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DBさん
DB
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城をめぐる歴史と物語の本
藤本ひとみといえばコバルト時代によく読んだ懐かしさがあります。
その後ちょっと大人向けにシフトチャンジして、塩野七生のフランス版を目指しているんだろうなって気はしていた。
エジプトにウズベキスタンとイスラム文化圏を続けて旅したので、次の旅行はヨーロッパでもいいかなと思いつつページをめくる。
フランスを中心にイタリア、ウィーンと紹介しています。
そしてその城で活躍した有名人を紹介する。

例えば最初に出てくるフランスのブロワ城ではメディチ家からフランス王アンリ2世に嫁いだカトリーヌ・ド・メディシス。
ブロワも素敵なお城だけど、どうせロアールに行ったのならシュノウソウじゃないのかと思ったが。
アンリ2世に愛され続けたディアーヌより、苦労しながらもしぶとく生き抜き王位につけた息子たちを陰で操ったカトリーヌの方が著者の好みのようです。

続いて花の都フィレンツェでは、あの有名なドゥーモはスルーしてイル・モーロと呼ばれた君主アレッサンドロ・デ・メディチと、彼を暗殺したロレンザッチョについて熱く語る。
これはそのまま『暗殺者ロレンザッチョ』というタイトルの小説に落とし込まれています。

再びフランスにもどり、ロワールの古都ショレへ。
ここではフランス革命の動乱期に反革命派として軍を率い全滅した若き司令官アンリ・ロシュジャクランを描く。
フランス革命で流れた血は貴族や革命派の人だけではなかったんだと思った。
ワインで有名なボルドーのサン・テミリオンでも、この革命のために家族もろともギロチン台に上がることになった女性が登場します。
平等と博愛の精神のもとに革命をおこし、人々をまるで刈り取られる小麦のように倒していったその推進力には圧倒される。

そしてルーアンからオルレアンではジャンヌ・ダルクを、プロヴァンス地方にある古都サロンではノストラダムスの足跡を追う。
大予言で有名なノストラダムスですが、医者としてペストと戦い石けんや化粧水を売って儲けた商売人でもあったというのは初めて知った。

マルキ・ド・サドの住んだラコストでは、サドの性癖と性格について分析してみる。
彼もまた、著者のお気に入りのキャラクターのようだ。
そして青ひげのモデルになったジル・ドゥ・レも同じく。
実際には浪費好きなだけで資産を狙われ処刑された説が有力そうだが、悪魔と契約した青ひげの伝説の方が面白い。

フランスからウィーンに行ったのは、マリー・アントワネットが育ったシェーンブルン宮殿とホーフブルク宮殿を訪れるためでした。
日本では悲劇の王妃として愛されていると著者は言うけれど、ベルばらの影響おそるべし。

そして最後にジョセフィーヌが最後を過ごしたマルメゾンと、ナポレオンゆかりのコルシカのアンジャクシオを紹介する。
小説の取材旅行をエッセイにしました感は満載だが、どこに行っても建物や美術よりそこに住んだ人間に興味がある人なんだなと思いました。
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DB
DB さん本が好き!1級(書評数:2035 件)

好きなジャンルは歴史、幻想、SF、科学です。あまり読まないのは恋愛物と流行り物。興味がないのはハウツー本と経済書。読んだ本を自分の好みというフィルターにかけて紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

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