時を紡ぐ少女 (創元ＳＦ文庫)

献本ありがとうございます。
SFということ、新しい作品ということ、表紙の絵が素敵なことから応募しました。
重要な情報が一つだけ抜けていたことが唯一の残念な点です。
これは三部作の第一作ということです。
これがデビュー作で、評判が良かったのかすでに第二部・第三部が刊行済みです。
おそらく東京創元さんも翻訳を進めていることでしょう。

第一部が大きい転換点を迎えて終わったので、続きが気になる状態になりましたが、
第一部だけでも充分楽しめます。第二部は物語のステージが替わるようですので。
でも、できれば第二部・第三部は同時刊行がいいなあと希望を書いておきます。

世界は糸で織られている。

この設定は魅力的です。
普通の人間の目には見えず、才能を持った刺繍娘が、織機を通して訓練し
初めて覗ける世界。
からまった糸をメンテナンスすることで、アラスという世界を維持しています。
ところがアデリスは、織機を使わなくても織糸が見える人だったのです。

すべての少女たちが憧れる刺繍娘。
みんな練習を積んで夢の職業に就こうとするのに、アデリスの両親は能力を
隠すように教えます。
それでも運命の糸はアデリスを容赦なく巻き込み、刺繍娘の候補者として政府に
連れて行かれ、かくまおうとした両親は殺される……残酷な運命にあらがうアデリス。

自分が特別な存在であることに気づき始め、アラスの世界に立ち向かっていくのです。
物語はまだまだ第一部です。大きい映画を見ているみたいですよ。