薄荷さん
レビュアー:
▼
横浜に3店だけ存在する『市民酒場』をご存知ですか?
それは選ばれた民=横浜市民だけが入れるフリーメイソンの酒場・・・ではありません。
かつて存在した『横浜市民酒場組合』に加盟していた居酒屋さんなのです。
日中戦争で厳しくなっていく食糧事情の中、激変する状況に飲食店が個々に立ち向かうのではなく、横の繋がりを作って一致団結してがんばろう!と個人店経営者でこの組合を結成したのが昭和13年。
横浜市内数区に発生した組合は、全て取りまとめて『横浜市民酒場組合連合会』として大きな組織にまで発展したんだとか。
その後の太平洋戦争で物資不足は深刻の一途を辿り、衣食用品はもちろん昭和16年には酒類が配給制となります。
しかも戦局悪化に比例して酒の配給量は減り続け、一家庭あたり月に酒1~2合までに。
昭和19年には享楽停止令によりカフェーや高級料理店が閉鎖。これを免れた一部の大衆食堂・酒場も、慢性的な品不足で営業することが厳しい。
そんな中、国が国民に提供したのが公営酒場。まずは東京に『国民酒場』が開かれ、北海道・大阪で『勤労酒場』、そして横浜ではその名も『市民酒場』がオープン。
太平洋戦争前からの組合所属店がそのまま公営酒場となった場合と、戦時中だけ開かれた『市民酒場』が存在したようですが、どちらにせよ数日おきの営業で、200人が1人1杯飲める程度。それでも開店前から長蛇の列が出来たそうです。
やっと戦争が終わっても物資が一気に豊かになるわけも無く、巷ではアヤシイ店でアブナイ酒や、水でガッツリ薄めたインチキ酒もボッタクリ価格で提供され、不安定な物価の中いつもドキドキ不明瞭会計が横行します。
そんな中、横浜市民酒場組合に加盟している『市民酒場』では、店内のお品書きに『市民酒場組合価格』として酒の値段を明瞭に表示していたそうです。
正しいものを適正価格でお客様に提供し、安心して酒食を楽しんでもらいたい・・・横浜市民酒場の一本筋の通った方針に、全く関係ない私も、妙に誇らしくなります。
酒の配給制度が無くなったと同時に『国民酒場』『勤労酒場』は姿を消しますが、横浜の『市民酒場』は現在まで残っています。
組合発足の理由も解消した現在、市民酒場組合は支部2つを残して解散してますが、かつてこの組合に名を連ねていた老舗飲食店は看板にこそ『市民酒場』の名を掲げていてもいなくても、その方針は変わらず息づいているようです。
長くなりましたが、この本ではそんな『市民酒場』の歴史を持つ店を紹介しています。
地元の人ばっかりで入り辛いような気もしますが(笑)、昭和感溢れるお店と渋い食器に盛られた美味なおつまみは、お酒好きを気持ちよくもてなしてくれると思います。
近くにお立ち寄りの際には是非チャレンジしてみてください。
かつて存在した『横浜市民酒場組合』に加盟していた居酒屋さんなのです。
日中戦争で厳しくなっていく食糧事情の中、激変する状況に飲食店が個々に立ち向かうのではなく、横の繋がりを作って一致団結してがんばろう!と個人店経営者でこの組合を結成したのが昭和13年。
横浜市内数区に発生した組合は、全て取りまとめて『横浜市民酒場組合連合会』として大きな組織にまで発展したんだとか。
その後の太平洋戦争で物資不足は深刻の一途を辿り、衣食用品はもちろん昭和16年には酒類が配給制となります。
しかも戦局悪化に比例して酒の配給量は減り続け、一家庭あたり月に酒1~2合までに。
昭和19年には享楽停止令によりカフェーや高級料理店が閉鎖。これを免れた一部の大衆食堂・酒場も、慢性的な品不足で営業することが厳しい。
そんな中、国が国民に提供したのが公営酒場。まずは東京に『国民酒場』が開かれ、北海道・大阪で『勤労酒場』、そして横浜ではその名も『市民酒場』がオープン。
太平洋戦争前からの組合所属店がそのまま公営酒場となった場合と、戦時中だけ開かれた『市民酒場』が存在したようですが、どちらにせよ数日おきの営業で、200人が1人1杯飲める程度。それでも開店前から長蛇の列が出来たそうです。
やっと戦争が終わっても物資が一気に豊かになるわけも無く、巷ではアヤシイ店でアブナイ酒や、水でガッツリ薄めたインチキ酒もボッタクリ価格で提供され、不安定な物価の中いつもドキドキ不明瞭会計が横行します。
そんな中、横浜市民酒場組合に加盟している『市民酒場』では、店内のお品書きに『市民酒場組合価格』として酒の値段を明瞭に表示していたそうです。
正しいものを適正価格でお客様に提供し、安心して酒食を楽しんでもらいたい・・・横浜市民酒場の一本筋の通った方針に、全く関係ない私も、妙に誇らしくなります。
酒の配給制度が無くなったと同時に『国民酒場』『勤労酒場』は姿を消しますが、横浜の『市民酒場』は現在まで残っています。
組合発足の理由も解消した現在、市民酒場組合は支部2つを残して解散してますが、かつてこの組合に名を連ねていた老舗飲食店は看板にこそ『市民酒場』の名を掲げていてもいなくても、その方針は変わらず息づいているようです。
長くなりましたが、この本ではそんな『市民酒場』の歴史を持つ店を紹介しています。
地元の人ばっかりで入り辛いような気もしますが(笑)、昭和感溢れるお店と渋い食器に盛られた美味なおつまみは、お酒好きを気持ちよくもてなしてくれると思います。
近くにお立ち寄りの際には是非チャレンジしてみてください。
お気に入り度:





掲載日:
外部ブログURLが設定されていません
投票する
投票するには、ログインしてください。
スマホを初めて買いました!その日に飛蚊症になりました(*´Д`)ついでにUSBメモリーが壊れて書きかけレビューが10個消えました・・・(T_T)
この書評へのコメント

コメントするには、ログインしてください。
書評一覧を取得中。。。
- 出版社:
- ページ数:0
- ISBN:9784990845919
- 発売日:2015年12月01日
- Amazonで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。
『横濱市民酒場グルリと』のカテゴリ
- ・歴史 > 日本史
- ・政治・経済・社会・ビジネス > 地域・都市
- ・政治・経済・社会・ビジネス > 社会問題
- ・政治・経済・社会・ビジネス > 経営
- ・趣味・実用 > グルメ





















