マックさん
レビュアー:
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たまには予想外なことがあってもいいじゃない。全てを見通せる魔術の出現は、世の中を平和から遠ざけるような気がする。

分厚さに怯むも、さすがは東野圭吾。
読みやすくて読了までに意外と時間は掛からなかった。
2ヶ所の温泉地で起こった硫化水素による事故死。
専門家として意見を聞かれた大学教授の青江が現地へ赴くと何故か現れる少女。
そんな彼女、円華の存在が不幸な事故死の裏にある完全犯罪を暴き出すわけだが、そんなに上手くいくのだろうかという疑問ばかりが先にたって、なかなか物語に入り込めなかった。
面白いけれど強引すぎる。
それとは別に、考えさせられたのは映画監督の甘粕才生に纏わるストーリー。
自分の事しか愛せない人間というのはいるもので、周囲の人間が少しでも自分の理想を下回った瞬間、当たり前のように刃を向けてくる。
そうすることで『完璧な自分』を演出しているつもりなのだろうが、実行した時点で完璧からはほど遠い所へ行ってしまっていることには気付かない。
ある意味、可哀想な人間だ。
けれど、その標的にされた人間の方が悲劇的だ。
そんな悲劇を目の当たりにした甘粕謙人による復讐譚。
それが、本書。
自らを人とは遠い存在にしてまでも復讐を成そうとする健人と、それを止めようとする円華。
思い合いながらも、その思いが届くことはないと知っている二人の攻防も見もの。
けれど、やっぱり全てが強引過ぎる。
本当にこんなことが可能な世の中になってしまったら、平和なんて夢のまた夢。
時代が逆行してしまう。
それを想像させてしまう、非常に危険な本だとも思う。
ただ、東野圭吾の伝えたいことはしっかりと伝わった。
私も世の中を構成する歯車の1つとして、日々もがきながらも頑張って生きていこう。
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なかなか時間が取れませんが、本を読むのは好きです。
どんどん読書時間を取って、読んでいきたいと思っています。
色々なジャンルの本を読んでいきたいと思っているので、
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- 出版社:KADOKAWA/角川書店
- ページ数:452
- ISBN:9784041029893
- 発売日:2015年05月15日
- 価格:1814円
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