ぽんきちさん
レビュアー:
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現実の事件と少女の空想が交錯する。
切子は女子高生である。父はしばらく前に事故で亡くなり、母と二人暮らし。刑事をしている母の帰りは毎日遅い。
やはり片親で、親の帰りが遅い2人の友達と共に、毎夜のようにファミレスで時間つぶしをしている。ほかの客の観察をしてはどんな人物かをぐだぐだと想像する「退屈同盟」を作っているのだ。
片田舎の退屈な街。だが、ここのところ、少しいつもとは様子が違っていた。行方不明になっていた少女が遺体で見つかったのだ。
切子はこの事件にこだわり、母よりも自分の方が真相に近づいていると思っている。
今夜、ファミレスを出た「退屈同盟」たちの行き先は家ではなかった。
毛深い闇を切り裂いて、切子の長い夜が始まる。
表紙の絵は篠原愛の「女の子はなにでできている?」。
篠原は少女をモチーフにした絵を製作しており、魚と少女を融合させた作品も多いようだ。
扉に作品の全貌が載っている。なるほどこの物語とはリンクし補い合うものかもしれないとも思う。
本書をなぜ読んだかというところが(よくあることに)曖昧なのだが、どこかで見た書評と、たまにはイマドキの小説(として典型的かどうかはよくわからないが)を読んでみようという、まぁ軽い気持ちだったのだと思う。
情景があざやかな物語とは思う。少女たちの会話も秀逸だろう。現実と空想の境界が曖昧なまま、怒濤のように流れるストーリーラインは、ある意味、見事な手際と言ってもよい。少女の心象風景と疾走感をよく映しているとも言えるかもしれない。
でも、自分は乗れなかった。自分の中で昇華されるものもなかった。
ただ、現代というのはこういう物語を生むところでもあるのだな、といささか乾いた感想を持った。
この物語に没頭する人もいるのかもしれない。
この物語で救われる人もいるのかもしれない。
たまたま、それは自分ではなかった、ということだ。
やはり片親で、親の帰りが遅い2人の友達と共に、毎夜のようにファミレスで時間つぶしをしている。ほかの客の観察をしてはどんな人物かをぐだぐだと想像する「退屈同盟」を作っているのだ。
片田舎の退屈な街。だが、ここのところ、少しいつもとは様子が違っていた。行方不明になっていた少女が遺体で見つかったのだ。
切子はこの事件にこだわり、母よりも自分の方が真相に近づいていると思っている。
今夜、ファミレスを出た「退屈同盟」たちの行き先は家ではなかった。
毛深い闇を切り裂いて、切子の長い夜が始まる。
表紙の絵は篠原愛の「女の子はなにでできている?」。
篠原は少女をモチーフにした絵を製作しており、魚と少女を融合させた作品も多いようだ。
扉に作品の全貌が載っている。なるほどこの物語とはリンクし補い合うものかもしれないとも思う。
本書をなぜ読んだかというところが(よくあることに)曖昧なのだが、どこかで見た書評と、たまにはイマドキの小説(として典型的かどうかはよくわからないが)を読んでみようという、まぁ軽い気持ちだったのだと思う。
情景があざやかな物語とは思う。少女たちの会話も秀逸だろう。現実と空想の境界が曖昧なまま、怒濤のように流れるストーリーラインは、ある意味、見事な手際と言ってもよい。少女の心象風景と疾走感をよく映しているとも言えるかもしれない。
でも、自分は乗れなかった。自分の中で昇華されるものもなかった。
ただ、現代というのはこういう物語を生むところでもあるのだな、といささか乾いた感想を持った。
この物語に没頭する人もいるのかもしれない。
この物語で救われる人もいるのかもしれない。
たまたま、それは自分ではなかった、ということだ。
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分子生物学・生化学周辺の実務翻訳をしています。
本の大海を漂流中。
日々是好日。どんな本との出会いも素敵だ。
あちらこちらとつまみ食いの読書ですが、点が線に、線が面になっていくといいなと思っています。
「実感」を求めて読書しているように思います。
赤柴♀(もも)は3代目。
この夏、有精卵からヒヨコ4羽を孵化させました。そろそろ大雛かな。♂x2、♀x2。ニワトリは割と人に懐くものらしいですが、今のところ、懐く気配はありませんw
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- 出版社:河出書房新社
- ページ数:159
- ISBN:9784309022956
- 発売日:2014年06月06日
- 価格:1404円
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