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ぽんきち
レビュアー:
きのこの目論見、成否如何。
夢野久作の作。
きのこ連中が森に集まり、かわるがわる演説を始める。
彼らの関心事は、自分たちに対する人間のさまざまな行いである。椎茸が畠を作ってもらってうれしいと言えば、松茸は胞子を飛ばす前に食べられることを嘆く。
一同、ふむふむと聞いていると、そこで立ち上がったのが毒きのこ連中。そもそも人間の役に立つことなど考えるのがおかしいという。毒を持っていれば食べられることもなく、自由に一族が栄えられるではないかと一席打つ。
ほほう、それもそうかと、きのこたちは、毒がないのとあるのと、どちらが得か試してみることにする。
さてその結果は。

他愛ないといえば他愛ない話だが、出てくるきのこの名前が何だかすごい。
初茸、松茸、椎茸、木くらげ、白茸、鴈茸、ぬめり茸、霜降り茸、獅子茸、鼠茸、皮剝ぎ茸、米松露、麦松露

対する毒きのこは
蠅取り茸、紅茸、草鞋茸、馬糞茸、狐の火ともし、狐の茶袋

・・・何か聞いたことないきのこばかり。知っているのは松茸、椎茸、木くらげくらいかな・・・? 松露も聞いたことはあるけれど、米松露とか麦松露は初耳だ(*種としては同じものだが、未熟で中が白いものを米松露、成熟して黄色くなったものが麦松露と称するらしい)。
毒きのこの方も、咄嗟に聞かれたら定番のベニテングタケが思い浮かぶくらいだが、いやはや何とも怪しげな名前のきのこがあるものだ。馬糞茸なんて、およそ食べたくない。馬糞の形というわけではなく、馬糞に生えるものらしいが。・・・いや、余計食べたくないか(^^;)。

夢野久作はもちろんペンネームで、福岡地方の方言「夢の久作」からきているそうだ。夢想家、夢ばかり見る変人を指す。彼の作品を読んだ父親が、「夢の久作の書いたごたる」と評したことから採られている。
怪奇色、幻想色の強い作風というが、本作はごく短く、あまりそういった雰囲気はない。とはいえ、何だかこだわりの強そうな感じはする。
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ぽんきち
ぽんきち さん本が好き!免許皆伝(書評数:1831 件)

分子生物学・生化学周辺の実務翻訳をしています。

本の大海を漂流中。
日々是好日。どんな本との出会いも素敵だ。

あちらこちらとつまみ食いの読書ですが、点が線に、線が面になっていくといいなと思っています。

「実感」を求めて読書しているように思います。

赤柴♀(もも)は3代目。
この夏、有精卵からヒヨコ4羽を孵化させました。そろそろ大雛かな。♂x2、♀x2。ニワトリは割と人に懐くものらしいですが、今のところ、懐く気配はありませんw

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