レビュアー:
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表現が素晴らしいということに尽きるなと。
熊本のまるぶん金龍堂で購入。あの河童の店である。
さて、本書については2016年の本屋大賞にもなっていることだし内容についてはそんなに触れなくても良いだろう。簡単にまとめると、学生時代にある調律師の出す音に出会った主人公が一流の調律師を目指す話だ。
感想はというと、表現が素晴らしいということに尽きるなと。文章で人を感動させるための工夫が本当にうまく凝らされているなあと感じ入ったわけである。こう書くと分析っぽいけども実際読んでいる最中はところどころで涙腺をぐわんぐわんと揺らされまくっていた。
それと安易だけども『ピアノの森』をやけに思い浮かべた。羊と鋼の森がそのままピアノのことを指しているのだから当たり前かもしれないけども。
良かった部分を抜き出す。
「何のお祝いですか」
こんな日に。記憶にある限り、僕の人生でいちばんだめだった日に。
「なんとなく、外村くんの顔を見ていたらね。きっとここから始まるんですよ。お祝いしてもいいでしょう」
→カッコイイ!とにかくこの前後のやり取りがカッコイイ!!
何かに縋って、それを杖にして立ち上がること。世界を秩序立ててくれるもの。それがあるから生きられる、それがないと生きられない、というようなもの。
→共感するわけではないけども、主人公の心情みたいなものを畳み掛けるように静かに徹らせるような書き方が良かった。
もしも、いつか、どうしても置き換えられないものがあると気づいたら、そのときにあきらめれらいいではないか。怖いけれど。自分の才能のなさを認めるのは、きっととても怖いけれど。
→2回も「怖いけれど」と書いてしまう弱虫な表現が好き。
「ピアノで食べていこうなんて思ってない」
和音は言った。
「ピアノを食べて生きていくんだよ」
→本書の核とも言える言葉だと勝手に思ってる。かなわないものに自分を捧げる、みたいな感覚。ピアノがあって自分がいるみたいな。他者があって自分がいるみたいな。みたいな。
最後、長いので引用しないけどp.211の調律師の仕事をカササギ集めに例えるの素晴らし過ぎだと思う。
うん、静かにテンションが高くてそれが僕が好きだと思った理由かもしれない。たぶん、きっと。
さて、本書については2016年の本屋大賞にもなっていることだし内容についてはそんなに触れなくても良いだろう。簡単にまとめると、学生時代にある調律師の出す音に出会った主人公が一流の調律師を目指す話だ。
感想はというと、表現が素晴らしいということに尽きるなと。文章で人を感動させるための工夫が本当にうまく凝らされているなあと感じ入ったわけである。こう書くと分析っぽいけども実際読んでいる最中はところどころで涙腺をぐわんぐわんと揺らされまくっていた。
それと安易だけども『ピアノの森』をやけに思い浮かべた。羊と鋼の森がそのままピアノのことを指しているのだから当たり前かもしれないけども。
良かった部分を抜き出す。
「何のお祝いですか」
こんな日に。記憶にある限り、僕の人生でいちばんだめだった日に。
「なんとなく、外村くんの顔を見ていたらね。きっとここから始まるんですよ。お祝いしてもいいでしょう」
→カッコイイ!とにかくこの前後のやり取りがカッコイイ!!
何かに縋って、それを杖にして立ち上がること。世界を秩序立ててくれるもの。それがあるから生きられる、それがないと生きられない、というようなもの。
→共感するわけではないけども、主人公の心情みたいなものを畳み掛けるように静かに徹らせるような書き方が良かった。
もしも、いつか、どうしても置き換えられないものがあると気づいたら、そのときにあきらめれらいいではないか。怖いけれど。自分の才能のなさを認めるのは、きっととても怖いけれど。
→2回も「怖いけれど」と書いてしまう弱虫な表現が好き。
「ピアノで食べていこうなんて思ってない」
和音は言った。
「ピアノを食べて生きていくんだよ」
→本書の核とも言える言葉だと勝手に思ってる。かなわないものに自分を捧げる、みたいな感覚。ピアノがあって自分がいるみたいな。他者があって自分がいるみたいな。みたいな。
最後、長いので引用しないけどp.211の調律師の仕事をカササギ集めに例えるの素晴らし過ぎだと思う。
うん、静かにテンションが高くてそれが僕が好きだと思った理由かもしれない。たぶん、きっと。
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本屋を応援する活動BOOOKSHOP LOVERです。本が好き!の中の人でもあります。
主に本屋の本と本の本、デザイン周りが好きですが、SFも好きです。社会系の本もちゃんと読みたいところ。積ん読しまくりであります。
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- 出版社:文藝春秋
- ページ数:243
- ISBN:9784163902944
- 発売日:2015年09月11日
- 価格:1620円
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