かもめ通信さん
レビュアー:
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へえ~エウジェニオ・モンターレってなかなか興味深いな…などと思いながら読んでいたら……すっすみません!!ノーベル文学賞を受賞してたのね!(汗)(余談)
ゆっくりと読み進めている須賀敦子全集もようやく5冊目。
この巻にはイタリア詩人とその訳詩を中心としたあれこれが集められている。
単行本として刊行された 『イタリアの詩人たち』と、『ウンベルト・サバ詩集』は丸々1冊収録されている。
同時収録されている「ミケランジェロの詩と手紙」はミケランジェロ生誕500年を記念して、欧州を中心とした世界の文化や芸術を伝える文化広報誌『SPAZIO』に掲載されたもの。
「歌曲のためのナポリ詩集」にいたっては、1990年にイタリア文化会館で行われたナポリ歌謡のリサイタルを記念して作られた非売品の冊子に原文とともに掲載された対訳の対訳部分を収録したものだというから、他では読めない貴重なものでもある。
収録内容を紹介しただけでもかなりお得感のある1冊だということがおわかりいただけるだろう。
だがしかし、翻訳された詩というのは味わうのが難しい。
やはり詩は書かれた言語で味わうのがいい。言葉遊びも言葉のリズムも、翻訳ではなかなか生かし切れないのではないか。読み始める前からそういう懸念がなかなか払拭できなかったのだ。
(きっとてこずるだろう)と読む前から構えてはいたのだが、先行レビューをかかれているきしさんからのアドバイスが非常に役に立った。
最初にまず巻末に掲載されいる池澤夏樹氏による解説を読んで、須賀さん本人が異国の地で、どのようにしてイタリアの詩に親しまれたのかを頭の中に思い描いてから読みはじめることにしたのだ。
ときには、池澤氏が紹介する 『コルシア書店の仲間たち』のワンシーン、夕食後の朗読会の様子を再読してから、サロンの一員になった気持ちで声を出して読んでみる。
またときには、夜、よく声を出して読んでくれたというペッピーノとの、仲むつまじい二人の様子を思い浮かべながら、あるいは、亡き夫のことを思い出しながら一人トリエステの坂を歩く須賀さんその人を思い浮かべながら、サバの詩の一節を口ずさんでみる。
こうして味わってみると不思議なことに、まぎれもなく詩集であり、詩人についてあれこれ紹介するエッセイ集でもあるこの本が、イタリアの詩を楽しむ須賀さん自身を生き生きと描き出す1冊になっていることにあらためて驚いたのだった。
<関連レビュー>
● 須賀敦子全集第1巻
● 須賀敦子全集第2巻
●須賀敦子全集第3巻
●須賀敦子全集第4巻
● ユルスナールの靴
この巻にはイタリア詩人とその訳詩を中心としたあれこれが集められている。
単行本として刊行された 『イタリアの詩人たち』と、『ウンベルト・サバ詩集』は丸々1冊収録されている。
同時収録されている「ミケランジェロの詩と手紙」はミケランジェロ生誕500年を記念して、欧州を中心とした世界の文化や芸術を伝える文化広報誌『SPAZIO』に掲載されたもの。
「歌曲のためのナポリ詩集」にいたっては、1990年にイタリア文化会館で行われたナポリ歌謡のリサイタルを記念して作られた非売品の冊子に原文とともに掲載された対訳の対訳部分を収録したものだというから、他では読めない貴重なものでもある。
収録内容を紹介しただけでもかなりお得感のある1冊だということがおわかりいただけるだろう。
だがしかし、翻訳された詩というのは味わうのが難しい。
やはり詩は書かれた言語で味わうのがいい。言葉遊びも言葉のリズムも、翻訳ではなかなか生かし切れないのではないか。読み始める前からそういう懸念がなかなか払拭できなかったのだ。
(きっとてこずるだろう)と読む前から構えてはいたのだが、先行レビューをかかれているきしさんからのアドバイスが非常に役に立った。
最初にまず巻末に掲載されいる池澤夏樹氏による解説を読んで、須賀さん本人が異国の地で、どのようにしてイタリアの詩に親しまれたのかを頭の中に思い描いてから読みはじめることにしたのだ。
ときには、池澤氏が紹介する 『コルシア書店の仲間たち』のワンシーン、夕食後の朗読会の様子を再読してから、サロンの一員になった気持ちで声を出して読んでみる。
またときには、夜、よく声を出して読んでくれたというペッピーノとの、仲むつまじい二人の様子を思い浮かべながら、あるいは、亡き夫のことを思い出しながら一人トリエステの坂を歩く須賀さんその人を思い浮かべながら、サバの詩の一節を口ずさんでみる。
どこも活気に満ちた、ぼくの街だが、
悩みばかりで、内気なぼくの人生にも、
小さな、ぼくにぴったり、一隅がある。
(ウンベルト・サバ「トリエステ」より)
こうして味わってみると不思議なことに、まぎれもなく詩集であり、詩人についてあれこれ紹介するエッセイ集でもあるこの本が、イタリアの詩を楽しむ須賀さん自身を生き生きと描き出す1冊になっていることにあらためて驚いたのだった。
<関連レビュー>
● 須賀敦子全集第1巻
● 須賀敦子全集第2巻
●須賀敦子全集第3巻
●須賀敦子全集第4巻
● ユルスナールの靴
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本も食べ物も後味の悪くないものが好きです。気に入ると何度でも同じ本を読みますが、読まず嫌いも多いかも。2020.10.1からサイト献本書評以外は原則★なし(超絶お気に入り本のみ5つ★を表示)で投稿しています。
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- 出版社:河出書房新社
- ページ数:472
- ISBN:9784309420554
- 発売日:2008年01月05日
- 価格:998円
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