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ふらりん
レビュアー:
「島耕作」もびっくりのサクセスストーリー

※ネタバレ注意! 以下の文には結末や犯人など重要な内容が含まれている場合があります。

猫のたま駅長:西松宏 ハート出版


2015年6月22日、和歌山電鐵 貴志駅の駅長であった、三毛猫「たま」が
天に召された。


猫としては異例の「社葬」まで行われ、生前、和歌山電鐵に如何に貢献したかが
良く分かる。


「ニュース たま駅長の訃報」


この世には数多の猫が存在するが、たま位、有名な猫は他にいないのではないか。


本書は2009年出版の著書で、駅長になった頃を中心とした「たま」のいわば、
サクセスストーリーである。その内容たるや、あの「島耕作」もびっくりだろう。


たまが駅長になる事の発端は2003年11月に遡る。それまでローカル線である
貴志川線を運行していた南海電鉄が乗車人数の減少を理由に、貴志川線の廃線に
向けて動き始めたのだ。


地元では貴志川線を無くさない為の運動も行われ、結果、和歌山電鐵が運行する事に
なったのだが、それだけで乗客は増える訳はなく、課題は山積みである。


一方、当時のたまは、貴志駅舎の売店の方に飼われていた、ただの猫。
しかも運営会社の変更により、猫小屋の場所が、市の公有地になるという状態だった。


2006年4月、和歌山電鐵による出発式が行われた際、たまの飼い主が、式に出席の
社長に猫小屋の現状を訴えたのがターニングポイントとなる。その時、社長が


「駅に住むなら、駅長をやってもらいましょう。」


という社長の言葉が現実のものとなり、たまは2007年1月に日本初の猫駅長に就任する。
(ちなみに給料はキャットフード1年分だったそう。)


それからというもの、たま駅長を目当てにぞくぞくと人が訪れ乗車人数も
回復し始める。


その後の活躍は留まる事を知らず、海外から「赤字路線に乗客を取り戻した
パーフェクトマスコット」と称され、映画にも出演、和歌山県知事より
「たま卿」を拝命する等、まさに「招き猫」となった訳である。


たまは駅長として、文字通り大活躍をするのだ。


いじわるな書き方かもしれないが、たまは人間の都合によって翻弄された人生、
いや猫生を送ったと、私は思っている。


しかし同時に多くの方の心を揺り動かし、少なからず感動をもたらしたとも思う。


たまからすれば、もう少しのんびりした生き方をしたかったかもしれないが、
駅長となった事で、色んな人々に可愛がられ、充実した日々を送る事ができた
幸せな猫だったのだろう。


本書を読んだ後、たまは、天から「にゃあ」と鳴きながら、自身の居た貴志駅を
今も見守っているのではないだろうか、という思いに駆られた。


本当に猫は不思議な生き物だ。


にゃーん。
    • たま駅長。足部分の茶色のハートマークに注目。恋の御利益があるそう!
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ふらりん
ふらりん さん本が好き!1級(書評数:448 件)

健康第一・健康優先の生活を心がけていたところ、本が読めるようになりました!ただ、書評に繋がらないのが現状です。ぼちぼち、読書 → 書評に繋げていきたいですね!お伺い等、遅れております。申し訳ありません。【2018/7/24更新】

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