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そうきゅうどう
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小惑星が地球に衝突して人類が死滅する世界を生きる刑事、ヘンリー(ハンク)・パレスの物語〈最後の刑事〉シリーズ3部作の掉尾を飾る作品。残り7日間となった世界でヘンリーは妹を捜す。
スピリチュアル系などでしばしば聞かれる質問の1つに「あなたの命ががあと1週間──3日でも1か月でもいいが──で終わるとしたら、その間に何をしますか?」というのがある。ベン・H・ウィンタースの〈最後の刑事(ラスト・ポリスマン)〉シリーズ3部作は、マイアという小惑星が地球に衝突して人類が死滅する世界を生きる刑事、ヘンリー(ハンク)・パレスの物語だ。第1作『地上最後の刑事』はマイア衝突まで残りあと半年、第2作『カウントダウン・シティ』は残りあと2か月強、そしてこの『世界の終わりの七日間』はタイトル通り最後の7日間が描かれる。

こういう設定はSFとしてもベタすぎるし、ましてやミステリでこれをやると単なるネタ小説と見られかねないが、この〈最後の刑事〉シリーズはそれを大真面目でやってのけ、世界の終わりを生きる人間の哀しみと迷いと覚悟がにじむ、非常に味わい深い作品(群)に仕上げている。

私が『地上最後の刑事』と『カウントダウン・シティ』を読んだのは、もうずいぶん前のことなので、内容をほとんど忘れかけていたが、本書の解説に前2作についての簡単なまとめ(しかもネタバレなし!)があってずいぶん助かった。そのまとめと私自身の記憶とを混ぜ合わせると、『地上最後の刑事』は本格謎解き、『カウントダウン・シティ』はポリティカル・サスペンスや陰謀小説のテイストを持った作品だった。では本作『世界の終わりの七日間』は?というと、これはちょっと難しいが警察小説、あるいはハードボイルドと言っていいかもしれない。

この〈最後の刑事〉シリーズは、何の因果か世界が終わるという時に刑事になった「私」、ヘンリー(ハンク)・パレスが、妹のニコを捜す物語でもある。怜悧な頭脳を持つ数学者にして反体制活動家でもあるニコ。もうすぐ世界が終わる中、ヘンリーは刑事として、そして何より兄として、そのニコを最後まで捜し続ける。このニコ捜しは『カウントダウン・シティ』でサブプロットして語られるが、それが本作『世界の終わりの七日間』でいよいよメインストーリーとして描かれることになる。

ニコの痕跡を求めてオハイオ州の、ある警察署に辿り着いたヘンリーと同行者のコルテスは、そこで血まみれの流しと喉を切り裂かれた若い女を見つける。女とニコとの関係は? そして「第二計画」とは何か?

さて最初の質問だが、私ならいろいろ迷った挙げ句、結局いつもと同じことをすると思う。本書第4部のサブタイトル「さっさと仕事をしろ」だ。あなたはどうだろう?
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そうきゅうどう
そうきゅうどう さん本が好き!1級(書評数:594 件)

「ブクレコ」からの漂流者。「ブクレコ」ではMasahiroTakazawaという名でレビューを書いていた。今後は新しい本を次々に読む、というより、過去に読んだ本の再読、精読にシフトしていきたいと思っている。
職業はキネシオロジー、クラニオ、鍼灸などを行う治療家で、そちらのHPは→https://sokyudo.sakura.ne.jp

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