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かなめさん
かなめ
レビュアー:
ジャケ買いのススメ。逆に表紙で躊躇う方もぜひ。千年の時を超え伝わった大衆小説
「落窪物語」、名前は知っていても未読。

田辺聖子さんのこの本、登場人物が生き生きと描かれていて一気に読んでしまいました。
当時の風俗も丁寧に説明され、また源氏物語や枕草子にある記述をとりあげたりもされていて興味深く読みました。

意地の悪い継母にいじめられて、酷い環境に置かれている姫を助ける右近の少将…であるけれど、実は主人公、というかヒーローは元々姫の近くでお世話していた阿漕だなぁと思う。姫を助けるために心を配り、最初から最後まで。彼女がいないとこのお話は成り立たない。
う~ん、それにしても継母の北の方もそうだけれど、姫の父である中納言の余りの仕打ちに読んでいるだけで怒りが湧いてくる。
それに対してずっと恨み言を言うこともなく、最後もすんなりと許してしまう姫君…。
自分の心根の様を見直しなさいと言われているようで。

ちなみに、この作品は「舞え舞え蝸牛 新・落窪物語」の改題・新装版。
それにしても、ラノベか漫画のノベライズかと思うようなイラスト。田辺聖子さんの作品でとはちょっとビックリです。
でも、ジャケ買いの気がある私は否定できない…

あとがきには作者による「落窪物語」への考察があります。成立の年代も作者も不明で、且つ貴族から俗書と貶められた物語がなぜ残ったのか。
枕草子にあげられた沢山の物語もその大半は散逸している事実と共に、「民衆に愛されたから」だろうというところからの記述。
「落窪物語」が大衆小説とは知りませんでした。あとがきを含めて楽しく読みました。
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かなめ
かなめ さん本が好き!1級(書評数:51 件)

興味の赴くまま、読書は雑食。
極端に読むスピードが落ちました。それでもあれこれ興味は尽きず。

積読だけが増えています。更に勢いで買った電子書籍複数もほぼ手付かず。宿題付きだけはアップせねば…
のんびり生息中

読んで楽しい:10票
参考になる:27票
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この書評へのコメント

  1. かもめ通信2017-04-24 17:29

    あはは!同じジャケ買いでも私が買ったのはこちらのおちくぼ姫でしたww

  2. かなめ2017-04-24 17:51

    かもめ通信さん わたし「何じゃこりゃーw」成分の多いジャケ買いです(笑)。田辺聖子さんにこの表紙をと言う編集者さんと、OKを出された田辺さん。色々勝手に想像したら買わずにおれず(笑)。
    角川版と別作品らしいと知って、「おちくぼ姫」は貰い物クーポンで電子書籍版を買ったんですが、買ったまま読めていないんです。オンライン小説や青空文庫さんにはお世話になっているのに電子書籍になると途端に自分にとって扱いにくくて。
    かもめ通信さんの読み比べ書評楽しみに拝読しました。
    氷室さんも書いておられる事に興味津々なのですが、いつになるか。
    古典文学大系、学生時代以来疎遠です。なかなか読みこなすことが自分には難しいかと思いつつ、後日談ありとの事でこれもいつか読みたいです。

  3. No Image

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