かもめ通信さん
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3月26日は犀星忌と聞いたから、またもや文学忌レビューを書いてみた。

まだそんなに親しい方ではなく、多分三度目くらいに訪ねた或日、
と少々ぶっきらぼうに始まる一文。
犀星は自分が芥川龍之介と知り合ったばかりの頃のことで,
彼の元を訪れるのは,おそらく三度目ぐらいだったのではなかろうかと
思い出しながら書き出している。
そこには先客がいて、どこかの雑誌記者らしく
芥川がすげなく断っているのもかかわらず
「原稿書いてくださいよ!」とねばっていたというのである。
その人の家を既に三度も訪ねていて、
先客があるにもかかわらず、ずかずかと上がり込んでいるあたり、
私からすれば、十分親しい間柄のように思えるが、
あの時代の文士たちのありようといったら、
主人が寝ていようが留守にしていようが上がり込んでしまうぐらいに
あけすけなものであったらしいから、
三度訪ねたぐらいでは親しいうちには入らなかったのかもしれない。
それはさておき、
芥川は多忙を理由に原稿依頼を断るのだが
その断り方がけんもほろろで高飛車だったので
犀星はびっくりするのだった。
物書きが原稿依頼をことわるともなれば
そこはそれ、申し訳なさをにじませて謝るように断るものだと思っていたのに
芥川にはそんな様子はみじんもない。
頼み込む記者の方もそんな芥川の態度を当たり前に受け止めていて
「3、4枚、いやいや1枚でも2枚でも良いですからどうか来月号に!」
と粘りにねばって約束を取り付けて帰って行ったのだった。
いやもう、すごいよ!恐れ入ったよ芥川!と驚く犀星は、
最後にあの手書き原稿をとっておけば、後々結構な財産になるやも……
などと書き添えているところがなんともおかしかった。
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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