薄荷さん
レビュアー:
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おいしい文藝シリーズ、第7弾。テーマは『あんこ』です。
甘味大国日本の中で、甘味代表「あんこ」。
高級和菓子店の研ぎ澄まされた餡はもちろん美味ですが、コンビニで売ってるあんまんも、お母さんが作ってくれたおはぎも、それぞれみんな美味しい!
だから日本人の心のなかに「あんこ」は必ず存在しているけど、「どんなあんこ」かはみんな違うんですねぇ。
そんなカンジで、本書は作家・歌人・エッセイスト・脚本家・漫画家・写真家・・・計39人の心に燦然と輝く「あんこ」の思い出の詰め合わせです。
☆ 「あんこ」=「おはぎ・ぼたもち」で、それは手作り家庭の味なのは日本のお約束。
ウチの母はもちろん作れませんでしたが(笑)、夫の母がつくる「おはぎ」は、それはそれはそれはおいしいのです。(帰省するのは、実はそれが目的だというのは秘密ですよん。)
本書にも沢山「おはぎ」は登場しますが、中でも一番美味しそうなのが、
どのくらい美味しそうかといえば、こちら↓
なんと繊細で優しい夢のようなあんこ!!
しかもこの「こし餡おはぎ」に加え、こし餡をもち米で包んで黄粉をまぶすものと、すりゴマをまぶしたものがあったそうな・・・ああ!食べたいっ!
お母さんが亡くなってから、「あの味」に敵わないから・・・と自分で作る事はなく、そうやって思い出すことが彼岸の手向けになると思うと語る娘の、幸せな記憶が羨ましくも切ない「おはぎ」でした。
☆ 温かい焼きたてがうれしいのが、「たい焼き」。
近頃はクロワッサン生地とか、たい焼きパフェとかあるそうですが、やはり私は王道のつぶし餡入り小麦色が一番好き♡そして出来れば、尻尾はあんこが入ってない方が嬉しい。
でも、おもしろかったのは「しッぽに、たっぷりあんこが入ったたいやき」を一心に作る職人気質のおやじさんと、安藤鶴夫氏のお話
道に迷ってたまたま寄ったのは、老夫婦でひっそり営む小さな店。そこの「たいやき」が、「しッぽ」までぎっしりあんこが入っていることに感心したアンツル先生が作っていた小父さんを褒めると、職人気質のおやじさんが「この商売を始めて一年一寸、誤魔化さずしっぽの先まであんこを入れてる事を、誰か言ってくれないかとずっと思っていた。今、こうやって言ってもらえて今まで一生懸命やってきた甲斐があった」と涙ぐんだ。
・・・って話を、読売新聞のコラムで書いたら、さぁ大変。
当時の新聞の影響力は今の数倍!わびしい横町にあった小さなたいやき屋を訪ねて近所の交番に人が大挙して押し寄せ、心配したお巡りさんがたいやき屋に向ったら大行列の先にたいやきを死に物狂いで焼きまくる老夫婦。
3日後にアンツル先生の所へ、焼き立てたいやき20匹持って老夫婦そろってあいさつに来たそうな。
それから一般人はもちろん、有名人やら高級料亭から注文が殺到し・・・ここの展開がすごく面白い!そして長い付き合いになった江戸っ子職人の小父さんが亡くなる別れのシーンでは悲しくもほのぼのとする、実話とはいえよくできた落語みたいなエッセイです。
ちなみに、現在も大人気のこのたいやき屋さんこそが、かの有名な四谷の「わかば」です。
その他、
チョコレート中毒!?と噂される手塚治虫巨匠の告白「和菓子のかわいらしさ」
静かに哀しい今川焼のお話、増田れい子さん「 川ぞいの町にて」
あんこと言えば日本でこの問題は避けられない、東海林さだお氏「「こし」か「つぶ」か」
・・・など、色とりどり餡とりどりなお話詰め合わせの本書を、ぜひ甘いもの好きの方にお勧めいたします。
どういうわけか、すっかりこの本だけレビューを忘れてました。
これにて、おいしい文藝シリーズ・コンプリート! (2020年1月1日現在)
他の美味しい文藝シリーズはこちら↓(これから地味に継続予定)
第1弾 ぷくぷく、お肉
第2弾 ずるずる、ラーメン
第3弾 つやつや、ごはん
第4弾 ぐつぐつ、お鍋
第5弾 ぱっちり、朝ごはん
第6弾 ひんやりと、甘味
第8弾 こんがり、パン
第9弾 まるまる、フルーツ
第10弾 うっとり、チョコレート
第11弾 こぽこぽ、珈琲
第12弾 はればれ、お寿司
第13弾 ちょこっと、つまみ
第14弾 にっこり、洋食
第15弾 おいしい沖縄
高級和菓子店の研ぎ澄まされた餡はもちろん美味ですが、コンビニで売ってるあんまんも、お母さんが作ってくれたおはぎも、それぞれみんな美味しい!
だから日本人の心のなかに「あんこ」は必ず存在しているけど、「どんなあんこ」かはみんな違うんですねぇ。
そんなカンジで、本書は作家・歌人・エッセイスト・脚本家・漫画家・写真家・・・計39人の心に燦然と輝く「あんこ」の思い出の詰め合わせです。
☆ 「あんこ」=「おはぎ・ぼたもち」で、それは手作り家庭の味なのは日本のお約束。
ウチの母はもちろん作れませんでしたが(笑)、夫の母がつくる「おはぎ」は、それはそれはそれはおいしいのです。(帰省するのは、実はそれが目的だというのは秘密ですよん。)
本書にも沢山「おはぎ」は登場しますが、中でも一番美味しそうなのが、
筒井ともみさんの「気難しいおはぎ」に出てくる、お母さんお手製の「こし餡のおはぎ」。
どのくらい美味しそうかといえば、こちら↓
母の作ってくれたこし餡は、他所ではお目にかかれないくらい、ではなくて、舌に触れることができないくらいにやさしい味だった。
なんと繊細で優しい夢のようなあんこ!!
しかもこの「こし餡おはぎ」に加え、こし餡をもち米で包んで黄粉をまぶすものと、すりゴマをまぶしたものがあったそうな・・・ああ!食べたいっ!
お母さんが亡くなってから、「あの味」に敵わないから・・・と自分で作る事はなく、そうやって思い出すことが彼岸の手向けになると思うと語る娘の、幸せな記憶が羨ましくも切ない「おはぎ」でした。
☆ 温かい焼きたてがうれしいのが、「たい焼き」。
近頃はクロワッサン生地とか、たい焼きパフェとかあるそうですが、やはり私は王道のつぶし餡入り小麦色が一番好き♡そして出来れば、尻尾はあんこが入ってない方が嬉しい。
でも、おもしろかったのは「しッぽに、たっぷりあんこが入ったたいやき」を一心に作る職人気質のおやじさんと、安藤鶴夫氏のお話
たいやき(抄)。
道に迷ってたまたま寄ったのは、老夫婦でひっそり営む小さな店。そこの「たいやき」が、「しッぽ」までぎっしりあんこが入っていることに感心したアンツル先生が作っていた小父さんを褒めると、職人気質のおやじさんが「この商売を始めて一年一寸、誤魔化さずしっぽの先まであんこを入れてる事を、誰か言ってくれないかとずっと思っていた。今、こうやって言ってもらえて今まで一生懸命やってきた甲斐があった」と涙ぐんだ。
・・・って話を、読売新聞のコラムで書いたら、さぁ大変。
当時の新聞の影響力は今の数倍!わびしい横町にあった小さなたいやき屋を訪ねて近所の交番に人が大挙して押し寄せ、心配したお巡りさんがたいやき屋に向ったら大行列の先にたいやきを死に物狂いで焼きまくる老夫婦。
3日後にアンツル先生の所へ、焼き立てたいやき20匹持って老夫婦そろってあいさつに来たそうな。
それから一般人はもちろん、有名人やら高級料亭から注文が殺到し・・・ここの展開がすごく面白い!そして長い付き合いになった江戸っ子職人の小父さんが亡くなる別れのシーンでは悲しくもほのぼのとする、実話とはいえよくできた落語みたいなエッセイです。
ちなみに、現在も大人気のこのたいやき屋さんこそが、かの有名な四谷の「わかば」です。
その他、
チョコレート中毒!?と噂される手塚治虫巨匠の告白「和菓子のかわいらしさ」
静かに哀しい今川焼のお話、増田れい子さん「 川ぞいの町にて」
あんこと言えば日本でこの問題は避けられない、東海林さだお氏「「こし」か「つぶ」か」
・・・など、色とりどり餡とりどりなお話詰め合わせの本書を、ぜひ甘いもの好きの方にお勧めいたします。
どういうわけか、すっかりこの本だけレビューを忘れてました。
これにて、おいしい文藝シリーズ・コンプリート! (2020年1月1日現在)
他の美味しい文藝シリーズはこちら↓(これから地味に継続予定)
第1弾 ぷくぷく、お肉
第2弾 ずるずる、ラーメン
第3弾 つやつや、ごはん
第4弾 ぐつぐつ、お鍋
第5弾 ぱっちり、朝ごはん
第6弾 ひんやりと、甘味
第8弾 こんがり、パン
第9弾 まるまる、フルーツ
第10弾 うっとり、チョコレート
第11弾 こぽこぽ、珈琲
第12弾 はればれ、お寿司
第13弾 ちょこっと、つまみ
第14弾 にっこり、洋食
第15弾 おいしい沖縄
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スマホを初めて買いました!その日に飛蚊症になりました(*´Д`)ついでにUSBメモリーが壊れて書きかけレビューが10個消えました・・・(T_T)
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- 出版社:河出書房新社
- ページ数:205
- ISBN:9784309024196
- 発売日:2015年10月20日
- 価格:1728円
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