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古本を買うと、もれなく猫が付いてくる?!古本屋の主人が出会った奇妙な事件と人間たちを描いた短編集。
直木賞作家の著者出久根達郎さんは、東京で古書店を営んでおられる。この短編集はどの話も、主人公は同じ古本屋さんの店主である。ご自身の経験が元になっているのだろうと想像するが、古本と古本好きの人間にまつわる話は、どことなく奇妙でなんとなく可笑しい。いつも閑散としていて、のんびりして商売っ気がなさそうなこの店に、古本とお客が連れてきた物語。
「猫の縁談」、「腹中石」、「そつじながら」、「とつおいつ」、「猫阿弥陀」の五編。ひとつひとつの話に繋がりはないが、同人物の視線で描かれているので、古書店を舞台にした連作短編集という印象を受ける。
表題作「猫の縁談」は、古書を持参金に付けて猫を嫁に出そうとする老人の話だ。自分が死んだ後に猫(数匹)がどうなるのか心配でたまらないという老人。手持ちの本には価値がありそうだが、果たして猫がもれなく付いてくる条件で買い手が見つかるのか?
見つかるのである。しかし本の売買と猫の待遇における「猫じいさん」のごねっぷりに店主も買い手も振り回され、じいさんの正体の怪しさも徐々に増してきて・・・。
しょうがないから本と一緒に貰った猫にメロメロになっちゃうお客、ちょいと面倒な「猫じいさん」とお客の間でおろおろしちゃう店主の人の良さにほのぼのさせておいて、時折ゾッと怖くなる不思議な話。そしてラストシーンには、深い余韻がある。
古書店から古書店へと本を転売して商売する「回し屋」(セドリともいう)との付き合いを描いた話あり、古いお客との手紙のやりとりで構成された一編あり、戦時中の日記をめぐる不思議な物語あり、どれもが全く違う味わいだが、読んだ後には人間の温かさと人生の物悲しさが心に残る。
「猫の縁談」、「腹中石」、「そつじながら」、「とつおいつ」、「猫阿弥陀」の五編。ひとつひとつの話に繋がりはないが、同人物の視線で描かれているので、古書店を舞台にした連作短編集という印象を受ける。
表題作「猫の縁談」は、古書を持参金に付けて猫を嫁に出そうとする老人の話だ。自分が死んだ後に猫(数匹)がどうなるのか心配でたまらないという老人。手持ちの本には価値がありそうだが、果たして猫がもれなく付いてくる条件で買い手が見つかるのか?
見つかるのである。しかし本の売買と猫の待遇における「猫じいさん」のごねっぷりに店主も買い手も振り回され、じいさんの正体の怪しさも徐々に増してきて・・・。
しょうがないから本と一緒に貰った猫にメロメロになっちゃうお客、ちょいと面倒な「猫じいさん」とお客の間でおろおろしちゃう店主の人の良さにほのぼのさせておいて、時折ゾッと怖くなる不思議な話。そしてラストシーンには、深い余韻がある。
古書店から古書店へと本を転売して商売する「回し屋」(セドリともいう)との付き合いを描いた話あり、古いお客との手紙のやりとりで構成された一編あり、戦時中の日記をめぐる不思議な物語あり、どれもが全く違う味わいだが、読んだ後には人間の温かさと人生の物悲しさが心に残る。
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「本が好き!」に参加してから、色々な本を紹介していただき読書の幅が広がりました。
この書評へのコメント
- Wings to fly2015-11-02 19:38
薄荷さん
わーい、やったー!嬉しい^ ^
しかしこの「ゾッとする」は、怪奇的というより「やるせなさ過ぎる」とか、そういう感じのゾゾゾなのです。とは言え面白い!….猫が出てくるのは2編だけですが、それ以外もかなり読み応えあります。
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- 出版社:中央公論新社
- ページ数:300
- ISBN:9784122051720
- 発売日:2009年06月01日
- 価格:885円
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