かもめ通信さん
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「人の言葉が猫にわかるか」って?「人の気持ちが猫にわかるか」って?人間ってそんなこともわからないの?!(驚) #はじめての海外文学 vol.2選書リストからの1冊です。
実を言うと私、子どもの頃から猫が苦手だった。
どれぐらい苦手だったかというと
高校生の頃、いつも通っていた学校への近道の途中に
いつしか黒猫が住み着いてしまったが為に
わざわざ遠回りをして通学したほどだった。
猫というのは本当に賢くて
相手が“苦手”とか“怖い”とか“嫌い”などと思っているのを
実に的確に感じ取る。
だから長いこと、どの猫も私との距離を縮めたがりはしなかった。
ところが、確かに人間と結婚したはずにもかかわらず、
なんの因果か小姑猫2匹といやでも顔をつきあわせなければならなくなって、
“苦手”とばかりは言っていられなくなった。
そうだ。同じ人間である舅や姑だって決して“得意”な相手ではないが
上手くつきあっていかねばならないのだから、
小姑猫とだってなんとかやっていくしかない。
結局嫁と小姑猫は、お互い牽制しあいながら、次第に距離を縮めていったのだった。
そうしてつきあってみるとしみじみと
猫って本当に人間の言葉がわかるようだし、
人の顔色を読んで態度を決めるし、
思いのままに人を動かす気でいるなかなかに自信家だということがわかってきた。
ときおり小鳥を捕まえてきては
得意げに差し出すその行為が
決して嫌がらせではなく、
むしろその逆なのだということも……。
だからこの物語の主人公である猫のアルフィーが
飼い主の老婦人を失って、
娘夫婦にシェルターに連れて行かれることを恐れて家出し、
辛い放浪生活を経て
もう二度と路頭に迷うことのないように
複数の家を掛け持ちして暮らすようになり
寂しがり屋の女性や、
育児疲れの母親や、
ふるさとを離れてなれない外国暮らしをする移民の一家や
気難しい男の家を行ったり来たりしながら
人々の気持ちにより添って、生きる道を選んだのも
妙に納得できることだった。
少しばかり上手くいきすぎて
ご都合主義という言葉が頭の片隅に浮かびはしたけれど、
それでもこの物語、読むと心が温まる。
まるで膝の上で丸くなった猫を
ゆっくり撫でているときのように……。
そう、今ではすっかり歳をとり、
片割れを失って1匹になってしまったうちの小姑猫も
ごくごくたまに私の膝の上でひと休みしたりする。
まるで(仕方ない!たまにはあんたにもつきあってやるよ!)と
いわんばかりの態度ではあるけれど……ね。
どれぐらい苦手だったかというと
高校生の頃、いつも通っていた学校への近道の途中に
いつしか黒猫が住み着いてしまったが為に
わざわざ遠回りをして通学したほどだった。
猫というのは本当に賢くて
相手が“苦手”とか“怖い”とか“嫌い”などと思っているのを
実に的確に感じ取る。
だから長いこと、どの猫も私との距離を縮めたがりはしなかった。
ところが、確かに人間と結婚したはずにもかかわらず、
なんの因果か小姑猫2匹といやでも顔をつきあわせなければならなくなって、
“苦手”とばかりは言っていられなくなった。
そうだ。同じ人間である舅や姑だって決して“得意”な相手ではないが
上手くつきあっていかねばならないのだから、
小姑猫とだってなんとかやっていくしかない。
結局嫁と小姑猫は、お互い牽制しあいながら、次第に距離を縮めていったのだった。
そうしてつきあってみるとしみじみと
猫って本当に人間の言葉がわかるようだし、
人の顔色を読んで態度を決めるし、
思いのままに人を動かす気でいるなかなかに自信家だということがわかってきた。
ときおり小鳥を捕まえてきては
得意げに差し出すその行為が
決して嫌がらせではなく、
むしろその逆なのだということも……。
だからこの物語の主人公である猫のアルフィーが
飼い主の老婦人を失って、
娘夫婦にシェルターに連れて行かれることを恐れて家出し、
辛い放浪生活を経て
もう二度と路頭に迷うことのないように
複数の家を掛け持ちして暮らすようになり
寂しがり屋の女性や、
育児疲れの母親や、
ふるさとを離れてなれない外国暮らしをする移民の一家や
気難しい男の家を行ったり来たりしながら
人々の気持ちにより添って、生きる道を選んだのも
妙に納得できることだった。
少しばかり上手くいきすぎて
ご都合主義という言葉が頭の片隅に浮かびはしたけれど、
それでもこの物語、読むと心が温まる。
まるで膝の上で丸くなった猫を
ゆっくり撫でているときのように……。
そう、今ではすっかり歳をとり、
片割れを失って1匹になってしまったうちの小姑猫も
ごくごくたまに私の膝の上でひと休みしたりする。
まるで(仕方ない!たまにはあんたにもつきあってやるよ!)と
いわんばかりの態度ではあるけれど……ね。
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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この書評へのコメント
- かもめ通信2016-12-12 07:58
そういえば昔、こんなレビューともいえないような感傷的な文章を書いていたことを思い出しましたw
http://www.honzuki.jp/book/186676/review/54579/クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 - かもめ通信2016-12-12 22:26
わーしまった!宣伝するのをうっかり忘れていました!
皆様!只今ホンノワ掲示板で「本が好き!#はじめての海外文学vol.2フェア応援読書会」を開催中です。
http://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no258/index.html?latest=20
こちらの本も、その中の1冊!
読書会開催期間は1/9まで、コンプリートをめざしてはいますが、基本はどんどん読もう!という企画なので、既に紹介されている作品でもOK。
選書リストにある本のレビューをぜひぜひお持ちより下さいませ♪
ちなみに選書のうち、読書会未レビュー作品は
・歩道橋の魔術師
・海に住む少女
・ナジャ(翻訳者違いの紹介はあり)
・パライソ・トラベル
・失踪当時の服装は
・失われた時を求めて(1)
・1ドルの価値/賢者の贈り物
・はるかな星
・ガラパゴスの箱舟
です。但し、今回は、訳にもこだわっているので、その点ご留意下さい。クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。 
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