ぱせりさん
レビュアー:
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長編『死者のあやまち』の原型になった、当時未発表の中編
この中編小説は、長編『死者のあやまち』の原型なのだ。もともとは、クリスティーの地元の教会のチャリティのために執筆された。けれども、短編でも長編でもないこの作品は、発表の場をもつことができず、後日、長編『死者のあやまち』に書き改められて発表される。こちら『ポアロとグリーンショアの阿呆宮』は、未発表のままになっていたそうだ。
読んでみれば、登場人物も舞台も、物語も、(固有名詞など、ちょっとしたところが変わっているけれど)先日読み終えた『死者のあやまち』そのままだ。
むしろ、長編『死者のあやまち』に比べると、こちらの中編は、余分な記述やまどろっこしい繰り返しを排除して、すっきりと読みやすいくらいに感じる。
クリスティーの孫マシュー・ブリチャードによる「まえがき」がよかった。
この作品の舞台グリーンショアは、クリスティー一家が夏を過ごしたサウスデヴォンのグリーンウェイがモデルなのだという。
それだからかな。『死者のあやまち』を読んだときから、物語の舞台は、くっきりと目に見えるようで、ことさら美しく、印象的だった。
マシューたち孫に「ニマ」と呼ばれた「おばあちゃん」を中心にして、ここには、クリスティー一家の幸せな記憶が籠っている。
物語のなかで、近道のつもりで広大な敷地に迷い込むハイカーが跡を絶たない事をぼやく、館の主の言葉を読みながら、ちょっとだけ笑ってしまう。同じ悩みをクリスティ―家族も抱いていたのだろうか、と。
読んでみれば、登場人物も舞台も、物語も、(固有名詞など、ちょっとしたところが変わっているけれど)先日読み終えた『死者のあやまち』そのままだ。
むしろ、長編『死者のあやまち』に比べると、こちらの中編は、余分な記述やまどろっこしい繰り返しを排除して、すっきりと読みやすいくらいに感じる。
クリスティーの孫マシュー・ブリチャードによる「まえがき」がよかった。
この作品の舞台グリーンショアは、クリスティー一家が夏を過ごしたサウスデヴォンのグリーンウェイがモデルなのだという。
それだからかな。『死者のあやまち』を読んだときから、物語の舞台は、くっきりと目に見えるようで、ことさら美しく、印象的だった。
マシューたち孫に「ニマ」と呼ばれた「おばあちゃん」を中心にして、ここには、クリスティー一家の幸せな記憶が籠っている。
物語のなかで、近道のつもりで広大な敷地に迷い込むハイカーが跡を絶たない事をぼやく、館の主の言葉を読みながら、ちょっとだけ笑ってしまう。同じ悩みをクリスティ―家族も抱いていたのだろうか、と。
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いつまでも読み切れない沢山の本が手の届くところにありますように。
ただたのしみのために本を読める日々でありますように。
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- 出版社:早川書房
- ページ数:166
- ISBN:9784151301032
- 発売日:2015年01月09日
- 価格:648円
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