はるほんさん
レビュアー:
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♪うーらーのはたけでポチがなくぅーーー
♪うーらーのはたけでポチがなくぅーーーー
有名な花咲か爺の唱歌だが、ずっと腑に落ちないことがあった。
自分も小さい頃、「はなさかじいさん」の絵本を持っていたが
確か犬はシロだったような気がするのだ。
さすがに手元にないので確かめようがないが、爺さんの
「ああシロや かわいそうに」的な台詞を読んだ記憶が薄っすらある。
そしてこのポチという名前。
犬と言えばポチ・猫と言えばタマという図式はなんなのだろう。
や、今は逆にあまり見ないが。
そこへこの本のサブタイトル「ポチの誕生」である。
腑に落ちないと言いつつ、コレ見るまで忘れていたワケだが、
早速ポチの謎に迫るべく読んでみた。
──が、さすがにポチネタで300ページ以上も書けるはずがなく、
江戸から近代までの「犬」の地位が語られている。
なんとなく犬猫は、人の生活の中に当たり前に居たと思っていたが
なかなかどうして犬たちにも、
語るも涙、聞くも涙の苦労の歴史が在ったのである。
以前に猫は犬より働いたを読んだが
その本で「猫が忠実な動物」として作品などに登場したとか、
犬はちょっとコワい獣であったなどと書かれていた。
当時の犬は猫のように家で飼うものではなく、
アチコチでなんとなく寝たり歩いたりしているものであったという。
そしてなんとなくエサを貰ったりもして、
「里犬」という微妙なライン上に生きていたという。
それ以外は野良犬──、多分「野犬」の方がニュアンスは近いだろう。
人を襲うこともある脅威でもあった。
故に、その扱いは結構酷い。
明治以降の外国人の文献でも、
ボコられたり刀傷を負った犬が多くいたという報告があるらしい。
同時に外国人たちは皆、犬に吠えられまくって難儀したという話もある。
昼夜なく吠えまくり、近辺の犬も我も我もと吠えだす始末。
思うに「犬を躾ける」という概念から、日本人には無かったのだろう。
日本で「飼われて」いた犬はたった一種。
狆(ちん)のみ。
将軍を始めやんごんとなき人々に可愛がられていたこのお犬様は
実は鎖国のお蔭で、海外には見られない希少種になっていた。
外国人たちはこぞって、このお犬様を買い求めたとか。
逆に日本では、海外種の犬が「お犬様」になっていく。
洋犬を飼うことが、文明社会でのステイタスになる訳だ。
オマケに狂犬病の流行も手伝い、
哀れなるかな、在来種の犬の地位は右肩下がり…。
恐らく外人が犬に「Come here!」と命令するのを聞いて
日本人が洋犬を「カメ」と呼ぶようになったとか、
また犬連れと言えばこの人・西郷隆盛の話など
ネタ的には面白い話が続くのだが、
ポチの件はどうなったのさ。
そして最終章でやっとポチの話になる。
当時160以上の犬から取った名前データがあるのだという。
ポチは15匹で堂々の1位なのだが、他の名前がまた面白い。
ジョ子、ジョン子、カンガル、イスとか。
和洋混乱期に在るのが良く分かる名前だな!(笑)
最後とかもう四本足しか共通点ないでっていう。
そしてやはりココに「花咲か爺」の唱歌が取り上げられている。
明治34年の教科書に適用されているというから、
当時の人気から「ポチ」となったようだ。
著者は「patch」という英単語説を取っているが
結局のところ、由来は現代も諸説紛々であるようだ。
で、ふと思い出した。
畜犬談で、太宰の犬が「ポチ」であったことを。
なんだよお前、結構ミーハーだったんだな。(笑)
余談。
青空文庫の「花咲かじじい」ではシロになっており、
原典を捜すと単に「犬」または「白い犬」などが見つかった。
少なくとも本家の昔話が明治に流行った「ポチ」であるハズがないので
多分自分の記憶が正しかったのだと思われ。
有名な花咲か爺の唱歌だが、ずっと腑に落ちないことがあった。
自分も小さい頃、「はなさかじいさん」の絵本を持っていたが
確か犬はシロだったような気がするのだ。
さすがに手元にないので確かめようがないが、爺さんの
「ああシロや かわいそうに」的な台詞を読んだ記憶が薄っすらある。
そしてこのポチという名前。
犬と言えばポチ・猫と言えばタマという図式はなんなのだろう。
や、今は逆にあまり見ないが。
そこへこの本のサブタイトル「ポチの誕生」である。
腑に落ちないと言いつつ、コレ見るまで忘れていたワケだが、
早速ポチの謎に迫るべく読んでみた。
──が、さすがにポチネタで300ページ以上も書けるはずがなく、
江戸から近代までの「犬」の地位が語られている。
なんとなく犬猫は、人の生活の中に当たり前に居たと思っていたが
なかなかどうして犬たちにも、
語るも涙、聞くも涙の苦労の歴史が在ったのである。
以前に猫は犬より働いたを読んだが
その本で「猫が忠実な動物」として作品などに登場したとか、
犬はちょっとコワい獣であったなどと書かれていた。
当時の犬は猫のように家で飼うものではなく、
アチコチでなんとなく寝たり歩いたりしているものであったという。
そしてなんとなくエサを貰ったりもして、
「里犬」という微妙なライン上に生きていたという。
それ以外は野良犬──、多分「野犬」の方がニュアンスは近いだろう。
人を襲うこともある脅威でもあった。
故に、その扱いは結構酷い。
明治以降の外国人の文献でも、
ボコられたり刀傷を負った犬が多くいたという報告があるらしい。
同時に外国人たちは皆、犬に吠えられまくって難儀したという話もある。
昼夜なく吠えまくり、近辺の犬も我も我もと吠えだす始末。
思うに「犬を躾ける」という概念から、日本人には無かったのだろう。
日本で「飼われて」いた犬はたった一種。
狆(ちん)のみ。
将軍を始めやんごんとなき人々に可愛がられていたこのお犬様は
実は鎖国のお蔭で、海外には見られない希少種になっていた。
外国人たちはこぞって、このお犬様を買い求めたとか。
逆に日本では、海外種の犬が「お犬様」になっていく。
洋犬を飼うことが、文明社会でのステイタスになる訳だ。
オマケに狂犬病の流行も手伝い、
哀れなるかな、在来種の犬の地位は右肩下がり…。
恐らく外人が犬に「Come here!」と命令するのを聞いて
日本人が洋犬を「カメ」と呼ぶようになったとか、
また犬連れと言えばこの人・西郷隆盛の話など
ネタ的には面白い話が続くのだが、
ポチの件はどうなったのさ。
そして最終章でやっとポチの話になる。
当時160以上の犬から取った名前データがあるのだという。
ポチは15匹で堂々の1位なのだが、他の名前がまた面白い。
ジョ子、ジョン子、カンガル、イスとか。
和洋混乱期に在るのが良く分かる名前だな!(笑)
最後とかもう四本足しか共通点ないでっていう。
そしてやはりココに「花咲か爺」の唱歌が取り上げられている。
明治34年の教科書に適用されているというから、
当時の人気から「ポチ」となったようだ。
著者は「patch」という英単語説を取っているが
結局のところ、由来は現代も諸説紛々であるようだ。
で、ふと思い出した。
畜犬談で、太宰の犬が「ポチ」であったことを。
なんだよお前、結構ミーハーだったんだな。(笑)
余談。
青空文庫の「花咲かじじい」ではシロになっており、
原典を捜すと単に「犬」または「白い犬」などが見つかった。
少なくとも本家の昔話が明治に流行った「ポチ」であるハズがないので
多分自分の記憶が正しかったのだと思われ。
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歴史・時代物・文学に傾きがちな読書層。
読んだ本を掘り下げている内に妙な場所に着地する評が多いですが
おおむね本人は真面目に書いてマス。
年中歴史・文豪・宗教ブーム。滋賀偏愛。
現在クマー、谷崎、怨霊、老人もブーム中
徳川家茂・平安時代・暗号・辞書編纂物語・電車旅行記等の本も探し中。
秋口に無職になる予定で、就活中。
なかなかこちらに来る時間が取れないっす…。
2018.8.21
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- 出版社:草思社
- ページ数:335
- ISBN:9784794220639
- 発売日:2014年07月19日
- 価格:1728円
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