DBさん
レビュアー:
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復讐と信仰の狭間をゆれる話
チャールストン・ヘストン主演のひたすら長い古い映画をDVDで見た時には戦車競技が迫力でそこのシーンしか覚えていなかったけど、原作を読んでみればとても宗教色の濃い話だった。
ギリシア人ガスパル、インド人メルキオール、そしてエジプト人バルタザールがラクダに乗って共に砂漠を旅するシーンで始まります。
彼らは星に導かれ「ユダヤの王として生まれた方を拝みに来た」と告げ歩いて、エルサレムのヘロデ王のもとを訪れ、予言書の示したベツレヘムへとたどり着く。
そして二十一年後、エルサレムではユダヤ人とローマ人の闘争が始まっていた。
まだ十七歳のユダは、幼馴染のメッサラと五年ぶりの再会を果たしたところだった。
だがかつての友はローマで過ごした五年間ですっかり高慢なローマ人となっており、悲しみに暮れたユダはかつての友に別れを告げて家へと帰っていった。
ユダはエルサレムの大富豪ハー家の長男で、実業家だった父はすでに亡くなっていたが、優しい母により妹と共に何不自由ない暮らしをしていた。
だがユダが総督の行列へ瓦を投げつけたという罪で捕まって邸宅はローマ兵の略奪の上で差し押さえにあい、ユダは奴隷としてガレー船へ送られる。
三年のガレー船漕ぎで筋肉の塊のようになったユダですが、幸運に恵まれローマ貴族であるクイントス提督の養子としてアンテオケの土を踏む。
五年の間に養父が亡くなり、生き別れた母と妹の消息を訪ねてかつて父親のもとで働いていたシモニデスを訪ねてきたのだった。
ユダの胸にあるのは母と妹を探すこと、そしてローマへの復讐だ。
ここで有名な戦車競技のシーンが登場します。
素晴らしいアラビア馬を持つイルデリム族長のもとを訪れたユダは、そこでバルタザールとその娘イラスに出合う。
妖艶なイラスと語らうユダの脳裏には、シモニデスの娘エステルの清楚な姿が浮かんでいた。
そして戦車競技の当日。
四頭立ての戦車が疾駆する姿が躍動感を持って描かれていく。
競技の結末もまた印象的だ。
話の舞台はエルサレムへと移り、ユダはベン・ハーとして生まれ故郷へと戻ってきた。
ユダヤ解放のためローマの軍隊から学んだ知識と技術を用いて反乱軍を作りあげていく。
しかしキリストの教えを知るにつれて、自分の望む道とキリストの教えは違うのではないかという疑問に突き当たった。
ユダヤ人のローマからの解放を待ち望むメシアへの期待と、イエスが説く天への希望の間で思い悩むベン・ハーの姿が見事に描き出されていた。
信仰というテーマを小説化した名作でした。
モーガン・フリーマンの出てくる新しい映画もそのうち見てみよう。
ギリシア人ガスパル、インド人メルキオール、そしてエジプト人バルタザールがラクダに乗って共に砂漠を旅するシーンで始まります。
彼らは星に導かれ「ユダヤの王として生まれた方を拝みに来た」と告げ歩いて、エルサレムのヘロデ王のもとを訪れ、予言書の示したベツレヘムへとたどり着く。
そして二十一年後、エルサレムではユダヤ人とローマ人の闘争が始まっていた。
まだ十七歳のユダは、幼馴染のメッサラと五年ぶりの再会を果たしたところだった。
だがかつての友はローマで過ごした五年間ですっかり高慢なローマ人となっており、悲しみに暮れたユダはかつての友に別れを告げて家へと帰っていった。
ユダはエルサレムの大富豪ハー家の長男で、実業家だった父はすでに亡くなっていたが、優しい母により妹と共に何不自由ない暮らしをしていた。
だがユダが総督の行列へ瓦を投げつけたという罪で捕まって邸宅はローマ兵の略奪の上で差し押さえにあい、ユダは奴隷としてガレー船へ送られる。
三年のガレー船漕ぎで筋肉の塊のようになったユダですが、幸運に恵まれローマ貴族であるクイントス提督の養子としてアンテオケの土を踏む。
五年の間に養父が亡くなり、生き別れた母と妹の消息を訪ねてかつて父親のもとで働いていたシモニデスを訪ねてきたのだった。
ユダの胸にあるのは母と妹を探すこと、そしてローマへの復讐だ。
ここで有名な戦車競技のシーンが登場します。
素晴らしいアラビア馬を持つイルデリム族長のもとを訪れたユダは、そこでバルタザールとその娘イラスに出合う。
妖艶なイラスと語らうユダの脳裏には、シモニデスの娘エステルの清楚な姿が浮かんでいた。
そして戦車競技の当日。
四頭立ての戦車が疾駆する姿が躍動感を持って描かれていく。
競技の結末もまた印象的だ。
話の舞台はエルサレムへと移り、ユダはベン・ハーとして生まれ故郷へと戻ってきた。
ユダヤ解放のためローマの軍隊から学んだ知識と技術を用いて反乱軍を作りあげていく。
しかしキリストの教えを知るにつれて、自分の望む道とキリストの教えは違うのではないかという疑問に突き当たった。
ユダヤ人のローマからの解放を待ち望むメシアへの期待と、イエスが説く天への希望の間で思い悩むベン・ハーの姿が見事に描き出されていた。
信仰というテーマを小説化した名作でした。
モーガン・フリーマンの出てくる新しい映画もそのうち見てみよう。
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好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。
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- 出版社:新潮社
- ページ数:328
- ISBN:9784102084014
- 発売日:1970年01月01日
- 価格:346円
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