yukoさん
レビュアー:
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帝国テレビジョンに勤める女性と関係者の女性たち。華やかに見えるテレビ業界という戦場で、自分をすり減らして働く女たち。やるなぁ、『野良女』だわー。私、こんなガッツ、若い時でもひとかけらもなかった・・・
大手テレビ会社、帝国テレビジョン。
必死に勉強して中高生主席を守り続け、業界内の学閥が一番大きな東京の私立大学に入学し、念願の第一志望だった帝国テレビジョンに入社した宣伝部の兵隊、松国貞江。
5年前に別れた元カレと再会。
久しぶりのデートに行くも、何か違和感を感じるなぁと思ったら、結婚してやがった。
ものすごい美人で、アナウンサー部から引き抜きもあったのに断って、
夢であるドラマのプロデューサーになった脇坂麻耶。
同期は幸せな結婚生活を送っている。
結婚した女と結婚してない女、仕事をしている女としていない女の間に、深い川がよこたわる。
脇坂の大学の先輩である売れっ子脚本家の大島多恵子。
夫は11歳年下のカメラマン。
彼の作品に惚れ込んで結婚しのだが、夫は若いアイドルもどきと不倫しているらしい・・・
大島が脚本を書いた脇坂のドラマに主演している菊丸佐代子のマネージャー、片倉一葉。
背中一面に刺青のある、全く出自の謎な・・・本人は元ヤンと言っているが・・・マネージャー。
しかしその生い立ちは、実は全く想像もつかないようなすさまじいものでした。
とある男優に憧れ、憧れが高じてその人と一緒に仕事がしたいがためにマスコミ業界に就職したという、『週刊テレビアタック』の記者、山浦清美。
ここ五年は帝国テレビジョンの担当をしている。
行方不明になった松国を探してくれと脇坂に頼まれます・・・
もう5人とも、本当に痛々しくて。
不器用で、だけど本当に仕事が好きで。
仕事と恋と、全然うまく両立できない。
敏腕美人プロデューサーの脇坂の言葉がぐっと突き刺さります。
「子供を産んだ女と産んでいない女のあいだにはその二者を隔つ深い川が横たわる。更にその前段階に、結婚した女と結婚していない女のあいだにも川は流れているし、仕事をしている女としていない女のあいだの川も存在している。どちらが正しいというわけではない。言ってしまえばどちらも正しい。ただ、川の向こうは異世界というだけだ。」
そう。どちらも人それぞれの生き方であって、どちらも正しい。
なのに、決定的に何かが違ってしまうのです。生き方として。
私は仕事に生きがいをみつけるというタイプでもなく、
体力もないから営業も無理だと最初から就職先は事務だけしか新卒の時も探さなかったし、
転勤ダメ、一人暮らしダメと親に言われ、
接客なんてダメだと親に言われ、アルバイトすら飲食業の経験もなく、
就職しても、仕事頑張って上にあがっていこうなんて思わなかったし、
責任を問われる立場になんてなりたくなかったし、
結婚したのは、
一生専業主婦でいてくれと言ってくれたからで、
子供の洋服も、お誕生日のケーキもすべて手作りし、毎日ごはんを作って、おうちはぴかぴかでということに喜びを見出すような人間で、
ところが結局経済的な理由で働くことになり、
とはいえ家のことは絶対おろそかにできない性格なので、当然できる仕事もかぎられたものであり、
というような人生を歩んできた私には、この5人のような経験が一切ないのです。
でも同じ女性として、
経験はないけれど、その不器用さが、その一生懸命さが切なくて。愛おしくて。
彼女たちは仕事のために私生活を犠牲にしているかもしれないけれど、
そのかわり、友情を手に入れることもできた。
私にはこんな痛みを分かちあえる女友達はいないから、
不器用で、傷だらけで、それでも諦めず仕事を頑張る彼女たちが、
ほんの少しだけ、うらやましいです。
いえ、でも、絶対こんな風になりたいとは思いませんよ、決して。
でもいいなぁ、頑張ってるなぁと、じーんとするのです。はい。
必死に勉強して中高生主席を守り続け、業界内の学閥が一番大きな東京の私立大学に入学し、念願の第一志望だった帝国テレビジョンに入社した宣伝部の兵隊、松国貞江。
5年前に別れた元カレと再会。
久しぶりのデートに行くも、何か違和感を感じるなぁと思ったら、結婚してやがった。
ものすごい美人で、アナウンサー部から引き抜きもあったのに断って、
夢であるドラマのプロデューサーになった脇坂麻耶。
同期は幸せな結婚生活を送っている。
結婚した女と結婚してない女、仕事をしている女としていない女の間に、深い川がよこたわる。
脇坂の大学の先輩である売れっ子脚本家の大島多恵子。
夫は11歳年下のカメラマン。
彼の作品に惚れ込んで結婚しのだが、夫は若いアイドルもどきと不倫しているらしい・・・
大島が脚本を書いた脇坂のドラマに主演している菊丸佐代子のマネージャー、片倉一葉。
背中一面に刺青のある、全く出自の謎な・・・本人は元ヤンと言っているが・・・マネージャー。
しかしその生い立ちは、実は全く想像もつかないようなすさまじいものでした。
とある男優に憧れ、憧れが高じてその人と一緒に仕事がしたいがためにマスコミ業界に就職したという、『週刊テレビアタック』の記者、山浦清美。
ここ五年は帝国テレビジョンの担当をしている。
行方不明になった松国を探してくれと脇坂に頼まれます・・・
もう5人とも、本当に痛々しくて。
不器用で、だけど本当に仕事が好きで。
仕事と恋と、全然うまく両立できない。
敏腕美人プロデューサーの脇坂の言葉がぐっと突き刺さります。
「子供を産んだ女と産んでいない女のあいだにはその二者を隔つ深い川が横たわる。更にその前段階に、結婚した女と結婚していない女のあいだにも川は流れているし、仕事をしている女としていない女のあいだの川も存在している。どちらが正しいというわけではない。言ってしまえばどちらも正しい。ただ、川の向こうは異世界というだけだ。」
そう。どちらも人それぞれの生き方であって、どちらも正しい。
なのに、決定的に何かが違ってしまうのです。生き方として。
私は仕事に生きがいをみつけるというタイプでもなく、
体力もないから営業も無理だと最初から就職先は事務だけしか新卒の時も探さなかったし、
転勤ダメ、一人暮らしダメと親に言われ、
接客なんてダメだと親に言われ、アルバイトすら飲食業の経験もなく、
就職しても、仕事頑張って上にあがっていこうなんて思わなかったし、
責任を問われる立場になんてなりたくなかったし、
結婚したのは、
一生専業主婦でいてくれと言ってくれたからで、
子供の洋服も、お誕生日のケーキもすべて手作りし、毎日ごはんを作って、おうちはぴかぴかでということに喜びを見出すような人間で、
ところが結局経済的な理由で働くことになり、
とはいえ家のことは絶対おろそかにできない性格なので、当然できる仕事もかぎられたものであり、
というような人生を歩んできた私には、この5人のような経験が一切ないのです。
でも同じ女性として、
経験はないけれど、その不器用さが、その一生懸命さが切なくて。愛おしくて。
彼女たちは仕事のために私生活を犠牲にしているかもしれないけれど、
そのかわり、友情を手に入れることもできた。
私にはこんな痛みを分かちあえる女友達はいないから、
不器用で、傷だらけで、それでも諦めず仕事を頑張る彼女たちが、
ほんの少しだけ、うらやましいです。
いえ、でも、絶対こんな風になりたいとは思いませんよ、決して。
でもいいなぁ、頑張ってるなぁと、じーんとするのです。はい。
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仕事のことで鬱状態が続いており全く本が読めなかったのですが、ぼちぼち読めるようになってきました!
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- 出版社:光文社
- ページ数:233
- ISBN:9784334910372
- 発売日:2015年07月17日
- 価格:1404円
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