー:
いつか個展に行ってみたいなあ。
金澤翔子さんは書家。
5歳のときから筆をもっていたという。
大河ドラマ平清盛の題字を目にした人もあるだろう。
その字は生き生きと力強く、迫力があって、見る者の目を惹きつける。

だが……、と私はためらう。
彼女を紹介する言葉をなんと続ければいいのだろうかと…。

“ダウン症の女流書家”
そんな風に紹介されることが多い彼女のその“枕詞”は必要なのだろうかと。
ただ“書家”とだけ紹介するのではいけないのかと…。

けれどもこの本を読んで
この母娘には全く迷いがないことを知る。
この本には、翔子さんの書と
その書に添えられた母であり師でもある泰子さんの文章の他
昨年ニューヨークの国連本部で開かれた世界ダウン症の日記念会議で
日本代表として行ったスピーチの原稿や、
母と娘の写真等が収録されている。

とりわけ、翔子さんが筆を持つ気迫溢れる姿には圧倒される。

そしてまた書に添えられた母泰子さんの文章が心を打つ。

たとえば「天」という字に添えられているのはこんな文章だ。
翔子は三十歳なのに、
外出から帰り、天に月が見えると
「お月さまありがとう」と、
丁寧におじぎをして家に入る。
どんなに遠くからでも
月が翔子に一緒についてきて、
見守ってくれていると思っている。
私たちは月は宇宙の法則で動いている
ということを知ってしまったけれど、
翔子はいまだに
月は翔子のために高い天から
見守ってくれていると思っている。


この一文を読んで私はとても幸せな気持ちになる。
お月様を見上げて、
「天」という文字を思い浮かべる。


金澤翔子さんは書家だ。
その書が著すように真面目で純粋でとても優しくて、
そしてまたとてもたくましい人だ。

とても愛されている人だ。
そしておそらく、とても真剣に心から人を愛することのできる人だ。

多くの人に勇気と希望を与えることができるすばらしい書家だ。

<参考>金澤翔子さんの公式ホームページ
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かもめ通信
かもめ通信 さん本が好き!免許皆伝(書評数:2238 件)

本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。

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