俳優や演劇人としての活躍はほとんど知らない。
それなのに、私に強烈な印象を残した人である。
かなり前の読売新聞のインタビューだったと思うが
新劇女優だった奥さんへのプロポーズのセリフが掲載されていて
その洒脱さに圧倒された。
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年をとったら、おまえさんと二人して
つながり乞食になって暮らそうなあ
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小沢昭一百景 随筆随談選集(6)の『なぜか今宵も ああ更けてゆく』に
つながり乞食の話がありますが、これが最高に面白い。
つながり乞食とは、小沢さんが子供の時に見た夫婦のお乞食さんで
お互いの腰をヒモで結び合い、仲良く繋がって歩いていたそうだ。
お乞食さんなので物乞いをするのですが
男は威張ってただ戸口に立っており
2メートル位先で繋がれている女はそっぽを向いていたという。
小沢さんはこの「つながり乞食」の事が余程印象深かったのでしょうね
プロポーズのセリフに使っただけでなく
結婚後、奥様と『つながり乞食ごっこ』をしたとか。
それと、小沢さんは『ジェンキンズさんごっこ』もしていたそうですよ
北朝鮮による拉致被害者、曽我ひとみさんが
ジャカルタで夫のジェンキンズさんと再会した時のkissシーンです。
曽我さんが夫を強く引き寄せてキスを交わしたあの場面は
私も強く印象に残っているのですが
小沢さんご夫婦も、このシーンを再現していたそうです。
いいですね、こういう夫婦。
私が本を選ぶ時に浮かぶのが、ある新聞で読んで『なるほど~』と感心した三島由紀夫の言葉。
『本とはめぐり会うもの。いい出会いもあれば、つまらぬ出会いもある。 でも、せっせとめぐり会って自分の気に入るものを探し続けなさい。』
仕事と子育てで毎日忙しい中でも、ページをめくって泣いたり笑ったりしている時間が大好きです。
この書評へのコメント
- ぽんきち2016-01-05 18:11
「つながり乞食」、北野武の「ドールズ」に出てきていました。
北野監督も子供の頃によく見たらしいので、昔は結構いたものなのでしょうかね。
(あれ、添付がでないようなので、一応URL貼っておきます。
http://www.amazon.co.jp/Dolls-%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BA-DVD-%E8%8F%85%E9%87%8E%E7%BE%8E%E7%A9%82/dp/B000UMP1I4)クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - カルロス2016-01-05 18:55
あけまして おめでとうございます
小沢昭一さんと言えば、ラジオ番組「小沢昭一の小沢昭一的こころ」を思いだす。
もう何十年も前だ。夕方、会社に戻る車のラジオでかかっていた。
数年間、聞いたあと、車に乗らない仕事に変わった為、聞いていない。
2012年まで続いていたのを知って、驚いた。
タン・タタ・タンタン・タンタンタン……と三味線で始まるテーマソングが耳に残る。
さすがに内容は覚えていないが、ナニナニについて考えるとかいう形でその時々の身近なネタをおもしろおかしく、小沢さんが口上のように調子よく語っていた。
この前、野坂昭如さんが亡くなった。永六輔さんも実質、引退した。
70年代に小沢さんら三人で花の中年トリオとかいって、活躍した。
戦争、戦後、高度成長、バブル、その崩壊など昭和一桁生まれの方はすごい人生だったな。
今年もよろしくお願いします(*^_^*)クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - anzu_ame2016-01-05 20:35
カルロスさん、コメントありがとうございます。
『小沢昭一的こころ』私も車の中で聞いたことがあります。
ラジオを聞いていて、面白いおじさんというのが私の印象でしたが
彼のプロポーズの言葉を知って、オシャレだなあと思いました。
もうひとり、プロポーズの言葉で好きなのは
藤原正彦さんの
『結婚してくれなかったら思いっきりぶつぞ』です。
魅力的な人はプロポーズの言葉もその人らしくて素敵ですね。
花の中年トリオと呼ばれたのは知りませんでしたが
野坂昭如さんが亡くなった時は、絵本版の「火垂るの墓」
を子供と一緒に読みました。
こちらこそ宜しくお願い致します。クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 コメントするには、ログインしてください。
- 出版社:晶文社
- ページ数:394
- ISBN:9784794917966
- 発売日:2004年03月01日
- 価格:2592円
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