ぷるーとさん
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堀田善衞が見た革命7年後のキューバ。
革命後7年というとまだ革命の余熱冷めやらず、国の中は新しい体制作りでてんやわんやのキューバに、堀田善衞は招待された。そして、そういった時期だからこそ見えてくる、聞こえてくる革命の切実さを、堀田善衛は冷静に見つめ、分析している。
革命が起こる前、キューバの産業はすぐ目の前にあるアメリカという巨大帝国によって統制され、その利益はすべてアメリカに吸い上げられ、人々は奴隷以下の生活を余儀なくされていた。そんなラテンアメリカの小さな島国キューバが、自分たちだって人間らしい生活をしたいのだと革命を起こせば、経済封鎖され、巨大な軍隊に威嚇され、唯一の産物である砂糖は買ってもらえなくなった。買ってくれるのは共産圏の国々だけになったのだ。
かつて植民地だった国が、自由を求めて独立することを「よきこと」と応援するどころか徹底的にそれをつぶそうとする経済大国の横暴さは、読んでいて胸に詰まるものがある。
キューバは、そういったアメリカの態度にNOを突きつけたが、革命当初は共産主義に対してさえ、自由な発言をはばからなかった。 堀田善衛が驚いたのは、フィデル・カストロが演説のために壇上に上ると民衆が「フィデル」「フィデル」とその名を連呼したことだという。 それは、厳しい思想統制によって一糸乱れぬ秩序を無理やり作りあげている他の共産諸国のあり方とはまるで違うものだと堀田善衛は感じたという。
さらには、バチスタ政権のときに大学生達によって大統領官邸が襲撃されたのだが、射殺された指導者が残した遺した遺言を、記念祭のときに読み上げる際一部を削除してよみあげたところ、フィデル・カストロは、「いったいこの何行かを禁止するような道徳的貧困を招くほどにわれわれは卑怯者で、道徳的出来そこないなのであろうか。いったいこれはどういう歴史的概念にもとづくものなのか。こんな臆病さ加減が歴史の弁証法的観念とか呼ばれるものなのだろうか。こういうものの考え方がマルクス主義と名付けられるのか。われわれは、人は一個の革命家であり、しかも宗教的信仰をもちうるもんどえあることを知っているはずだ。革命は人を脅迫するものではないし、個人的な信念に干渉するものでもない。また革命はのけ者をつくらない。…」と述べたという。
本当に、こういった気概のある指導者は、今いるのだろうか。 こういう指導者に出会えた人々は、本当に幸せだと思う。
革命が起こる前、キューバの産業はすぐ目の前にあるアメリカという巨大帝国によって統制され、その利益はすべてアメリカに吸い上げられ、人々は奴隷以下の生活を余儀なくされていた。そんなラテンアメリカの小さな島国キューバが、自分たちだって人間らしい生活をしたいのだと革命を起こせば、経済封鎖され、巨大な軍隊に威嚇され、唯一の産物である砂糖は買ってもらえなくなった。買ってくれるのは共産圏の国々だけになったのだ。
かつて植民地だった国が、自由を求めて独立することを「よきこと」と応援するどころか徹底的にそれをつぶそうとする経済大国の横暴さは、読んでいて胸に詰まるものがある。
米国というものが、キューバにしてもヴェトナムにしても、とにかく新しく目覚めた国の人民が希求するものが何かということについて、どういうわけか、それをまともに見ることをしない、あるいはしたくない、たとえば巨大な盲目の象であって
キューバは、そういったアメリカの態度にNOを突きつけたが、革命当初は共産主義に対してさえ、自由な発言をはばからなかった。 堀田善衛が驚いたのは、フィデル・カストロが演説のために壇上に上ると民衆が「フィデル」「フィデル」とその名を連呼したことだという。 それは、厳しい思想統制によって一糸乱れぬ秩序を無理やり作りあげている他の共産諸国のあり方とはまるで違うものだと堀田善衛は感じたという。
さらには、バチスタ政権のときに大学生達によって大統領官邸が襲撃されたのだが、射殺された指導者が残した遺した遺言を、記念祭のときに読み上げる際一部を削除してよみあげたところ、フィデル・カストロは、「いったいこの何行かを禁止するような道徳的貧困を招くほどにわれわれは卑怯者で、道徳的出来そこないなのであろうか。いったいこれはどういう歴史的概念にもとづくものなのか。こんな臆病さ加減が歴史の弁証法的観念とか呼ばれるものなのだろうか。こういうものの考え方がマルクス主義と名付けられるのか。われわれは、人は一個の革命家であり、しかも宗教的信仰をもちうるもんどえあることを知っているはずだ。革命は人を脅迫するものではないし、個人的な信念に干渉するものでもない。また革命はのけ者をつくらない。…」と述べたという。
本当に、こういった気概のある指導者は、今いるのだろうか。 こういう指導者に出会えた人々は、本当に幸せだと思う。
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 ホラー以外は、何でも読みます。みなさんの書評を読むのも楽しみです。
 よろしくお願いします。
 
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