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DBさん
DB
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インドに咲く恋の戯曲
サンスクリット劇の最大の傑作と呼ばれる恋物語です。
クプタ朝の元で4世紀末頃に活躍した詩人カーリダーサが、マハーバーラタの中の物語をもとにプル族の王ドゥフシャンタとシャクンタラー姫の恋を戯曲化したものです。
ベディエがアーサー王伝説からトリスタンとイズーの物語を書いたみたいなものなのだろう。

物語の舞台となるのはバラモンであるカンヴァ仙が住まう庵です。
狩りの途中でカンヴァ仙の弟子たちに出会ったドゥフシャンタ王は、カンヴァ仙の代わりに留守番している息女へ挨拶していこうと庵へ赴いた。
そこで見たのは二人の友人に囲まれた美しい乙女、シャクンタラー姫です。
一目で姫の虜となった王は、まず彼女の母親がバラモンではないかを確かめる。
念願通り彼女が王仙とアプサラスの間に生まれた姫で、クシャトリアのドゥフシャンタとの婚姻が叶う身分であることを知る。

そこからは積極的に姫を口説きにかかる王と、初恋のときめきと不安で胸が一杯のシャクンタラー姫とのやり取りが続きます。
とうとう姫を口説き落としたドゥフシャンタ王は、ガーンダルヴァ婚という恋愛結婚を約束して姫に指輪を渡します。
そこに彫られた名前の文字と同じ日数で迎えを寄越すからと約束して王宮へ帰っていった。

王と別れて気もそぞろのシャクンタラー姫は、丁寧に迎えなければならない聖仙を怒らせてしまい恋の相手が姫を忘れるように呪いをかけられてしまう。
これによりシャクンタラー姫を忘れたドゥフシャンタ王は、身重になった姫が自ら王宮へ訪ねてきても彼女を否認する。
絶望した姫は光明にさらわれ姿を消し、数年が過ぎる。

ドゥフシャンタ王がある出来事から昔姫に与えた指輪を取り戻し、それによって呪いが解けて姫のことを思い出します。
自分が忘れ否定したことでどこかへ消えた姫を想い憔悴する。
これにインドラ神が計らいをみせてシャクンタラー姫と姫が産んだ息子が匿われていたキンプルシャの山へとドゥフシャンタ王を導きます。
あとは予想通りの大団円。

もともとサンスクリットの詩文で書かれていたものをその雰囲気を壊さないように擬古体に訳したと巻頭で書かれているように、相聞歌のように書かれています。
おかげで読みにくい部分もあるが面白かった。
最後にサンスクリット劇がどのようなものだったかの解説もあって興味深かった。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2034 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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