私は昔から語学が大の苦手だ。
こんなに翻訳小説が好きなのだから
ひとつでもふたつでも他言語を覚えて
原書で読めたならもっと楽しめるだろうにと
思わなかったわけではないが
中学時代からはじまった根強い英語コンプレックスは
その後の語学学習に暗い影を落としたまま。
あるいはそういうコンプレックスこそが
私の“ガイブン”好きに拍車をかけているのかもしれないが。
それはさておき
“チェコ語の隙間”である。
著者は元々ロシア語畑の方らしく
これまでも幾つも語学ネタのエッセイを書かれているのだとか。
今回の『チェコ語の隙間』は、
スラブ系の言語(ポーランド語/チェコ語/スロヴァキア語/
セルビア語/クロアチア語/スロヴェニア語/ブルガリア語/マケドニア語)を
学習した経験をもとに、
現地を旅したときのことや、現地の映画ネタなどが綴られている。
元々がロシア語学者だから、
同じスラブ系の言語なら応用が利くのかと思いきや、さにあらず。
似ているからわかることもあれば、似ているからこそ間違うこともあり、
似ていそうなのに全く似ていないものもあるようで興味深い。
チェコに向かう前にパリの空港で
長いトランジット時間を過ごさざるを得なくなった時には、
頭をチェコ語モードに切り替えるためだけに
空港内の書店でわざわざチェコ語で書かれたパリのガイドブックを買う。
(いくらチェコ語でも、ガイドブックを見たらパリに行きたくならないか?)
日本のビアホールでたまたま席が隣り合ったポーランド人たちと
ポーランド国家を熱唱する。
(イタリアでイタリア語もどきのカタカナで
カンツォーネもどきを歌って笑われたことなら私もあるが。)
セルビアでは中世風のフォントで表札を注文してお土産に持ち帰る。
(これ素敵なアイデア!こういうお土産なら私も欲しい!)
マケドニアの食堂でお客に関する従業人同士の軽口を耳にして
思わず笑ってしまったら、相手が真っ青?!
店主が「くれぐれもご内密に」とワインを差し出した?!
そんなエピソードが沢山ちりばめられているのだが、
同じスラブ語系ということもあって
昔懐かしい千野榮一先生のことを思い出したら
そのお名前も飛び出してちょっとウルッときてしまった。
とここまで読んで、スラブ語なんて縁もゆかりもないからな~と思ったあなた!
縁は意外とあるものですよ。
というわけで最後に問題。
お馴染みのこの曲たち、元はどこの国の歌だかわかるかな?
1:ゆき~のしらかばな~みき ゆうひがはえる~♪
2:お~!牧場はみどり~♪
3:も~りへ~行きましょう~ むすめ~さん♪
(答えは後日、コメント欄でw)



本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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この書評へのコメント
- Wings to fly2015-09-15 10:18解答者参上! 
 2は、チェコ…だよね^^; おばあちゃん達のコーラスサークルに入ってる母の楽譜に書いてあった(ような記憶が)。
 あとはカンです。
 1はロシア!
 3がむずかしいな。きっと東欧のどこかだな。ブルガリア?クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。
- かもめ通信2015-09-16 17:21えっ?!ええっ~!!アリーマさん,『おお牧場は緑』の訳詩者さんのご親戚なんですかっ! 
 中田羽後さんといえば,たしかメサイアの訳もなさっておられましたよね?!
 びっくり!!
 
 >アメリカで英語の歌を聞いて
 ああそうです。そうです。きっとそうです。
 なんでもあの歌はチェコバージョンとスロヴァキアバージョンがあるらしく,どちらが元歌か諸説あるようなのですが,アメリカに伝えたのはスロヴァキア移民らしいです。
 日本の『おお牧場~』はまさに,アメリカバージョンからの訳詩という感じ。
 チェコのものともスロヴァキアのものともだいぶイメージが違うんですよ。
 なにしろ元歌の方はちっともさわやかじゃないんですwwクリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。
- かもめ通信2015-09-16 17:26というわけで,回答者はわずか2名という,なんとも企画倒れのクイズでしたがww 
 正解は
 1の「トロイカ」がロシア
 2の「おお牧場は緑」が ↑ のコメントに書いたようにチェコorスロヴァキア
 3の「森へ行きましょう」がポーランドです。
 
 ちなみに「森へ行きましょう」の日本語バージョンのランラララン♪の部分ですが,ポーランドの元歌にはしっかり歌詞があるのだそうですが,チェコで歌われているものは日本と同じようにランラララン♪なんだとか!
 こちらも,2と同じように,ポーランド直輸入ではなく,どこかを経由して日本に入ってきたのかもしれませんね。クリックすると、GOOD!と言っているユーザーの一覧を表示します。
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- 出版社:現代書館
- ページ数:334
- ISBN:9784768457542
- 発売日:2015年03月01日
- 価格:2376円
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