風竜胆さん
レビュアー:
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最後の結末には、石を投げたくなりますw
泉鏡花の「妖怪年代記」。
主人公の山田という男、寄宿生となって松川私塾に入った。その屋敷は、元々旗野という千石取りの武士のものだが、血天井、開かずの間、庭の竹藪の3つの怪異があるらしい。旗野の先住の武士が改易されたととき、奥方が、屋敷を明け渡すのは嫌だと、その部屋に閉じ籠ったままいなくなってしまったというのが開かずの間。そのあと、この屋敷に入った旗野が、讒言により、寵愛していたお村という愛妾が用人と不義を働いたとして、裸で酒漬しにして竹藪の中に投げ入れ、虫責めにしたあげく、天井から吊り下げて首を切った。血天井は、その血が着いたもの。死骸は、竹藪に埋棄てた。お村の祟りか、旗野は、錯乱して、竹藪で命を落としたという。以来、この屋敷には人が居つかず、松川私塾になってからも、塾生が次々に去っていく。
ところが、この山田、あきれたことに、入塾の目的は、勉強のためではなく、怪異を見たいがためである。思惑通り、竹藪で女を目撃したり、女の泣き声を聞いたり、果ては裸体の女が部屋に現れるという怪異に遭遇するのだが、最初の威勢はどこにやら、すっかり震えあがってしまい、情けないことこのうえない。
それでも、鏡花の作品だから、これは、きっと草迷宮や高野聖のように怪しくも美しい物語が繰り広げられるに違いないと期待したのだが、待ち受けていたのは、全く意表を突かれるようなオチ。まさか、鏡花の作品に、こんなオチが付こうとは。断っておくが、このオチには怪異など一欠片もない。読んだ人、くれぐれも怒り出して、石を投げないように。
主人公の山田という男、寄宿生となって松川私塾に入った。その屋敷は、元々旗野という千石取りの武士のものだが、血天井、開かずの間、庭の竹藪の3つの怪異があるらしい。旗野の先住の武士が改易されたととき、奥方が、屋敷を明け渡すのは嫌だと、その部屋に閉じ籠ったままいなくなってしまったというのが開かずの間。そのあと、この屋敷に入った旗野が、讒言により、寵愛していたお村という愛妾が用人と不義を働いたとして、裸で酒漬しにして竹藪の中に投げ入れ、虫責めにしたあげく、天井から吊り下げて首を切った。血天井は、その血が着いたもの。死骸は、竹藪に埋棄てた。お村の祟りか、旗野は、錯乱して、竹藪で命を落としたという。以来、この屋敷には人が居つかず、松川私塾になってからも、塾生が次々に去っていく。
ところが、この山田、あきれたことに、入塾の目的は、勉強のためではなく、怪異を見たいがためである。思惑通り、竹藪で女を目撃したり、女の泣き声を聞いたり、果ては裸体の女が部屋に現れるという怪異に遭遇するのだが、最初の威勢はどこにやら、すっかり震えあがってしまい、情けないことこのうえない。
それでも、鏡花の作品だから、これは、きっと草迷宮や高野聖のように怪しくも美しい物語が繰り広げられるに違いないと期待したのだが、待ち受けていたのは、全く意表を突かれるようなオチ。まさか、鏡花の作品に、こんなオチが付こうとは。断っておくが、このオチには怪異など一欠片もない。読んだ人、くれぐれも怒り出して、石を投げないように。
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昨年は2月に腎盂炎、6月に全身発疹と散々な1年でした。幸いどちらも、現在は完治しておりますが、皆様も健康にはお気をつけください。
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- 出版社:
- ページ数:13
- ISBN:B009IXYWWC
- 発売日:2012年09月27日
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