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ぽんきち
レビュアー:
かのこちゃんは元気な1年生、マドレーヌ夫人はアカトラの猫
やや不思議な、ファンタジーのようなお話。
読み終わってみると、出会いと別れの物語だったようにも思う。

第一章 かのこちゃん
第二章 マドレーヌ夫人
第三章 かのこちゃんとすずちゃん
第四章 かのこちゃんとマドレーヌ夫人


マドレーヌ夫人は、ゲリラ豪雨の日、かのこちゃんの家に突然現れた。
雷が苦手で、かのこちゃんの家の柴犬・玄三郎の犬小屋に逃げ込んできたのだ。
玄三郎も雷は苦手だったのだが、なぜか見知らぬアカトラ猫に小屋を譲ってやっていた。実のところ、2人、いや2頭は、互いの言葉がわかったのだった。それは犬と猫の間では、とても珍しいことだった。
その日から、柴犬・玄三郎と、アカトラ・マドレーヌ夫人は夫婦として暮らすことになった。

かのこちゃんは育ちざかり。ある日、「知恵が啓かれ」、以来、好奇心旺盛に、難しい言葉をどんどん覚えていった。目下のお気に入りは「ふんけーの友」。
いつもより早く登校したある朝、かのこちゃんはクラスメート、すずちゃんが不思議な行動をしているのを目撃する。
こやつ、ただものでない。
興味津々のかのこちゃんだが、すずちゃんには何だか避けられているようだ。
だがあることをきっかけに2人の距離はぐんと縮まり、ついに2人は「ふんけーの友」となる。

玄三郎は老犬である。あちこちが弱り始め、衰えが見え始めている。
今まではおいしく食べていたドッグフードもやや硬い。マドレーヌ夫人は夫を気遣うが、さりとてどうすることもできない。
ある時、玄三郎がマドレーヌ夫人に「猫又」の話をする。長生きした猫は尻尾の先が2つに裂けて人間に化けるという話である。そんな馬鹿なと一笑に付したマドレーヌ夫人だったが、急な眠気に襲われて、次に目が覚めた時には、尻尾の先が2つに裂けていた。これはどうしたこと!?
マドレーヌ夫人はこの珍事を利用して、ある行動に出る。

「ふんけーの友」、かのこちゃんとすずちゃん。異種カップル、玄三郎とマドレーヌ夫人。
2組のお話ではあるのだが、これは実のところ、タイトル通り、「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」のお話である。
物語の最後に、かのこちゃんはマドレーヌ夫人に1つの選択を委ねる。
夫人はどちらを選ぶだろうか。

生きる喜びと不思議。出会う楽しさと別れの悲しさ。
きらきらが詰まった、ちょっと変わった手触りの物語。
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ぽんきち
ぽんきち さん本が好き!免許皆伝(書評数:1831 件)

分子生物学・生化学周辺の実務翻訳をしています。

本の大海を漂流中。
日々是好日。どんな本との出会いも素敵だ。

あちらこちらとつまみ食いの読書ですが、点が線に、線が面になっていくといいなと思っています。

「実感」を求めて読書しているように思います。

赤柴♀(もも)は3代目。
この夏、有精卵からヒヨコ4羽を孵化させました。そろそろ大雛かな。♂x2、♀x2。ニワトリは割と人に懐くものらしいですが、今のところ、懐く気配はありませんw

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