毒見師イレーナ

その日､イレーナは絞首刑に処せられるはずだった。
なぜなら彼女は人を殺したから。
彼女の暮らす社会では､いかなる理由があろうとも殺人は死刑と決まっている。
もっともたとえ情状酌量の余地があろうとも､
彼女がその理由を話したとは思えなかったが。

けれどもある人物が死んだため彼女は選択を迫られることになる。
今すぐ絞首刑になるか、それとも国の最高司令官の毒見役になるか…と。

結局､毒見役を選んだイレーナを待ち受けていたのは逃走防止の猛毒で､
結果イレーナは毎日与えられる解毒剤なしには生きられぬ身体に。

息子を殺され怒りに燃える将軍が差し向ける刺客に命を狙われつつも毒見をし､
わずかな希望を頼りに
生き残るために様々な困難に立ち向う１９歳の娘の
貪欲なまでの生への渇望に胸をうたれ
次第に彼女に惹かれていく物語の中のあの人この人のように
読者である私もページを追う毎に彼女に夢中になっていく。

なぜ彼女は人を殺めたのか。
彼女はなにを隠しているのか。

スリルとサスペンスだけでなく、
アクションあり､グルメあり
ロマンスあり､友情あり
魔法もあって､社会性もある。
それでいて盛りすぎ感がない上質のエンターテインメント。

Kindle日替わりセールにつられて破格の値段で購入したが
どうやら私､まんまと罠にはまってしまったよう。

続編に手を伸ばさずにはいられなくなってしまった。